先に断っておくと、この記事は完全に個人的な好みの話です。ランキングでも網羅的なガイドでもないので、参考程度に読んでください。
前回、路上のカフェについて書きました。ベトナムにはあの路上スタイルとは別に、建物に入っているカフェチェーンが山ほどあります。しかも入れ替わりが激しい。「どの店がどういう特徴なのか」で迷う方も多いと思います。
というわけで今回は、私が実際に通っていて「ここはいい」と思っている4軒を紹介します。公式サイトと地図も付けたので、気になったらそのまま行けるはずです。
まず、規模感の話
個別の話に入る前に、ベトナムのカフェチェーンの勢力図をざっと押さえておきます。ここで紹介する4軒は、必ずしも最大手ではありません。
| チェーン | 店舗数の目安 | 位置づけ |
|---|---|---|
| Highlands Coffee | 1,000店超 | 圧倒的首位。どこの街にもある国民的チェーン |
| Trung Nguyên(E-Coffee) | 約800店 | 老舗ローカルブランド。フランチャイズで拡大 |
| Phúc Long | 200店超 | 本記事① 実質お茶チェーン。Masan傘下 |
| Starbucks | 150店超 | 外資プレミアム枠 |
| Cộng Cà Phê | 約100店(うち海外約40) | 本記事④ レトロ路線。海外は大半が韓国 |
| Every Half | 36店 | 本記事② スペシャルティ枠の新興 |
| Dolphy Café | 11店 | 本記事③ ホーチミン限定のローカル |
こうして並べると、私が好きな店ほど規模が小さいことがわかります。大手のHighlandsも便利でよく使うのですが、「わざわざ行きたい店」というとこの4軒になる、という話です。
① Phúc Long — 名前はコーヒー、本命はお茶
1軒目はフックロン(Phúc Long Coffee & Tea)。名前にコーヒーと入っていますが、実態はお茶屋さんだと思っています。
それもそのはずで、この会社はもともと1968年創業の茶葉の会社でした。ラムドン省のバオロック(Bảo Lộc)というお茶の名産地が起点です。いまは大手のMasanグループの傘下に入り、200店を超えるチェーンになっています。
私はベトナムのお茶が結構好きなので、コーヒーの気分じゃないときにここへ行きます。甘めのものやフルーツを加えたお茶もありますが、緑茶っぽい素直なものもあって、アイスティーが普通においしい。コーヒーチェーンとして見ると印象が薄いかもしれませんが、お茶目当てなら意外とおすすめです。
🔴 注文するときの注意:黙っていると甘い
ひとつ大事な注意があります。ベトナムのお茶飲料は、コンビニで売っているものも含めて基本的に砂糖が入っています。フックロンで頼むときも、何も言わないとしっかり甘いものが出てきます。
公式の注文画面を見ると、甘さは「Ít(控えめ)/Bình thường(普通)/Nhiều(多め)」の3段階で選べるようになっています。初期値は「普通」。なので甘さを抑えたいときは「ít đường(イッ・ドゥーン)」=砂糖控えめと伝えるのが現実的です。完全な無糖は選択肢として用意されていないことが多いので、「甘さゼロ」を期待しすぎないほうがいいと思います。
公式サイト:phuclong.com.vn(店舗検索)
② Every Half Coffee Roasters — 豆で選びたい人へ
2軒目はエブリハーフ(Every Half Coffee Roasters)。2021年にできた比較的新しいチェーンですが、ここ数年でぐんぐん店舗を増やしています。
立ち上げたのは、大手チェーンThe Coffee House の元幹部だったVõ Duy Phú氏らのチーム。The Coffee Houseの創業者であるNguyễn Hải Ninh氏も経営に名を連ねています。資金調達も進んでいて、2026年には800万ドル規模のシリーズAを実施しました。
この店の何がいいかというと、豆の情報をしっかり出していることです。ソンラ、ダラットのカウダット、ダクラクのムドラック——産地はもちろん、品種や精製方法まで書いてある。シングルオリジンのスペシャルティコーヒーが普通に選べるので、軽めがいいのか、重めがいいのか、好みで頼めます。
内装もおしゃれで、日本の方の好みにかなり合うと思います。コーヒーが好きな人には、まずここを勧めたいです。
あと、なぜかメロンが名物です。メニューに「MELON COLLECTION」という枠があって、無糖のメロンジュースはもちろん、メロン果汁とエスプレッソを合わせたラテや、メロン×抹茶といった変化球まであります。気になる方はぜひ。
公式サイト:everyhalf.vn(店舗一覧)/Instagram
③ Dolphy Café — 青いイルカの看板を見つけたら
3軒目はドルフィー(Dolphy Café)。これはホーチミン限定のローカルチェーンで、2区・7区・ビンタン区を中心に11店ほど展開しています。他の街では見かけないので、ホーチミンに来たときの楽しみのひとつです。
目印は青い看板と、イルカのマーク。ロゴの「O」の中にイルカが泳いでいます。公式Facebookの自己紹介が「僕の名前はDolphy、イルカです。純粋なコーヒーだけをお出しします」という一人称なのが、なんだか可愛い。
味の面では、カフェラテの評価が高い店です。比較的重めの豆を使っているので、ミルクに負けず、ラテにするとおいしくまとまります。店内は木を多く使った自然な雰囲気のデザインで、のんびりするにはとてもいい場所です。
公式サイト:dolphycafe.com/Facebook/Instagram
④ Cộng Cà Phê — 「ベトナムに来た感」が一番ある
最後はコンカフェ(Cộng Cà Phê)。ガイドブックにもよく載っている有名店なのでご存じの方も多いと思いますが、やはり外せません。
2007年にハノイの小さな店から始まり、いまでは公式の店舗一覧で数えるとベトナム国内に約60店。さらに海外にも約40店を展開しています。
海外の内訳が意外で、その大半が韓国です。ソウルや釜山などに20店以上あり、残りがカナダ、マレーシア、フィリピン、台湾、そしてパリに1店という構成。ベトナムのレトロ喫茶が韓国でこれだけ受け入れられているというのは、調べていて素直に驚きました。
あのレトロな内装は、何のテーマなのか
この店の魅力は、なんといっても内装です。照明を落とした暗めの店内、オリーブグリーンの壁、軍服を思わせる制服、木の学校机——とにかく「昔のベトナム」を感じさせます。
よく「ベトナム戦争がテーマ」と説明されることがありますが、これは少し違うようです。第三者の解説では、モチーフになっているのは戦後の配給制の時代(bao cấp、1976〜86年ごろ)のノスタルジーだとされています。つまり戦争そのものというより、物のなかった時代の空気を再現している、ということです。
ちなみにブランド自身は、配給制とも戦争とも明言していません。公式の説明によれば、店名の「Cộng」はベトナムの正式国名の頭文字から取ったもので、創業者の子ども時代の記憶にある素朴な空気を持ち込んだ、というスタンスです。そのあたりを踏まえて眺めると、また違った面白さがあります。
看板メニューはココナッツコーヒー(cà phê cốt dừa)。メニューの最上段にココナッツ系が並んでいて、ここの名物になっています。またひまわりの種も注文でき(無料ではなく有料メニューです)、つまみながら過ごせます。お土産やコーヒー豆も売っているので、手土産を探すのにも使えます。
個人的には、「ベトナムに来たな」という感覚が一番あるお店です。近くで見かけたら、ぜひ入ってみてください。
公式サイト:congcaphe.com(店舗検索/公式ショップ)
この4軒を並べてみて気づいたのは、私はカフェを「コーヒーの味」だけで選んでいないということです。Phúc Longはお茶が飲みたいときに行くし、Cộngは内装を味わいに行く。Dolphyはただ座り心地がいいから寄るし、Every Halfは豆の説明を読むのが楽しくて通っている。ベトナムはカフェの数が本当に多いので、「今日はどういう時間を過ごしたいか」で店を選べてしまうのが贅沢なところだと思います。入れ替わりも早いので、ここに挙げた店も数年後にはどうなっているかわかりません。だからこそ、いまいいと思う店を記録しておきたくなりました。
気分別・どこに行くか
| コーヒーの気分じゃない | Phúc Long。お茶が本命。ít đường を忘れずに |
|---|---|
| 豆にこだわりたい | Every Half。産地・品種・精製まで選べる |
| のんびり座りたい | Dolphy Café。木の内装とラテ。ホーチミン限定 |
| ベトナムらしさを味わいたい | Cộng Cà Phê。レトロ内装とココナッツコーヒー |
最初に書いたとおり、これは個人的な好みの話です。ベトナムのカフェは本当に選択肢が多いので、ぜひご自身の「行きつけ」を見つけてみてください。
よくある質問
- ベトナムで一番大きいカフェチェーンはどこですか?
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Highlands Coffeeで、1,000店を超えています。次いでTrung Nguyên系のE-Coffeeが約800店。この記事で紹介した4軒は、いずれもそれより小規模なチェーンです。
- Phúc Longで甘くないお茶を頼むには?
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甘さは「Ít(控えめ)/Bình thường(普通)/Nhiều(多め)」の3段階で、初期値は普通です。「ít đường(イッ・ドゥーン)=砂糖控えめ」と伝えてください。完全な無糖は選択肢にないことが多いので、期待しすぎないほうが無難です。
- Cộng Cà Phêの内装は戦争がテーマですか?
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「ベトナム戦争がテーマ」と説明されることがありますが、正確には戦後の配給制の時代(bao cấp、1976〜86年ごろ)のノスタルジーがモチーフとされています。ブランド自身は、店名がベトナムの正式国名の頭文字に由来し、創業者の子ども時代の記憶を反映したものだと説明しています。
- コーヒー好きにはどのチェーンがおすすめですか?
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Every Half Coffee Roastersです。シングルオリジンのスペシャルティコーヒーを扱い、産地・品種・精製方法まで表示しているので、好みに合わせて選べます。
