サンフランシスコのチャイナタウンやバレンシアストリートに、低いプラスチック椅子を並べたベトナム式路上カフェが出現し、1時間待ちの行列ができている。仕掛けたのは、ホーチミン市出身の若手起業家ハン・トラン(Han Tran)とキエン・グエン(Kien Nguyen)が運営する「Nau Coffee(ナウ・コーヒー)」だ。
創業者のストーリー——「本物のベトナムコーヒーがSFにない」
ハン・トランとキエン・グエンはともにホーチミン市で育ち、カリフォルニア州立工科大学(Cal Poly)に留学。ベイエリアで本格的なベトナムコーヒーを探し回ったが、納得のいく一杯に出会えなかった。「ベトナムのカフェ文化をそのまま持ってきたい。コーヒーを飲むだけでなく、路上で過ごす時間ごと再現したい」——その思いからNau Coffeeが生まれた。
最初は小規模なポップアップとしてスタートし、月1回のペースで開催。Reddit、TikTok、Instagramで口コミが広がり、瞬く間にSFのフードシーンで話題の存在になった。
メニューと価格——フィンドリップで淹れる4種
| メニュー | 価格(USD) | 円換算(1ドル=155円) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| サイゴンコーヒー | 6〜7ドル | 約930〜1,085円 | 練乳入りの定番、フィンドリップで抽出 |
| パンダンコーヒー | 6〜7ドル | 約930〜1,085円 | パンダンリーフの香りをプラス |
| エッグコーヒー | 6〜7ドル | 約930〜1,085円 | 卵黄クリームをトッピング、ハノイ発祥 |
| ソルテッドコーヒー | 6〜7ドル | 約930〜1,085円 | 塩味がコーヒーの甘みを引き立てる |
コーヒー豆はベトナム中部高原の都市ブオンマトート(Buon Ma Thuot)産のロブスタ種を使用。ベトナムコーヒー特有の濃厚でビターな味わいが特徴だ。抽出にはステンレスのフィン(phin)フィルターを使い、1杯ずつゆっくりドリップする。
「路上カフェ体験」の再現手法
Nau Coffeeの最大の特徴は、コーヒーの味だけでなく「サイゴンの路上でコーヒーを飲む体験」そのものを再現していることだ。低いプラスチックの椅子を歩道に密集させて配置し、客同士の距離が近い”ベトナム式”の親密な空間を作り出す。
この体験がSNS映えし、TikTokでは「#NauCoffee」のハッシュタグが急速に広まった。「本当にサイゴンにいるみたい」「アメリカでこの体験ができるとは思わなかった」というコメントが並ぶ。
ポップアップの開催情報
Nau Coffeeは常設店舗を持たず、月に数回のポップアップ形式で営業している。チャイナタウンのウェイバリー通りや、バレンシアストリートのFellow(820 Valencia St.)などで開催。ベーカリー「To You SF」とのコラボも行われており、チャンムオイ(Chanh Muoi)オリーブオイルケーキや黒ゴマあずきシュー、焙煎ゴマバナナブレッドなどのペストリーも提供される。
開催日時はInstagramアカウント@nau_coffeeで告知されるため、渡米前にフォローしておくのが確実だ。
現地の反応——メディアとSNS
地元テレビ局KRON4は「なぜSF市民は1時間も並ぶのか」という特集を組み、Nau Coffeeの行列現象を報じた。Redditのサンフランシスココミュニティでも「今月のポップアップはいつ?」という投稿が定期的に立ち、情報交換が活発に行われている。
ベトナム系アメリカ人のコメントとして「懐かしくて泣きそうになった」「おばあちゃんの家の前で飲んだコーヒーの味がする」という声が目立つ。アメリカ人の反応は「こんなに濃いコーヒーは初めて」「プラスチック椅子が意外と楽しい」と好意的だ。
ベトナムのカフェ5大トレンドで紹介したエッグコーヒーの世界的な広がりを、Nau Coffeeが体現している。NYのAfter Edenがカクテルバー路線でベトナムコーヒーを提案するのに対し、Nau Coffeeは路上体験そのものを輸出するアプローチで差別化している。
日本人旅行者への影響——SFでベトナムを体験
サンフランシスコは成田・羽田から直行便で約9時間半。チャイナタウンは市内中心部にありBARTのPowell駅から徒歩圏内だ。ポップアップは週末に開催されることが多く、午前中に行けば比較的待ち時間が短い。
ベトナム旅行前の「予習」として訪れるのも面白い。Nau Coffeeで路上カフェ文化を体験してから、本場のホーチミン市やハノイを訪れれば、現地での体験がより深く感じられるはずだ。
業界への波及——ベトナムコーヒーの海外展開加速
ホーチミンのジャズ喫茶COIのように、ベトナム国内でもカフェ文化の進化が続いている。Nau Coffeeの成功は、ベトナムコーヒーが「味」だけでなく「体験」として輸出できることを証明した。ブオンマトートのロブスタ豆の国際的な評価向上にも貢献している。
実用情報まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 店名 | Nau Coffee(ナウ・コーヒー) |
| 形態 | ポップアップ(月数回、常設店舗なし) |
| 開催場所 | SF チャイナタウン、820 Valencia St.(Fellow)ほか |
| 価格帯 | 6〜7ドル(約930〜1,085円) |
| コーヒー豆 | ブオンマトート産ロブスタ種 |
| 抽出方法 | フィン(phin)フィルターによるドリップ |
| 最新情報 | Instagram @nau_coffee |
| 待ち時間目安 | 週末ピーク時で約1時間 |
まとめ——プラ椅子に座って一杯
Nau Coffeeは「コーヒーの味」と「路上で過ごす時間」をセットで提供することで、サンフランシスコにサイゴンの空気を持ち込んだ。次にSFを訪れる機会があれば、低いプラ椅子に座ってフィンドリップのコーヒーが落ちるのを待つ時間を楽しんでみてほしい。
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