ダナンのコーヒー祭で36人が3ラウンドの利き珈琲対決に挑む

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ダナンの「コーヒー大宴会2026(Đại tiệc cà phê)」で、ひときわ静かな熱を帯びていたのが、7月25日に開かれた利き珈琲対決だ。ステージ上で36人が3ラウンドにわたり、香りの違い、配合の比率、コーヒーサンプル同士のわずかな差を、味覚と嗅覚だけで見分けていく。歌や試飲ブースの華やかさとは別の場所で、ベトナムのコーヒーが「飲む文化」から「見極める文化」へと厚みを増している。旅行者にとっては、産地としてのベトナムを体で理解する手がかりになる。

目次

36人がAPECパークで挑んだ、3ラウンドの利き珈琲対決

コーヒー大宴会2026は、ダナン市人民委員会が主催し、7月24日から26日までハイチャウ区のAPECパークで開かれた。会場では毎日16時から21時までストリートミュージックが流れ、試飲ブースやワークショップが並ぶ。その中で7月25日に組まれたのが、テイスター選手権(Tasters Challenge)だ。

参加は36人。3ラウンド制で、審査対象は「感覚能力」と明記されている。具体的には、香りの識別、複数サンプルの配合比率、そしてコーヒー同士の微妙な相違を、舌と鼻だけで判定する。翌26日にはチョコレートアートの対抗戦(定員32人)も組まれ、飲むだけでなく「作り手・見極め手」を主役にした構成になっていた。祭り全体の集客イベントというより、コーヒーの技能そのものを見せる場という位置づけがはっきりしている。

利き珈琲は運試しではなく、3杯から1杯を当てる訓練の成果

「香りや配合を当てる」と聞くと、勘やまぐれの勝負に見えるかもしれない。実際は逆で、これは反復訓練でしか届かない領域だ。世界基準のカップテイスティングでは、テーブルに3杯が並び、2杯は同一・1杯だけ風味がわずかに違う。競技者はその1杯を、香りをかぎ、口に含み、できるだけ速く正確に選び出す。トライアンギュレーション(三点識別法)と呼ばれる方式で、焙煎所や商社が品質管理に使う実務スキルと地続きになっている。

ダナンの36人が挑んだのも、この延長線上にある感覚の勝負だ。ロブスタ主体のベトナムでは、豆の発酵度や焙煎の深さで香りが大きく振れる。その差を言語化して当てられる人が増えることは、産地の品質を底上げする力になる。観客として見ていても、選手が一口ごとに表情を止めて集中する瞬間は、スポーツの判定シーンに近い緊張がある。

2026年、ベトナムが世界利き珈琲選手権で初優勝した流れの中にある

ダナンのローカル大会を、単発の余興として片づけると本質を見落とす。2026年5月、タイ・バンコクのBITECで開かれたワールドカップ・テイスターズチャンピオンシップで、ベトナムのル・クアン・クオン(ニッキー)が世界46人の頂点に立った。ベトナムがこの世界大会を制したのは初めてだ。彼は同年4月にホーチミン市で開かれたベトナム全国選手権を勝ち上がって出場権を得ている。

国内選手権 → 世界制覇という道筋ができた直後に、ダナンが市の祭りの中に36人規模の利き珈琲対決を組み込んだ。生産量で世界2位という量の物語だけでなく、「味を見極める人材」を育てて可視化する動きが、中央のホーチミンから地方都市へ広がりつつある。日本の食品・飲料メーカーにとっても、ベトナムを単なる安価な調達先ではなく、品質評価の担い手がいる産地として捉え直す材料になる。

三点識別方式の早わかり

項目 世界大会(WCC Tasters) ダナンの利き珈琲対決
提示 3杯(2杯同一・1杯だけ違う) 3ラウンドで香り・配合・相違を判定
判定手段 嗅覚・味覚・感覚のみ 味覚と嗅覚のみ
評価軸 速さと正確さ 感覚能力の識別精度
担い手 プロのカッパー・バリスタ 地元の愛好家・業界関係者36人

ブオンマトゥートのロブスタと焙煎、競技の裏にある産地の奥行き

利き珈琲の精度が上がる前提には、見極めるに値する豆がある。ベトナムの生産の中心は中部高原のブオンマトゥートで、ここは「コーヒーの首都」と呼ばれる。従来のロブスタは苦味と重さが前に出るが、丁寧に精製・発酵させたファインロブスタが増え、フルーティな酸や甘みを持つ豆も出てきた。焙煎の深浅、発酵の管理、そして飲み方の幅が、そのまま識別競技の難度を上げている。

ベトナムのコーヒー消費の広がりは、産地だけでなく都市の風景にも表れている。ハイランズコーヒーが西湖畔に1000号店を出したとされる動きは、その象徴だ。産地の豆づくり、都市のチェーン展開、そして技能を競う大会という三層がそろって、はじめてダナンの利き珈琲対決が「文化の一場面」として成立している。関連する動きはブオンマトゥートの焙煎が上海へ渡る記事や、ハイランズコーヒー1000号店の記事でも追える。

祭りは終えても残る、利き珈琲の見方と土産選びの視点

コーヒー大宴会2026は7月26日に幕を閉じた。ただ、そこで示された「味を見極める」という視点は、旅程の組み方や土産選びに長く効いてくる。ダナンはビーチと歴史地区に目が向きがちだが、産地ベトナムを体で理解する切り口として、コーヒーは滞在の軸になりうる。会場で選手が一口ごとに集中していたように、飲み手が香りと配合に意識を向けるだけで、同じ一杯の解像度が変わる。

  • 利き珈琲の見方:競技を映像や記事で振り返るなら、選手が香りをかいでから口に含む順序に注目したい。まず立ち上る香り、次に含んだときの風味、その差を言葉にする過程が、そのまま家庭での味わい方の手本になる。
  • 土産に選ぶ視点:ブオンマトゥート産のファインロブスタや、発酵違いの飲み比べセットは、産地の香りの幅を持ち帰れる。深煎り一辺倒で選ばず、精製方法や焙煎度の違うものを組み合わせると、帰宅後に三点識別を試せる。
  • 来年に向けて:ダナンのコーヒー行事は市の観光局が告知する。次の開催を旅程に組みたいなら、現地観光局の発表を渡航前に確認しておくと動きやすい。

同じフェスでは、コーヒーに魚醤や高麗人参を合わせた実験的な一杯も登場した。その様子はダナンが3日間だけ試した変わり種コーヒーの記事に詳しい。飲む・味わう・見極めるの三方向から、ベトナムコーヒーの現在地を旅の中で確かめてほしい。

参照元

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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