パリ2区の3 rue Sainte-Foyに、ベトナム人2人が営む35平方メートルのカフェ「Convos」がある。正式に営業を始めたのは2025年で、当初は市場に入りやすくするため、フランスで広く飲まれているコーヒーに注力していた。開業からしばらくして店が停電に見舞われた。電動のコーヒーマシンが一斉に止まった日に、2人は近所のベトナム料理店やベトナム系カフェからフィンを借りた。翌朝からその淹れ方で出したところ、ベトナムコーヒーが店でよく出る一品になった。ベトナム紙VietnamNetが2026年9月24日に伝えた。
パリの店の話なので、ベトナム国内で使える情報ではない。読みどころは、ベトナム式の一杯が現地の客にどう受け止められたかを、店を開いた本人の言葉で追えるところにある。
3 rue Sainte-Foyの35平方メートル、Convosを開いたのは1998年生まれと1997年生まれの2人
店を開いて運営しているのは、ゲアン省出身で1998年生まれのĐậu Anh Tuấn氏と、ハノイ出身で1997年生まれのVũ Trà My氏。店名のConvosは英語のconversationsを短くした形で、人が集まって話す場という考えから採ったと2人は説明している。この音がベトナム語の「con voi(象)」に近いため、象の絵を店のシンボルにした。
場所は歩道のすぐそばに屋外席を取れる造りで、大木の枝葉から差す日差しを楽しめる。営業は平日が9時から18時まで、週末は10時から18時までだ。
| 項目 | VietnamNetの記事に書かれている内容 |
|---|---|
| 所在地 | パリ2区、3 rue Sainte-Foy |
| 広さ | 35平方メートル。歩道沿いの屋外席あり |
| 営業時間 | 平日9時〜18時、週末10時〜18時 |
| 営業開始 | 2025年 |
| 運営 | Đậu Anh Tuấn氏(1998年生・ゲアン省出身)、Vũ Trà My氏(1997年生・ハノイ出身) |
| 店名の由来 | 英語のconversationsの短縮形。ベトナム語のcon voi(象)に音が近く、象をシンボルにした |
| 使っている豆 | ベトナムで栽培されたロブスタ |
| 客層 | 常連客のうち約60%がフランス人 |
停電で電動の器具が一斉に止まり、近所のベトナム料理店からフィンを借りた
営業を始めてしばらく経った頃、店が停電に遭い、コーヒーマシンがそろって動かなくなった。注文が待っている状態で機械が使えず、Tuấn氏とTrà My氏はベトナムで使い慣れたフィンを思い出す。原文が書いているのは「営業してしばらくして」という時間の幅までで、停電がいつ起きたのか、原因が何だったのかは記事に書かれていない。
Tuấn氏は周辺のベトナム料理店やベトナム系カフェに連絡してフィンを借りた。すぐに応じてもらえ、電動マシンの代わりに複数のフィンが店に持ち込まれた。翌朝、Convosに入った客は、パリで見慣れているのとは違う淹れ方を初めて目にした。
原文は、ろ過層とはめ込み式の蓋を持つ小さなフィンをグラスに載せ、挽いた粉を入れて軽く押さえ、湯を注ぐという手順まで説明している。ステンレス製のフィンで1杯ずつ落としていく様子は、サンフランシスコでベトナム式の歩道カフェを再現したNau Coffeeを扱った記事でも触れている。電気も複雑な機械も要らない道具だという点が、この日のConvosでは効いた。
「あの日は店がとても混んだ」、2人はそこでベトナムコーヒーをメニューに入れた
2人は当初、これを停電の日1日限りの応急処置と考えていた。ところが客の反応が別の方向に出た。フィンで淹れる様子を面白がって眺める人が多く、フィンについて質問が出て、味への感想も好意的だった。
「あの日は店がとても混んで、みんながベトナムの伝統的な淹れ方に応えてくれました。そこから、ベトナムコーヒーをメニューに入れるという考えが生まれたんです」とTuấn氏は振り返っている。
現在Convosが使っているのは、ベトナムで栽培されたロブスタだ。フィンで淹れると濃い味と香り、独特の後味が出て、地元の客が慣れているコーヒーとは違う一杯になると原文は説明している。Trà My氏の言い方はこうだ。「新しい飲み物を頼んでみるきっかけは好奇心でいい。でも戻ってきてもらうには、味の質と安定が必要です。そうしているうちに、ベトナムコーヒーの味が店でよく出る一品になりました」。
原文はこの経緯を「予想の外にあった結果」と書いている。
常連にフランス人が付き、スイス人客は4日続けて朝に通った
記事は「2025年に正式に営業を始めたばかりだが、Convosには常連客の輪ができ、そのうち約60%がフランス人だ」と書いている。記者の記述で、集計方法は示されていない。
比率と別に、記事が具体的に挙げているのは個々の客との出来事だ。1週間のフランス旅行中に4日続けて朝に来たスイス人女性は、毎朝違うものを注文して率直な感想を伝えていったという。パンケーキが配合を外して出来が良くなかった日も、その女性は食べきったという。Tuấn氏は「出来は足りないかもしれないが、それでもチーム全員の労力だから大事にしたいと彼女は言った」と振り返っている。
棚に置いた大判のベトナム史の本も、客から質問が出るきっかけになっている。米国人とフランス人の夫婦が本を見て、ベトナム旅行から帰ったばかりだと話し、息子が村の小川で水遊びしている写真を見せた場面も記事に出てくる。Tuấn氏は「この本が私たちと客の会話の始まりになっています」と話している。
SFのNau Coffeeは意図して再現し、Convosはベトナムコーヒーが後から加わった
海外でベトナム式のコーヒーを出す店は他にもあるが、始まり方はそれぞれ違う。当サイトで扱った2件と並べると、Convosの入り方の特徴が分かる。
| 店・所在地 | 出している形 | 創業者が何を最初の看板にしたか |
|---|---|---|
| Convos(パリ2区) | 35平方メートルの常設店。2025年から営業 | フランスで広く飲まれているコーヒー。ベトナムコーヒーは停電の日を経てメニューに加わった |
| Nau Coffee(サンフランシスコ) | 常設店を持たず月数回のポップアップ | ベトナムコーヒー。創業者2人がベイエリアで納得できる一杯を見つけられず、歩道カフェの体験ごと持ち込もうとした |
| バインチャンチョン専門店(トロント) | 1997年生まれの2人が開いた専門店 | 故郷の軽食。開業時から看板に選んでいる |
個人が開いた店とは別に、米テキサスでのチュングエンの開店を扱った記事のような、企業のフランチャイズ展開という入り方もある。Convosのほうは、フランスで広く飲まれているコーヒーで市場に入り、機械が止まった日を経てベトナムコーヒーが加わった順序だ。
年齢の近い層が海外で故郷の味を商品にしている例としては、トロントでバインチャンチョンの専門店を開いた1997年生まれの2人の話もある。こちらは最初から故郷の軽食を看板に選んでいて、Convosのように開業後に品ぞろえが増えたのではない。
土日はパソコンを制限、Convosの営業は平日9時から18時まで
Convosで客がしていることとして記事が挙げるのは、仕事、絵を描く、毛糸を編む、曲を書く、友人や家族と話す、といった過ごし方だ。会話の場にしたいという考えから、店は平日の店内でのパソコン使用を認める一方、土曜と日曜は使用を制限している。
店内の流し方も時間帯で変えている。午前は午後よりテンポを上げ、午後は軽めにする。菓子は毎日焼いていて、品質を保つ狙いと、狭い空間に慣れ親しんだ香りを生む狙いの両方があると原文は書いている。
パリに行く用事がある人なら、平日の午前に寄れば屋外席と作業できる時間帯の両方に当たる。土日に行くなら、パソコンを開く前提では計画しないほうがいい。


