ネットフリックスで話題になった韓国ドラマ『My Royal Nemesis』のキャストとスタッフが、2026年7月にベトナム最大の島フーコックを訪れます。7月7日に韓国を発ち、3泊4日で島に滞在する予定です。目的は撮影ではなく、作品のヒットをねぎらう「ご褒美旅行」。それでも、いま韓国で最も勢いのある作品の一行がわざわざ選んだ行き先という事実は、フーコックがこれから韓国エンタメと強く結びついていく前触れに見えます。ロケ地巡りに慣れた日本の読者にとっては、聖地として混み合う前の「静かな今」が狙い目です。
ヒット作の一行が選んだのが「撮影」ではなく「休暇」だった意味
まず事実を正確に押さえます。今回フーコックへ向かうのは、ドラマの撮影クルーではありません。韓国メディアの報道をもとにベトナム側が伝えたところによると、これはシリーズの商業的成功を祝う慰安旅行で、主演のリム・ジヨンさんとホ・ナムジュンさんも参加する見込みです。撮影のための下見でも、続編ロケの発表でもない点は、記事にする側としても混同してはいけないところです。
ただ「休暇先に選ばれた」という事実そのものに価値があります。『My Royal Nemesis』は2026年5月8日に配信が始まり、視聴回数は410万回に達しました。韓国の調査機関がテレビ番組21作品を分析したブランド評判指数では1位となり、その指標は1,000万ポイントを超えたと報じられています。つまり、いま韓国で最も注目されている作品のチームが、数ある候補の中からフーコックを選んだということです。ロケ地はしばしば、こうした「関係者が私的に気に入った場所」から広がっていきます。
なぜ今フーコックなのか——ソウル直行便と観光客急増という追い風
フーコックが選ばれた背景には、韓国との距離が物理的に縮まったことがあります。最近になってフーコックとソウルを結ぶ直行便が就航し、韓国からの往来がしやすくなりました。芸能人チームが3泊4日という短さで動けるのも、乗り継ぎなしで行ける航路が整ったからこそです。
島全体の集客も伸びています。2026年の1月から5月までの5カ月間で、フーコックの訪問者数は476万人に達し、前年同期比で34%増えました。ベトナム側は年間で850万人、うち国際観光客200万人という目標を掲げています。人が増え、路線が増え、そこへエンタメ業界の関心が乗る——聖地化の条件がそろいつつある局面だと言えます。
| 項目 | 数値・内容 |
|---|---|
| ドラマ配信開始 | 2026年5月8日(ネットフリックス) |
| 視聴回数 | 410万回 |
| ブランド評判指数 | 21作品中1位・1,000万ポイント超 |
| チームのフーコック滞在 | 2026年7月7日発・3泊4日 |
| 島の訪問者数(1〜5月) | 476万人(前年同期比+34%) |
| 島の年間集客目標 | 850万人(うち国際200万人) |
ロケ地は「発表」より先に「私的な滞在」から広がる
K-ドラマの聖地巡礼は、多くの場合、公式なロケ地発表から始まります。ですが実務的には、俳優やスタッフが撮影以外で足を運び、SNSで景色を上げた場所が「あの人が行った所」として先に人を集めることも珍しくありません。今回のように話題作のチームがまとまって訪れる旅行は、そうした静かな入口になりやすいものです。
日本の読者はこの構図に見覚えがあるはずです。国内でも、ドラマや映画の舞台が発表された途端に人が押し寄せ、静かだった路地や食堂が行列と撮影スポットに変わる光景を何度も見てきました。ベトナム国内のロケ地熱については、旧市街の週末歩行者天国化の動きを追ったハノイ旧市街の記事や、地方の祭りに人が集まるクアンチのフェスティバルの記事も参考になります。「発表前」と「発表後」では、同じ場所でも旅の質がまるで変わる。フーコックはまだ前者の側にいます。
日本の旅行者への示唆——「聖地になる前」の3つの価値
聖地化する前に訪れることには、はっきりした実利があります。第一に、混雑がまだ管理可能なうちに動けること。訪問者は増えているとはいえ、特定のスポットがドラマ名で埋め尽くされる段階にはまだ入っていません。ビーチやナイトマーケットを、行列でなく生活の風景として味わえる余地が残っています。
第二に、価格の面です。ロケ地認定は宿や体験ツアーの値付けを押し上げる傾向があります。直行便就航で航路が安定したいまは、聖地プレミアムが乗る前のタイミングにあたります。第三に、写真の希少性です。まだ「定番の一枚」が固まっていない場所では、自分の視点で撮った風景がそのまま個性になります。人と同じ構図を追いかける巡礼とは逆の楽しみ方ができます。
もちろん、韓国エンタメとの結びつきが今後どこまで深まるかは未知数です。今回はあくまで慰安旅行であり、続編のロケが決まったわけでも、公式な観光タイアップが発表されたわけでもありません。過度な期待で計画を組む必要はなく、「良い島にたまたま話題性が加わりつつある」くらいの温度感で捉えるのが現実的です。
フーコックへの行き方と、島で押さえたい場所
フーコックはベトナム南西部、タイランド湾に浮かぶ島です。島にはフーコック国際空港があり、ホーチミンやハノイなどベトナム国内の主要都市から国内線で結ばれています。国際線もソウル直行便をはじめ複数の路線が就航しており、旅程の組み方次第で本土に立ち寄らず島へ直行することもできます。日本から向かう場合は、ホーチミンやハノイで国内線に乗り継ぐルートが基本の考え方になります。
島の中心は西海岸のズオンドン周辺で、夜のナイトマーケットは食事や土産探しの定番です。島の南部にはサオビーチをはじめとした白砂のビーチが点在し、沖合の小島群へはケーブルカーや船で渡る観光ルートも整っています。北部にはテーマパークやリゾート開発が集まるエリアがあり、家族連れからカップルまで滞在の目的に合わせて拠点を選べます。訪れる時期は、雨の少ない乾季にあたる11月から翌4月ごろが海のアクティビティに向いています。
| 項目 | 目安・ポイント |
|---|---|
| 島へのアクセス | フーコック国際空港へ国内線/一部国際線が就航。日本からはホーチミン・ハノイ経由が基本 |
| 韓国との接続 | フーコック〜ソウルの直行便が就航済み |
| ベストシーズン | 乾季にあたる11月〜翌4月ごろ |
| 拠点の目安 | 中心街ズオンドン(ナイトマーケット)/南部(ビーチ・離島観光)/北部(リゾート・テーマパーク) |
ベトナムの離島や海のアクティビティに関心があれば、湾内をめぐる遊び方をまとめたニャチャン湾クルーズの記事も、フーコックの海の過ごし方をイメージする助けになります。
まとめ——「発表待ち」ではなく「今」動く
『My Royal Nemesis』のチームがフーコックを選んだのは撮影のためではありませんが、話題作の一行がわざわざ休暇先に選んだという事実は、この島が韓国エンタメの視界に入っていることを示しています。ロケ地は公式発表より先に、こうした私的な滞在から静かに広がっていくものです。次のアクションはシンプルです。まず、ホーチミンかハノイ経由で国内線に乗り継ぐ航路を前提に、乾季の11月から4月を狙って日程の当たりをつける。次に、中心街ズオンドンを拠点にするか、南部のビーチ側にするかを滞在目的で決める。聖地として混み合う前の静かなフーコックを、いまのうちに自分の目で確かめておく価値は十分にあります。
