わが子を助手席に乗せられない——7月施行、ベトナム交通新ルール準備帖

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2026年7月1日、ベトナムで交通関連の新ルールが一斉に施行されました。柱は2つ。10歳未満かつ身長1.35m未満の子どもを車に乗せる際の安全装置(チャイルドシート等)の義務化と、ドライバーの運転時間規制の再編です。罰則を定める改正政令の施行は8月15日。つまり今は「ルールは動いているが、罰則の本適用まで6週間」という端境期にあたります。子連れでベトナムに暮らす人、社用車で移動する駐在員にとっては、この夏いちばん生活に直結する制度変更です。何がどう変わり、8月15日までに何を準備すべきかを整理します。

目次

7月1日に動き出した交通新ルールの全体像

VnExpressのまとめによると、今回の変更は法律118/2025号と政令241/2026号、政令238/2026号(罰則を定める政令168/2024号の改正)を根拠に、7月1日から一斉に走り出しました。主な項目は次のとおりです。

  • 10歳未満かつ身長1.35m未満の子どもへの安全装置(チャイルドシート等)使用義務
  • 運転時間規制の再編。「連続4時間を超える運転の禁止」(不可抗力を除く)を軸に、週の勤務時間は労働法準拠へ
  • 旅客運送車両への客室カメラ設置義務
  • 純正部品の装着を「改造」とみなさない手続き簡素化
  • 積載量950kg未満・5座席以下のピックアップトラックを乗用車と同じ通行規制の対象に
  • 運転免許試験からシミュレーション試験を廃止

ベトナムの7月は制度変更が集中する月で、今年は車検手続きのVNeID完結化機内モバイルバッテリーの新ルールも同時に始まっています。その中でも今回の交通ルールは、子どもの乗せ方という毎日の行動を変える点で影響の質が違います。

「10歳未満かつ135cm未満」——チャイルドシート規定を正確に読む

対象は「10歳未満」と「身長1.35m未満」の両方を満たす子どもです。法文上は、9歳でも身長が135cmを超えていれば対象外という読みになります。義務の中身は2つあります。

  • 運転者と同じ列の座席(前席)に座らせてはならない。座席が1列しかない車は除く
  • 体格に合った安全装置を使わせる。認められるのはチャイルドシート、ブースターシート、子ども用シートベルトの3種

見落とされがちなのが除外規定です。安全装置の使用義務は「旅客運送事業の車両を除く」とされており、タクシーなどの営業車は装置義務の対象外。一方、前席禁止のほうに営業車の除外はありません。この線引きは後述するGrab利用の話に直結します。

罰則は時期で変わります。整理すると次のとおりです。

時期 安全装置を使わない 運転者と同列(前席)に乗せる
7月1日〜8月14日 現行政令168/2024号に基づき80万〜100万ドン(約4,800〜6,000円)の罰金対象とする解説が主要紙で相次ぐ。VnExpressは「周知期間」と説明しており、運用には幅がある 同政令の取締り対象
8月15日以降 政令238/2026号により罰金から「警告処分」に変更 80万〜100万ドン(約4,800〜6,000円)の罰金

意外に思えるのは、8月15日を境に安全装置なしの罰則がむしろ「警告」へ軽くなる点です。チャイルドシートの普及率がまだ低いベトナムの現実を踏まえた軟着陸と読めます。ただし前席乗せは8月15日以降も明確に罰金。「装置は猶予するが、いちばん危険な席には座らせるな」という優先順位が政令の設計から透けて見えます。

8月15日までにやること——子連れ在住者のチェックリスト

罰則の軽重にかかわらず、規定そのものは7月1日からすでに有効です。準備は次の順番が効率的です。

やること ポイント
子どもの身長を測る 135cmが分岐点。10歳未満でも135cm以上なら法文上は対象外
自家用車のISOFIX対応を確認 取扱説明書か後部座席の金具で確認。非対応ならシートベルト固定式を選ぶ
装置を体格で選ぶ 乳幼児はチャイルドシート、身長が伸びてきたらブースターシート+既存ベルトの組み合わせ
後部座席ルールを家庭内で固定 前席禁止は8月15日以降も罰金対象。「後ろに座る」を先に習慣化する
購入先を見極める ECで買うなら出品者情報を確認。ベトナムのECは7月から出品者の本人確認が義務化されており、匿名出品の粗悪品はふるい落とされつつある

そもそも市内移動で車を使う頻度を下げるのも一つの答えです。ホーチミンでは7月から134路線のバスが無料化されており、子連れの近距離移動は公共交通に寄せる選択肢が現実味を増しています。

社用車・タクシー・Grabはどう扱われるか

駐在員が気にすべきは自家用車より社用車です。社用車は旅客運送事業車ではないため、家族送迎などで子どもを乗せるなら安全装置の義務がそのままかかります。会社の車だから関係ない、とはなりません。総務側は送迎用の車両にチャイルドシートを備品として積んでおくのが確実です。

運転時間の規制も社用車運用に効きます。連続4時間を超える運転の禁止に加え、従来「1日10時間まで」とされていた枠組みが労働法準拠の勤務時間管理へ再編されました。ホーチミン〜ダラットのような長距離出張では、途中休憩を組み込んだ運行計画やドライバーの交代体制を、就業規則側と整合させて作り直す必要があります。

タクシーやGrabはどうか。前述のとおり、法文上は旅客運送事業車が安全装置義務から除外されているため、配車した車にチャイルドシートがなくても直ちに違反とはならない読みが自然です。ただしGrabのアプリ上で子ども向け車両を指定できるかどうかなど、事業者側の運用は現時点で確認できていません(要確認)。法的にセーフでも衝突時のリスクは変わらないので、タクシー移動が多い家庭は持ち運べる簡易ブースターを1つ用意しておくと、義務の外側でも安心を買えます。なお前席禁止には営業車の除外がないため、タクシーでも子どもは後席が原則です。

「結局いつから罰金なのか」——現地報道と当局の動き

施行直後の現地では、罰則のタイミングをめぐる混乱が報道からはっきり読み取れます。Tien PhongやLuatVietnamは「7月1日〜8月14日も罰金対象になるのか」を正面から解説する記事を掲載し、Tuoi Treは政令238/2026号の署名を受けて「8月15日から警告処分に変更」と制度の緩和側を報じました。さらに交通警察局(CSGT)が読者の疑問に答える形で罰則の適用関係を説明する記事も出ており、当局自身が誤解の火消しに回っている構図です。

この混乱ぶり自体が在住者への教訓です。ベトナムの制度変更は「法律の施行日」と「罰則政令の施行日」がずれることが珍しくなく、報道の見出しだけを追うと正反対の理解になりかねません。今回であれば「規定は7月1日から有効、罰則の枠組みは8月15日に切り替わる、ただし前席乗せは一貫して罰金」の3点で覚えておけば実務上は足ります。

まとめ——8月15日を「猶予期間」と読まない

安全装置の罰則が警告に軽くなるからといって、8月15日までの様子見は勧められません。規定は施行済みで、周知期間中の取締り運用には幅があり、なにより前席禁止は罰金つきで残ります。日本の義務(6歳未満)より広い「10歳・135cm」という基準は、年齢だけでなく体格で切る設計で、子どもの安全という本来の目的には忠実です。

今週末にやることは3つ。子どもの身長を測る、車のISOFIX対応を確認して装置を注文する、そして「子どもは後ろ」を家庭と運転手さんの共通ルールにする。社用車のある会社なら、運行規程の運転時間条項の見直しまで7月中に済ませておくと、8月15日を落ち着いて迎えられます。

参照元

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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