NYロウワーイーストサイドに「After Eden」——昼はベトナムコーヒー、夜はフォーティーニのカクテルバー

2026年4月、ニューヨーク・ロウワーイーストサイド(LES)のOrchard Streetに、昼と夜で全く表情を変えるベトナム系カフェバー「After Eden」がオープンした。日中は明るい店内でベトナム式ドリップコーヒー(カフェフィン)やバインミーを提供し、日が暮れると照明が落ちてカクテルラウンジへと変貌する。料理を手がけるのは、ニューヨークの三つ星レストランEleven Madison Park出身のシェフ、Nancy Nguyen。バーテンダー出身の創業者Gelo Honradeが率いるカクテルプログラムでは、フォー(ベトナム牛肉麺)のアロマを再現したマティーニ「Pho-tini」が看板メニューとして注目を集めている。

目次

店舗の詳細——Orchard Streetに現れた「楽園の続き」

After Edenの所在地は、マンハッタン・LESの162 Orchard Street。かつてパンクロックやアートギャラリーで知られたこのエリアは、ここ数年で飲食シーンの最前線へと変化している。店名は「楽園を出た後に何が起きるのか」という問いから名付けられた。

最大の特徴は、時間帯で空間そのものが変わる「オールデイ・バーファースト」のコンセプトだ。午前中は自然光が差し込むカフェとして営業し、夕方にかけて照明が徐々に暗くなり、バーカウンターが主役へと切り替わる。インテリアデザインを担当した共同創業者のKim Linは、エデンの園をモダンに再解釈。深い緑のトーンとヴィンテージ家具が調和する空間に、アーティストEric Ramirezによるカスタム壁画が奥のバーに据えられている。

店内奥には「The Opium Den」と名付けられたプライベートルームがある。ベルベットの座席とキャンドルライトで演出された空間で、少人数の集まりやレイトナイトの利用に対応する。

  • 住所:162 Orchard Street, Lower East Side, Manhattan, NYC
  • 営業時間:火〜土 10:00–2:00 / 日 10:00–22:00 / 月 16:00–2:00
  • コンセプト:昼=ベトナムコーヒーカフェ、夜=カクテルラウンジ

シェフと創業者——Eleven Madison Park出身の料理人とフィリピン出身のバーテンダー

料理の中核を担うのは、シェフのNancy Nguyen。ニューヨークのベトナム料理レストランBeaucoup NYCを経て、世界ランキング常連のEleven Madison Park(EMP)で研鑽を積んだ経歴を持つ。After Edenでは、昼は限定生産のバインミーや自家製ペイストリーを、夜はカクテルに合わせた小皿料理を設計している。

バーとビジネスを率いる創業者のGelo Honradeは、フィリピン出身。当初はニューヨークで国連関連の仕事に就くために渡米したが、子供の頃からの夢だったバーテンダーの道へ転身した。7年間のバーバック(バーテンダー助手)経験を経て、フィリピン料理レストランJeepney、韓国料理店Osamil、カクテルバーBar 92やGUIなど、ニューヨークの人気店で腕を磨いた。東南アジアのフレーバーとフランス的な技法の融合が持ち味だ。

Honradeは店名について「After Edenは、楽園を去った後に何が起きるかという物語。好奇心、少しの誘惑、時には偶然がある」と語っている。

メニュー・ドリンク——フォーティーニからフィッシュソース・キャラメルまで

After Edenのメニューは昼夜で完全に切り替わる。日中のカフェメニューではベトナム式コーヒーを軸に、自家製ペイストリーを提供。夜はカクテルと小皿料理の構成に変わる。ベトナムコーヒー文化を全米に発信するCicada Coffee Barと同様、本格的なカフェフィンを出す店として注目されている。

昼のカフェメニュー

メニュー内容参考価格
カフェフィン(Cà phê phin)ベトナム伝統のドリップコーヒー。練乳と合わせるのが定番約6 USD(約940円)
カフェムオイ(Cà phê muối)塩味を加えたベトナムコーヒー。甘さと塩気のコントラストが特徴約7 USD(約1,100円)
ジャックフルーツ・バナナラテオーツミルクベース。トロピカルな甘みとコーヒーの苦みが共存約8 USD(約1,260円)
フィッシュソース・キャラメル・クイニーアマン魚醤キャラメルを使った自家製フランス菓子。甘じょっぱさが中毒性あり約7 USD(約1,100円)
バインミー(限定生産)自家製バインミー。売り切れ次第終了約14 USD(約2,200円)

夜のカクテルメニュー

カクテル名内容参考価格
Pho-tini(フォーティーニ)フォーのアロマを再現したセイボリー・マティーニ。八角やシナモンの香りが立つ約18 USD(約2,830円)
Edenritaエデンをテーマにしたマルガリータ系カクテル約18 USD(約2,830円)
My Pina Colada東南アジアのフレーバーを加えたピニャコラーダ約19 USD(約2,980円)
Pizzahhhh遊び心あるネーミングの創作カクテル約18 USD(約2,830円)
Card Program客がカスタムデッキからカードを引き、バーテンダーがその場でオリジナルカクテルを調合約20 USD(約3,140円)

看板の「Pho-tini」は、ベトナムの国民食フォーの香りをマティーニに落とし込んだ一杯で、Asia’s 50 Best Barsに選出されたハノイの「Workshop14」のような東南アジア発のバーカルチャーに通じる創造性がある。

現地の反応——NYフード批評家からベトナム系コミュニティまで

After Edenのオープンは、ニューヨークのフード・ドリンク業界で広く取り上げられた。Time Out New Yorkは開店直後に特集記事を掲載し、昼夜で店が別の顔を見せるコンセプトに注目。The Infatuationもニューヨークの春の新店リストにAfter Edenを加え、カクテルバーとしてのポテンシャルを評価した。

ニューヨークのベトナム系アメリカ人コミュニティからは、EMP出身のベトナム系シェフが手がけるカジュアルダイニングとして期待が高い。Nancy Nguyenの経歴は、ファインダイニングの技術をストリートフードやカフェメニューに転用するという意味で、新しいアプローチだ。

カクテル愛好家の間では、Card Programが話題になっている。客がカスタムデッキからカードを1枚引くと、バーテンダーがその絵柄やテーマを即興で解釈し、世界にひとつだけのカクテルを作る。体験型のバーサービスとして、SNSでもシェアが広がっている。

日本人旅行者への影響——LESは観光エリアから徒歩圏内

ロウワーイーストサイドは、チャイナタウンやリトルイタリーに隣接し、ブルックリンブリッジやソーホーからも徒歩でアクセスできるエリアだ。観光の合間に立ち寄れる立地で、日本人旅行者にとっても使い勝手が良い。

昼と夜、2回訪れる価値がある

日本からの旅行者には、昼と夜の両方を体験するプランを推奨したい。午前中にカフェフィンとクイニーアマンでブランチを楽しみ、別の日の夜に再訪してPho-tiniとCard Programを試す。1回の訪問あたりの予算目安は以下の通り。

  • 昼のカフェ利用:15〜25 USD(約2,400〜3,900円)コーヒー+ペイストリー
  • 夜のバー利用:40〜70 USD(約6,300〜11,000円)カクテル2〜3杯+小皿料理
  • 最寄り駅(Delancey St–Essex St駅)からは徒歩2分

NYベトナム飲食シーンへの波及——デュアルコンセプトの潮流

After Edenの開店は、ニューヨークのベトナム料理シーンがファストカジュアルからファインダイニング、そしてバーカルチャーまで広がりを見せていることの象徴だ。ミシュランBib Gourmandを獲得した「Ngon」がイーストビレッジに出店したのも記憶に新しい。

特にAfter Edenが体現する「デュアルコンセプト」——昼はカフェ、夜はバーという二面性——は、ニューヨーク飲食業界のトレンドとして定着しつつある。家賃が高騰するマンハッタンでは、限られた空間で昼夜の客層を切り替えて収益を上げるビジネスモデルが合理的であり、After Edenはその最新例といえる。

Gelo Honradeのフィリピン系バーテンダーとしてのルーツと、Nancy Nguyenのベトナム系シェフとしての経歴が融合している点も見逃せない。東南アジアの食文化を背景に持つチームが、ニューヨークで新しいホスピタリティの形を提示している。

実用情報

項目詳細
店名After Eden
住所162 Orchard Street, Lower East Side, Manhattan, NYC
最寄り駅Delancey St–Essex St駅(F / J / M / Z線)徒歩約2分
営業時間火〜土 10:00–2:00 / 日 10:00–22:00 / 月 16:00–2:00
昼の価格帯コーヒー 6〜8 USD(約940〜1,260円)/ 食事 7〜14 USD(約1,100〜2,200円)
夜の価格帯カクテル 18〜20 USD(約2,830〜3,140円)
予約Resyで受付
プライベートルーム「The Opium Den」少人数向け個室あり
Card Programカスタムデッキからカードを引き、バーテンダーが即興でオリジナルカクテルを調合するサービス
公式サイトafteredennyc.com

まとめ

After Edenは、ベトナムコーヒー文化とニューヨークのカクテルシーンを1つの空間に融合させた店だ。EMP出身シェフのNancy Nguyenが手がけるフィッシュソース・キャラメル・クイニーアマン、バーテンダーGelo Honradeが設計したフォーティーニ、そして客の運命にカクテルを委ねるCard Program——どれも「ここでしかできない体験」として設計されている。

ニューヨーク旅行の際は、昼のカフェタイムと夜のバータイム、両方を体験してみてほしい。同じ空間が全く別の顔を見せるその瞬間に、After Edenの本領がある。

(出典:Time Out New YorkHoodlineHospitality DesignThe Infatuation

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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