世界の食を採点するグルメ評価サイト「テイストアトラス(TasteAtlas)」が公開した「アジアの副菜100選(Top 100 Asian Side Dishes)」に、ベトナムの家庭料理3品が選ばれた。トップに立ったのはニンニク香る空芯菜炒め(ラウムオン・サオトイ)で第9位、続いて生ハーブの盛り合わせ(薬味プレート)が第62位、揚げパン「クアイ」が第76位に入った。主役級のフォーやバインミーではなく、食卓の脇を固める一皿が国際評価を得たことが、現地で話題になっている。ベトナム旅行を計画する人にとっては、屋台や食堂で必ず出会うこの3品こそ、その土地の味を知る近道になる。
テイストアトラスが選んだベトナムの副菜3品
テイストアトラスは、世界各地の料理をユーザー評価で採点する食のデータベースだ。今回の「アジアの副菜100選」では、レバノンのフムス・ベイルーティが首位、イランのカテ(炊き込み米)が2位、インドネシアのプルクデル(じゃがいもコロッケ)が3位に並んだ。そのなかでベトナム勢の最上位となったのが、第9位の空芯菜炒めである。
VnExpressによると、この空芯菜炒めは「水ホウレンソウ(空芯菜)をさっと湯通しし、ニンニクと調味料で炒めたもの」と紹介され、メイン料理とスープを組み合わせた3品構成の食事の一皿として供されることが多いとされる。2025年5月にベトナムを訪れたフランスのマクロン大統領に振る舞われたことも、注目度を押し上げた。
なぜ「脇役」が評価されたのか
主役のフォーやバインミーが世界的に有名になって久しいなか、今回は主菜ではなく副菜が3品まとめて選ばれた点が新しい。ベトナムの食卓は、一皿で完結する料理よりも、複数の小皿を分け合って食べる構成が基本だ。炒め物、スープ、生野菜、漬け物、揚げ物が同時に並び、口の中で味と食感を組み立てていく。その「組み合わせの妙」を支えているのが、今回選ばれた3品のような脇役である。
採点サイトの評価は世界中のユーザーから集まった多数の評点を基にしている。観光客や在外ベトナム人を含む幅広い層が、地味だが何度でも食べたくなる副菜に高い評点を付けた。実際、空芯菜炒めは国家元首をもてなす席にも上る一方で、街角の食堂では数百円で頼める。特別な日のごちそうと日常のおかずの境目が薄いことが、この国の食の特徴を物語っている。
3品それぞれの特徴と食べられる場所
空芯菜炒め(ラウムオン・サオトイ)
空芯菜を強火で一気に炒め、ニンニクと魚醤で味を決めるシンプルな一皿。シャキシャキした茎の食感と、青菜の苦みをまとった香ばしさが身上だ。ローカル食堂(コムビンザン=大衆食堂)ならほぼどこでも頼める定番で、ご飯のおかずにも、ビールのつまみにもなる。観光客向けの店より、地元客が通う食堂のほうが火力が強く、炒めたての香りを楽しめることが多い。
薬味プレート(ディア・ラウソン)
現地で「ディア・ラウソン(đĩa rau sống)」と呼ばれる生野菜・ハーブの盛り合わせ。VnExpressの紹介では、レタス、タイバジル、パクチー、キュウリ、もやしなどを盛る。フォーや焼き肉のせ麺(ブンチャー)、生春巻き、お好み焼き状のバインセオなどに必ず添えられ、料理ごとに合わせるハーブの種類が変わるのが面白い。食べ方は、麺や肉、皮に好きなだけ加えて、自分好みの香りと爽やかさを重ねるベトナム流。旅行者は見慣れない葉物を「付け合わせだから」と残しがちだが、これを抜くと味が単調になる。フォー店やブンチャー店、生春巻きの店で料理と一緒に運ばれてくる。
揚げパン「クアイ」
中国の油条(ヨウティアオ)をルーツとする細長い揚げパンで、外はカリッと、中は空洞。お粥や麺料理に浸して食べるのが定番だ。朝のお粥屋台や麺の店で見かけることが多く、スープを吸わせるとふんわり、そのままかじるとサクサクと、一本で二度の食感が楽しめる。1〜2本だけ追加注文できる店が多く、小腹を満たすのにちょうどいい。
旅行者がこの3品を楽しむための実用情報
3品とも特別なレストランに出向く必要はなく、ローカルな食堂や屋台で気軽に出会える。価格帯の目安と狙い目を一覧にした(為替は1万VND=約60円で換算)。
| 料理 | 食べられる場所 | 価格の目安 | 楽しみ方 |
|---|---|---|---|
| 空芯菜炒め | 大衆食堂・ビアホイ(屋台ビール) | 3〜5万VND(約180〜300円)前後 | 炒めたて熱々をご飯やビールと |
| 薬味プレート | フォー店・ブンチャー店 | 麺料理に付属(無料〜少額) | 麺や肉に好きなだけ加える |
| 揚げパン「クアイ」 | お粥屋台・麺の店・朝市 | 5千〜1万VND(約30〜60円)/本 | スープに浸す/そのままかじる |
価格は店や地域で変動するため、表示はあくまで目安だ。屋台では指差しでも注文でき、空芯菜炒めは「ラウムオン」、クアイは「クアイ」と一言伝われば通じる。生ハーブは衛生面が気になる場合、地元客でにぎわう回転の速い店を選ぶと安心して楽しめる。
旅行者にとって何が嬉しいのか
今回の選出は、ベトナム旅行の「食べるべきリスト」を主役級グルメの先へ広げてくれる。フォーやバインミーを目当てに来た旅行者でも、同じ食堂で空芯菜炒めを一皿足し、麺にハーブを加え、お粥にクアイを浸すだけで、現地の人が毎日続けている食べ方をなぞれる。どれも数十円から数百円で、特別な予約も観光地への移動もいらない。
選ばれた3品が示すのは、ベトナムの食の魅力が一皿の完成度ではなく、卓上で味を組み立てる体験にあることだ。空芯菜炒めの香ばしさ、生ハーブの爽やかさ、揚げパンの食感を一つの食事のなかで行き来する。この「自分で味をつくる」楽しみこそ、旅行者が現地の食堂で味わうべき体験だ。
食・観光シーンへの広がり
副菜への国際的な注目は、現地の食体験の楽しみ方を広げる。フードツアーは主役級のグルメだけでなく、副菜や調味料を切り口にした内容へ広がる余地がある。空芯菜の炒め方やハーブの組み合わせを学ぶ料理教室、屋台の朝食めぐりは、二度目以降の旅行者や食通に向いた過ごし方だ。
お土産選びの幅も広がる。空芯菜炒めの味を決める魚醤や、ハーブを和える調味料は、家庭で旅の味を再現できる持ち帰り候補になる。フーコックの伝統的な魚醤づくりのように、副菜を支える調味料そのものに物語がある。観光の主役だけでなく、脇を固める味に目を向けると、ベトナムの食卓の奥行きが見えてくる。
よくある質問
空芯菜炒めはベトナムのどこで食べられますか
全国の大衆食堂(コムビンザン)や屋台ビールの店でほぼ確実に頼めます。観光地のレストランより、地元客でにぎわう食堂のほうが炒めたての香ばしさを楽しめることが多いです。
薬味プレートはそのまま食べるものですか
フォーやブンチャーなどの麺・肉料理に、好きなだけ加えて食べるのがベトナム流です。付け合わせとして残さず、香りや爽やかさを足す具材として活用すると現地らしい味になります。
揚げパン「クアイ」はどう食べるのが定番ですか
お粥や麺のスープに浸して食べるのが定番です。浸すとふんわり、そのままかじるとサクサクと食感が変わります。1〜2本単位で追加注文できる店が多いです。
まとめ
テイストアトラスの「アジアの副菜100選」に選ばれたベトナムの3品は、いずれも特別な店を探さなくても、街角の食堂や屋台で出会える日常の味だ。次にベトナムを訪れるなら、主役のフォーやバインミーだけでなく、空芯菜炒めを一皿頼み、ハーブを麺に加え、クアイをお粥に浸してみてほしい。脇役を味わうことが、その土地の食文化をいちばん深く知る入り口になる。
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