卵形の丸石が浜を埋めるビックダム島、ニャチャン沖に残る電気網のない漁村

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ベトナム中南部の海辺リゾート、ニャチャンの沖合に、ホテルもリゾートもない小さな島がある。ビックダム島(Bích Đầm)。浜には卵に似た丸石が一面に転がり、地元で「タマゴ浜(Bãi Trứng)」と呼ばれてきた。ベトナムの日刊紙VnExpressが2026年9月6日に伝えたこの島を、日本人旅行者の目線でたどってみたい。

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卵形の丸石が浜を覆う「タマゴ浜」

ビックダム島の名を広めたのは、砂ではなく石でできた浜辺だ。大きさの違う滑らかな丸石が、卵を並べたように浜を厚く覆う。波に洗われて角の取れた石は、素足で歩くと足裏に丸みが伝わる。ニャチャンの中心部が白い砂浜と大型ホテルで知られるのに対し、この島の海岸線はほとんどが岩場で、砂の浜はわずかしかない。

石の浜は写真映えする一方で、履物選びには気を使う。濡れた丸石はよく滑るため、サンダルよりも底のしっかりしたマリンシューズが歩きやすい。潮が満ちると石の帯が海に沈むので、浜歩きは干潮の時間に合わせると足元が安定する。

ニャチャン中心部から8海里、ホンチェ諸島の島

ビックダム島は、ニャチャン湾に浮かぶホンチェ(Hòn Tre)諸島の一つで、行政上はカインホア省ニャチャン市ヴィングエン地区に属する。市街の中心からは海路でおよそ8海里、距離にして15kmほど離れている。同じニャチャン沖でも、船で10分ほどの近さで蘭園とバードショーを楽しめる蘭と鳥ショーの島ホアランのような日帰り向けの島とは、たどり着くまでの手間も、島で過ごす時間の質も異なる。

ニャチャンはフランス統治期から避暑地として開けた歴史を持つ。かつての皇帝バオダイが夏を過ごし、いまは仏式別荘「望月」「迎風」として再公開された丘もその名残だ。華やかな海辺都市の沖に、電気の通らない漁村がそのまま残っている点に、この島の面白さがある。

フークイ埠頭発、木造船で1.5時間・運賃45,000ドン

島への足は、ヴィングエン地区のフークイ(Phú Quý)民間埠頭から出る木造の連絡船だ。運賃は1人45,000ドン、日本円にしておよそ265円(1円=約170ドンで換算)。所要時間はおよそ1時間30分で、便は1日1往復しかない。行きの船に乗り遅れると翌日まで渡れず、帰りの船は翌朝6時に島を出る。

時間を短くしたい人には、貸し切りのスピードボートという手もある。片道30分ほどで着く代わりに、料金は連絡船の10倍前後にはね上がる。日程に余裕があるなら、ゆっくり進む木造船に揺られて島の暮らしのテンポに体を合わせていくほうが、この島の旅には似合う。

船は本数が限られ、天候によって欠航することもある。渡航前に埠頭で当日の運航状況を確かめ、日帰りではなく最低でも1泊を前提に予定を組んでおくと安心だ。

樹齢150年のガジュマルと1890年ごろの灯台

島の集落には、村の祠(đình)のそばに立つ大きなガジュマルがある。高さおよそ21メートル、樹齢は150年ほどと伝わり、2024年6月に遺産樹木として登録された。潮風に耐えて枝を広げてきた木は、島に人が暮らし続けてきた年月をそのまま示している。

もう一つの見どころが、ホンロン(Hòn Lớn)灯台だ。建てられたのは1890年ごろで、ベトナムでも古い部類に入る。海抜102メートルの高台に立つ16メートルの塔からは、光がおよそ26海里先まで届く。灯台までは集落から山道を登ることになるため、歩きやすい靴と飲み水を用意しておきたい。登り切ると、ニャチャン湾と周囲の島々を一望できる。

電気網の通らない島、地域が営むホームステイ

ビックダム島には高層の建物も大型ホテルもなく、国の電力網もまだ通っていない。宿泊は、住民が自宅を開いて受け入れるホームステイが中心だ。1人あたりの料金はおよそ100,000ドン、日本円で約590円という水準から用意されている。

島の暮らしは漁と養殖で成り立っている。旅行者は、漁師と一緒に浜で網を引いたり、その日に揚がった魚介を食卓で味わったりと、暮らしの内側に触れる体験ができる。整った観光施設を求める旅とは方向が違う。停電や断水、限られた品ぞろえの売店といった不便さも含めて、島の時間そのものを楽しむ準備で臨むのがよい。

島が選んだ地域観光、2030年に年間4万5000人へ

ニャチャン市の人民委員会は、ビックダム島を環境と持続性を軸にした地域主体の観光地として整備する計画を承認した。2030年までに8〜10軒の地域観光事業者を育て、年間4万5000人の来訪を受け入れる目標が掲げられている。

漁業と養殖に頼ってきた島にとって、観光は住民が現金収入を得る新しい柱になる。開発でリゾートを建てるのではなく、いまある漁村の姿を保ったまま客を迎えようとしている点に、この計画の特徴がある。同じベトナムには、手つかずの海岸が観光地として知られ始めたジアライの秘境ムイ・ヴィ・ゾンのような場所もあり、静けさを保ちながら人を迎える工夫が各地で試されている。

島で気をつけたい、水・現金・通信

電力網のない島では、スマートフォンの充電も限られる。モバイルバッテリーを多めに持ち、こまめに充電しておくと心強い。飲み水は本土で買って持ち込むほうが確実で、日焼け止めや虫よけ、常備薬も現地では手に入りにくい。

支払いは現金が基本になる。連絡船の運賃もホームステイも小額なので、少額紙幣を多めに用意しておくと支払いに困らない。通信は場所によって電波が弱く、常時つながる前提では動かないほうがよい。家族や同行者との連絡手段と集合時間は、船に乗る前に決めておきたい。

日帰りより1泊、ニャチャン滞在に組み込む

1日1便という制約から、島を日帰りで往復するのは現実的でない。ニャチャンに数泊する日程の中で、1泊2日を島に充てる形が組みやすい。朝の便で渡り、灯台とガジュマルを歩いて回り、夜は漁村に泊まって翌朝の船で戻る流れだ。

ニャチャン中心部の海辺リゾートと、電気の通らない島の漁村。この落差を1回の旅で味わえるのが、ビックダム島を旅程に入れる価値になる。船の本数と天候に左右される島だからこそ、予定は詰め込みすぎず、余白を持って向かいたい。

よくある質問

ビックダム島へはどうやって行きますか

ニャチャン市ヴィングエン地区のフークイ民間埠頭から、木造の連絡船で渡ります。運賃は1人45,000ドン(約260円)、所要およそ1時間30分で、便は1日1往復です。帰りの船は翌朝6時に島を出ます。急ぐ場合は片道30分ほどのスピードボートを貸し切る方法もありますが、料金は10倍前後になります。

島に宿泊施設はありますか

大型ホテルやリゾートはありません。住民が自宅を開いて受け入れるホームステイが中心で、1人あたりおよそ100,000ドン(約590円)からの水準です。国の電力網が通っていないため、停電や断水を想定して準備しておくと安心です。

日帰りで観光できますか

連絡船が1日1便のため、日帰り往復には向きません。ニャチャン滞在の中で1泊2日を島に充てる形がおすすめです。灯台までは山道を登るので、歩きやすい靴と飲み水を用意してください。

両替やキャッシュレス決済は使えますか

島では現金払いが基本です。連絡船やホームステイの料金は小額なので、少額紙幣を多めに持っておくと支払いに困りません。飲み水や日用品は本土で買って持ち込むほうが確実です。

参照元:
VnExpress『Đảo Bích Đầm nơi có bãi đá tròn như trứng』
Vietnam News『Sustainable community tourism project approved for Bích Đầm』
VietnamNet『Untouched island near Nha Trang stuns with clear waters and rich culture』

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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