「日本円札と勘違いさせられた」――ハノイで急増する観光客向け詐欺2026年最新版
ベトナムは2026年5月時点で米国務省の渡航勧告レベル1(通常の注意)が継続しており、凶悪犯罪は依然として少ない。一方で観光客を狙った詐欺は手口が年々巧妙化しており、ハノイ・ファムグーラオ通り、ホーチミン市のベンタン市場周辺、ニャチャンの繁華街では「カードすり替え」「両替札のすり替え」「賭けトランプ詐欺」が2026年に入って急増している。日本人旅行者にも被害事例が報告され、駐ベトナム日本大使館は注意喚起を強化した。
2026年に確認された主要な詐欺手口
カナダ政府の渡航情報、現地英字紙、観光警察の発表を総合すると、2026年に多発している詐欺は10類型に整理できる。なかでも被害額が大きいのは「賭けトランプ詐欺」で、ハノイ・ホーチミン市の安宿街で「親戚がカナダ移住を考えているので相談に乗ってほしい」と声をかけられた旅行者が自宅に招かれ、数千ドル単位の現金を失う事例が後を絶たない。
もう一つ被害が多いのが「両替札のすり替え」だ。ベトナム・ドンの500,000VND札と20,000VND札はどちらも青系のデザインで、慣れない外国人は瞬時に判別しづらい。屋台や両替商で支払い直前に紙幣をすり替えられる手口が定番化している。
10大詐欺一覧と被害額
| 詐欺の種類 | 主な発生地 | 典型的な被害額 | 見抜き方 |
|---|---|---|---|
| 賭けトランプ詐欺 | ハノイ ファムグーラオ・ホーチミン市デタム通り | 1,000〜5,000USD(約15万〜75万円) | 道端で親しげに話しかけてくる「在外ベトナム人」 |
| 両替札のすり替え | 屋台・路上両替・タクシー | 50万VND(約3,000円)/回 | 500,000VNDを20,000VNDに置き換え |
| タクシーぼったくり | ノイバイ空港・ホアンキエム湖周辺 | 正規の3〜10倍 | 偽VinasunやMaiLinhの白+緑配色 |
| バイクレンタル損害請求 | ニャチャン・ホイアン・ダナン | 200〜500USD(約3万〜7.5万円) | パスポートを担保に取られた直後の事故偽装 |
| シーフード価格上乗せ | ニャチャン・ハロン湾遊覧船 | 正規の2〜4倍 | メニュー価格を「kg単価」と曖昧に表記 |
| 靴磨き高額請求 | ハノイ旧市街・ホアンキエム湖周辺 | 100〜200万VND(約6,000〜12,000円) | 「無料」と言われても勝手に始める |
| 果物・天秤棒撮影料 | ホイアン・ハノイ ホーチミン廟周辺 | 20〜100万VND(約1,200〜6,000円) | 「写真OK」と言いながら後で請求 |
| ATMスキミング | 路上設置のATM全般 | カード上限まで全額 | カード挿入口に細工がないか触って確認 |
| SIMカード期限詐欺 | 空港・コンビニ周辺の露店 | 10〜30USD(1,500〜4,500円) | 「30日プラン」が数日で停止 |
| 偽メニュー店 | 観光地全般 | 正規の3〜5倍 | 価格を表示しないメニュー |
現地・業界関係者の声
- ハノイ観光警察スポークスマン: 「ファムグーラオ通りで2026年第1四半期に確認した観光客被害は前年同期比で38件増。賭けトランプ詐欺の被害者の7割が単独旅行者だった」
- ホーチミン市1区ホテルのフロントマネージャー、グエン・タン・フンさん: 「チェックイン直後のお客様には『路上で声をかけてくる流暢な日本語の人物には絶対についていかないで』と毎回口頭で伝えている。1日に1〜2件は相談を受ける」
- 在ベトナム日本国大使館 領事部担当者: 「両替札のすり替え被害は2025年以降増加傾向。受け取った直後にその場で札の額面を声に出して数えるだけで防げるケースが大半」
- ニャチャンでバイクレンタル業を営むレ・ヴァン・ヒエウさん: 「業界の中にもパスポートを担保に取って後から損害をでっち上げる悪質業者がいる。借りる側はGoogleレビューと口コミを必ず確認してほしい」
日本人旅行者への影響と具体的対策
日本人観光客が特に狙われやすいのは「現金主義」「英語に不慣れ」「揉めごとを避けたい」という3つの傾向が知られているからだ。ベトナム旅行2026年版の自衛策は『額面音読・銀行内ATM・Grabアプリ』の3点セットに集約される。
両替後は受け取った札を額面ごとに声に出して数え、すり替えの余地を作らない。ATMはコンビニや路上ではなく必ず銀行支店の中にあるものを使う。タクシーは流しを止めず、Grabアプリで配車・料金確定する。これだけで上記10類型のうち7類型は防げる。
ハノイのヘリテージカフェを巡る際も、観光地から一歩入った路地ほど詐欺が起きにくい傾向にある。混雑するメインストリートよりローカル住民が利用するエリアの方が、価格表示も明確で安全だ。
業界への波及――観光警察と大使館の連携強化
ベトナム観光総局は2026年4月、主要観光都市の観光警察に多言語対応のホットラインを設置すると発表した。日本語対応はまだ限定的だが、英語・中国語・韓国語の通報窓口は24時間体制となる。さらに、ハノイ市当局はファムグーラオ通り周辺で覆面捜査官を増員し、賭けトランプ詐欺グループの摘発を進めている。
日本側でも、JTBや日本旅行などの大手代理店が2026年版ベトナム旅行ガイドに「詐欺事例集」を新たに掲載した。ダナン・ニャチャンといった人気リゾート地では、ホテルが日本語の注意喚起カードをチェックイン時に配布する取り組みも広がっている。
被害に遭ったときの実用情報
| 状況 | 連絡先・対応 | 備考 |
|---|---|---|
| 緊急(強盗・暴行) | 113(警察) | ベトナム全土共通 |
| 観光警察ホットライン | +84-69-219-7050 | 英語対応・24時間 |
| 在ベトナム日本国大使館(ハノイ) | +84-24-3846-3000 | 緊急時は時間外でも対応 |
| 在ホーチミン日本国総領事館 | +84-28-3933-3510 | 南部全域をカバー |
| クレジットカード紛失 | カード裏面の国際フリーダイヤル | すぐ停止+ホテルで利用明細確認 |
| パスポート紛失 | 所轄警察で紛失届→大使館で再発行 | 顔写真2枚・戸籍謄本必要 |
まとめ――2026年のベトナム旅行を安全に楽しむための3アクション
2026年のベトナム旅行は、「現金は財布を分ける」「ATMは銀行内のみ」「声をかけてきた人にはついていかない」の3点を徹底するだけで、報告される詐欺被害の大半は回避できる。詐欺の手口は進化するが、基本動作は変わらない。
渡航前にはベトナム外務省・在ベトナム日本国大使館の最新注意喚起ページを確認し、家族と滞在先・連絡手段を共有しておくことも有効だ。ベトナムのスピリチュアル観光のような落ち着いたエリアを組み合わせれば、トラブルに巻き込まれるリスクをさらに下げられる。安全対策は万全に、ベトナムならではの食・文化・自然を心ゆくまで楽しんでほしい。
