ANIMA――ホーチミン1区に誕生した「1フロア=1アーティスト」の泊まれる現代アート美術館

2026年、ホーチミン市1区ホートゥンマウ通りに、宿泊できる現代アート美術館「ANIMA」がオープンした。7階建ての各フロアを異なるベトナム人アーティストが丸ごとプロデュースし、ゲストは”アートを眺める”のではなく”アートの中で眠る”体験を手にする。併設レストラン「ÚNU Eatery & Bar」では、作品世界から着想を得た創作ベトナム料理とカクテルが楽しめる。日本からの直行便が増えるホーチミンで、アートと滞在を融合させた新しい旅のかたちを探ってみたい。

目次

「魂はどこに宿るのか」――ANIMAのコンセプトと誕生経緯

ANIMAはラテン語で「魂」を意味する。ホテルの根底にあるのは「Where does the soul live?」という問いかけだ。43-45 Ho Tung Mau通りのヘリテージ建築をリノベーションし、エクレクティシズム(折衷主義)とブルータリズムが交差するインテリアに仕上げた。むき出しの天井、テクスチャーのある壁面が「インダストリアル・シック」な空間をつくり、そこにベトナム現代アートが息づく。

コンセプトの核心は「1フロア=1アーティスト」。7人の新進作家がそれぞれの階を丸ごとキュレーションし、客室の壁面・共用廊下・照明まで作品世界に変えた。ゲストは美術館のように「見る」のではなく、寝起きする空間そのものがインスタレーションという体験を得る。

7人のアーティストが彩る各フロアの世界

ANIMAに参加する7人のベトナム人現代アーティストは、それぞれ異なるメディアと感性で各階を仕上げた。

アーティスト生年表現手法作風の特徴
Đặng Quang Tiến1992水彩繊細な色彩のレイヤーで空間に奥行きを与える
Mzung Nguyễn1982彫刻・絵画・インスタレーション複数メディアを横断し、空間全体を作品化
Phạm Xeen1994抽象画大胆な色面構成で感情を直接壁に描く
Bách Vũ1993白黒ペインティングモノトーンの対比で静謐な空気をつくる
Lê Phi Long1988カラフルなメモリアル作品鮮やかな色彩で記憶と場所を結びつける
Tuýp Trần1988曼荼羅・伝統紙アートベトナムの伝統素材を現代的文脈に再配置

最年少のPhạm Xeen(1994年生)から最年長のMzung Nguyễn(1982年生)まで、世代も表現もバラバラだからこそ、フロアを移動するたびに別の美術館に足を踏み入れたような感覚になる。筆者が注目するのはTuýp Trầnのフロアだ。曼荼羅と伝統的な紙素材を使い、ベトナムの工芸を「アートホテル」という文脈で再解釈している点が興味深い。

客室タイプと宿泊料金

客室タイプ広さベッド特徴参考価格(1泊)
Artist Hideaway17㎡クイーン内窓付き、コンパクト約117 USD〜(約18,000円〜)
Artist Retreat21㎡クイーン内窓付き約130 USD〜(約20,000円〜)
Artist Refuge22㎡キング中庭ビュー約140 USD〜(約21,500円〜)
Artist Haven25㎡キングシティビュー+バスタブ約160 USD〜(約24,500円〜)
Artist Escape64㎡ベッドルーム×2ペントハウス、シティビュー+バスタブ要問合せ

朝食・Wi-Fiは全プラン無料。屋上プール、ジャクジー、スチームルーム、サウナ、フィットネスジムも宿泊者は自由に利用できる。64㎡のペントハウス「Artist Escape」は2ベッドルーム構成で、3〜4人のグループ旅にも対応する。日本人旅行者にとっては、ノートルダム大聖堂まで徒歩5分、独立宮殿まで7分、ベンタイン市場まで10分というロケーションも魅力的だ。

併設「ÚNU Eatery & Bar」――アーティストの記憶を味に変換する食体験

ANIMAの1階に併設された「ÚNU Eatery & Bar」は、ホテルのアート世界観をそのまま食卓に落とし込んだレストランだ。店内には大胆なペインティング、インスタレーション、彫刻作品が配され、ラフな素材感・自然光・グリーンが溶け合う空間。

メニューはベトナムの地元食材を軸にした創作料理。ランチ、ディナー、ハイティー、カクテルとシーンに合わせた利用ができる。週末にはライブミュージックも開催され、宿泊者以外も気軽に立ち寄れる。ホーチミンのCieL Diningが世界TOP10に入ったように、サイゴンのダイニングシーンは急速に成熟しつつあり、ÚNUもその流れの中で注目を集めている。

宿泊者・メディアの反応

TripAdvisorのレビューでは、アートコンセプトの没入感、朝食のクオリティ、スタッフのホスピタリティに高評価が集中している。あるゲストは滞在を「クリエイティブで、パーソナルで、深く考え抜かれた空間」と表現した。

旅行メディアの反応も好意的だ。「ホーチミンのベストブティックホテル2026」のリストに名を連ね、リモートワーク向けホテルガイドでも紹介されている。4つ星ホテルとしての設備は十分に整いながら、アートという付加価値で差別化している点が評価されている。

一方で日本語のレビューはまだ少なく、穴場感がある。日本のアートホテル(たとえばBnA Altered States京都)に泊まった経験がある人なら、ANIMAの「1フロア=1アーティスト」というコンセプトにはすぐにピンとくるだろう。

日本人旅行者への影響――「アート×宿泊」の選択肢が広がる

日本からホーチミンへの直行便はJAL・ANA・ベトジェットなどが就航し、フライト時間は約6時間。1区中心部に位置するANIMAは、到着初日や最終日の宿として使いやすい。

日本ではBnAホテルやPARK HOTELのアートフロアなど、アートと宿泊を融合した施設が増えている。ANIMAはその東南アジア版ともいえる存在で、しかも1泊約18,000円〜と日本のアートホテルに比べて手頃だ。ホイアンの隠れ家リゾートと組み合わせて「ベトナム・アート&カルチャー旅」を組むのも面白い。

ホーチミンのアートホテル競争と業界への波及

ホーチミン1区は高級ホテルの激戦区だ。パークハイアット、ザ・レヴェリーサイゴン、カラベルホテルといった大手が並ぶ中、ANIMAは「アート特化型ブティック」という明確なポジションで差別化している。

ベトナムの現代アート市場は2020年代に入って急成長しており、サイゴン・アート・ウィーク、ファクトリー・コンテンポラリー・アーツセンターなど、インフラも整ってきた。ANIMAのようなアートホテルは、宿泊施設であると同時に、若手アーティストの発表の場としても機能する。ベトナム産コーヒーがエッグコーヒーのように文化的アイコンになったように、ベトナム現代アートも観光資源として認知される段階に入っている。

アクセス・実用情報

項目詳細
住所43-45 Ho Tung Mau, Saigon Ward, District 1, Ho Chi Minh City
最寄りランドマークノートルダム大聖堂(徒歩5分)、独立宮殿(徒歩7分)、ベンタイン市場(徒歩10分)
客室数全7フロア・5タイプ
参考価格約117 USD〜/泊(約18,000円〜)
朝食無料(宿泊者全員)
併設レストランÚNU Eatery & Bar(ランチ・ディナー・ハイティー・カクテル)
ウェルネス屋上プール、ジャクジー、スチームルーム、サウナ、ジム
電話(+84) 83 388 1010
メールinfo@animasg.vn
公式サイトanimasg.vn

まとめ

ANIMAは「泊まれる美術館」という言葉がそのまま当てはまるホテルだ。7人のベトナム人アーティストが手がけた各フロアは、客室ドアを開けた瞬間から没入感がある。1区の好立地、屋上プールやウェルネス施設の充実、ÚNUでの食体験、そして1泊約18,000円〜という価格帯。ホーチミン旅行で「もうひとつ記憶に残る体験」を探しているなら、ANIMAは有力な選択肢になるだろう。

引用・参考

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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