ホーチミン市都市鉄道管理委員会(MAUR)が9月21日、メトロ3路線の着工準備を進めていることを明らかにした。3路線を合わせた延長は90km近く、総事業費は254兆ドン超(約96億ドル)。市が目標に置く着工時期は2026年第4四半期で、完成目標は2030年だ。
ただし発表されたのは、コンサルタントと組んで実現可能性調査(F/S)を作成し、手続きを整えて権限のある当局に承認を諮る、という段階だ。着工日が確定したわけではない。市内で営業運転しているのはいまもベンタイン〜スオイティエンの約20kmだけだ。
9月21日のMAUR発表はF/S作成中の段階にとどまる
MAURが9月21日に示した内容は、3路線の実現可能性調査をコンサルタントと作成中で、手続きを完了させたうえで承認を申請する、というものだ。ベトナム語の原報道は見出しに「dự kiến(見込み)」を置き、英語版は「set to begin」と書いている。どちらも承認が下りたとは書いていない。3路線はいずれも国家予算で整備する前提だ。計画どおりに進めば、市の都市鉄道網は2030年までに255km規模になる。
市は今年すでにベンタイン〜タムルオン、ベンタイン〜トゥーティエム、ベンタイン〜カンジオで着工または動土式を済ませている。今回の3路線はそれに続く枠で、承認が下りるかどうかが年内着工の分岐になる。このほかトゥーティエム〜ロンタイン鉄道と、2号線のタムルオン〜アンハ〜北西新都市区間も市が並行して進めている。
最も長い33km線に113兆ドン、空港を通る23km線に86兆ドン超
路線ごとの概算事業費と駅数は次のとおり。数値はVnExpress(9月22日ベトナム語版・9月24日英語版)によるもので、金額はいずれも「khoảng(約)」か「hơn(超)」を伴う概算だ。
| 路線 | 延長 | 概算事業費 | 駅数 | 車両基地 |
|---|---|---|---|---|
| トゥーザウモット〜タオダン | 33km超 | 約113兆ドン | 24駅(地下13・高架11) | ヒエップビンフオック |
| タンソンニャット〜フーフー(6号線第1期) | 約23km | 86兆ドン超 | 17駅(地下13・高架4) | ビンチエウ |
| ビンズオン新都市〜スオイティエン | 31km弱 | 約55兆ドン | 第1期17駅(内訳は未公表) | 未公表 |
| 3路線合計 | 90km近く(原文表記) | 254兆ドン超(約96億ドル) | 58駅(各路線の予定数の単純合計) | — |
総額はVnExpressが254兆ドン超、Dân tríが260兆ドン超と書いている。差は丸めではなく、路線別の数字そのものの違いから出ている。ビンズオン新都市〜スオイティエンについて、VnExpressは31km弱・約55兆ドン・第1期17駅(地下と高架の内訳は非公表)とするのに対し、Dân tríは約32km・約64.37兆ドン・19駅で全線高架、車両基地はフーチャンとする。トゥーザウモット〜タオダンの延長もVnExpressは33km超、Dân tríは約35kmだ。両紙とも承認前の概算として書いており(VnExpressは「vốn sơ bộ」と明記)、どちらが確定値なのかはまだ決まっていない。
空港を通る23kmは6号線の全線ではなく第1期区間
3路線のうちタンソンニャット〜フーフーは、原文に「giai đoạn một metro số 6(メトロ6号線の第1期)」と明記されている。全長約23km、17駅、地下13・高架4という数字は、ホーチミン・メトロ6号線がタンソンニャット空港の全3ターミナルを地下駅で結ぶ計画として7月に取り上げたときと同じだ。ただし7月に当サイトが「全長約23km」として伝えたのは、今回の資料では6号線の第1期区間にあたる。6号線全体の延長は今回の発表では示されていない。
今回の発表で新しく出たのは、この区間の概算事業費が86兆ドン超と示された点と、東側の終点がフーフーと名指しされた点、そして予算措置が他2路線と同じ枠で語られた点だ。原文では、空港の地下2駅を通って市東部へ向かい、完成後はタンソンニャットをメトロ網とトゥーティエム〜ロンタイン鉄道につなぎ、2つの空港を結ぶ大量輸送の回廊を作るとしている。ロンタイン側の鉄道・メトロ接続も2030年ごろの想定で、12月開港をめざすロンタイン新空港の試験飛行の段階では、当面の空港アクセスは車とバスが主役という前提が変わらない。
3路線のうち2本はビンズオン地区を起点に都心へ入る
トゥーザウモット〜タオダンはビンズオン地区(phường Bình Dương)のフンヴオン通り付近を起点に、ファム・ゴック・タック通り、ビンズオン大通り、国道13号線、グエン・ティ・ミン・カイ通りを経て中心部へ入る。ビンズオン新都市〜スオイティエンも同じビンズオン地区のA1ロータリー付近から始まり、フーロイ、トゥアンザオ、アンフー、タンドンヒエップ、ディアン、ドンホアの各地区を通る。
既存網との接続点は2本で別々だ。トゥーザウモット〜タオダンは終点のタオダン公園でベンタイン〜タムルオン線(2号線)と接続し、中心部の乗換点になる。ビンズオン新都市〜スオイティエンは、終点の地名が既存1号線の終点と同じスオイティエンで、既存網とはVnExpressによればドンホア〜タンバン地区でつながる。この地区ではドンナイ・ロンタイン空港方面の鉄道にも接続する。
新設33km線のルートに、2号線が掘削中の通りが入っている
新設される33km線が中心部へ入るルートには、グエン・ティ・ミン・カイ通りの名前が挙がっている。この通りは、2号線タオダン駅の掘削のために一部区間が一方通行へ切り替えられている通りと同じだ。規制の対象区間と公式の迂回路はホーチミン中心部が3年間の一方通行になる交通規制で扱った。
2号線側の規制は3年超とされており、33km線はまだ承認前の段階にある。2号線タオダン駅の規制が解ける前に、同じ通りへ次の工区が乗る可能性が残る。33km線の終点に指定されたタオダン公園も、いま2号線の掘削ヤードが置かれている場所だ。市内で乗れるメトロが1号線の約20kmにとどまる間、この一角を通る移動の所要時間は読みにくいままになる。ホテルや打ち合わせ場所を決める段階で、規制区間を歩いて抜けられる位置かどうかを見ておきたい。


