Urban Brews――RMIT大学生25人がホーチミンのカフェ文化を”解読”するInstagramプロジェクト

ホーチミンのカフェは、もはや「コーヒーを飲む場所」ではない。空間デザイン、照明、音楽、器の選び方まで含めた「カフェ美学」が、Z世代の表現フィールドになっている。2026年3月、RMIT大学ベトナム校のプロフェッショナル・コミュニケーション専攻の学生25人が、この文化をデジタルストーリーテリングで「解読」するInstagramプロジェクト「Urban Brews」を立ち上げた。50本以上のショート動画と約200枚の写真で構成されるこのアカウント(@urbanbrewshcmc)は、カフェ文化をアカデミックな視点で切り取る試みとして注目を集めている。

目次

Urban Brewsとは何か――プロジェクトの全貌

Urban Brewsは、RMIT大学ベトナム校のDr. Adhvaidha Kalidasanが2024年のTeaching Award資金を活用して設計した「体験型プラクティス・ラボ」だ。プロフェッショナル・コミュニケーション専攻の2年生25人が参加し、ホーチミン市内のカフェを巡りながらショートフォーム動画を制作した。

ユニークなのは、単なるカフェ紹介ではなく、歴史的人物や文学作品にもとづく「テーマプロンプト」が各チームに与えられた点だ。学生たちは与えられたテーマをカフェ空間の中でどう視覚化するかを考え、撮影・編集・投稿まで一貫して担当した。

プロジェクトの背景――なぜカフェ文化が研究対象になるのか

ベトナムのカフェ産業は国の経済成長と切り離せない。世界第2位のコーヒー生産国であるベトナムでは、街角のカフェが社交・ビジネス・創作の拠点として機能してきた。ホーチミンだけでも数千軒のカフェが存在し、ハノイのCafe Giangが生んだエッグコーヒーのような独自メニューも世界的に知られるようになった。

Z世代にとって、カフェは「映える場所」であると同時に、自分のアイデンティティを表現するメディアでもある。Urban Brewsは、この現象をアカデミックなフレームワークで捉え直すことに挑戦している。

項目詳細
プロジェクト名Urban Brews
運営RMIT大学ベトナム校 Professional Communication専攻
指導教員Dr. Adhvaidha Kalidasan
参加学生数25人(2年生)
制作コンテンツショート動画50本以上、写真約200枚
Instagramアカウント@urbanbrewshcmc
公開開始2026年2月
資金源2024年Teaching Award

学生たちが訪れたカフェと発見

Urban Brewsが取り上げたカフェは、ホーチミン市内の多彩な店舗に及ぶ。ジブリの世界観をモチーフにした「A Little Studio Bookstore」、ラテンアメリカの雰囲気を持つ「Dulce de Saigon Café」、華僑が開いた歴史あるカフェなど、ジャンルも雰囲気もバラバラだ。

学生のYen Thiは、動画制作の過程で「アイデアはリアルで本物でなければならない」と語り、カフェに入る前にまず自分の目で観察し、発見してから撮影に入ることの大切さを強調した。Ngoc Tramは「オーディエンスのプリファレンスをリサーチし、惹きつけるストーリーを伝えるべき」と述べ、ありふれたカフェレビューとの差別化を意識している。

筆者が感じるのは、このプロジェクトが「カフェインフルエンサー」とは一線を画している点だ。テーマプロンプトという制約があるからこそ、表面的な「おしゃれ紹介」に留まらず、空間の意味を掘り下げる視点が生まれている。Marou Bonbon Phởのように、ベトナムの食文化は常に新しい解釈を受け入れてきたが、カフェ空間もまた同じ進化の途上にある。

教育現場とカフェ産業の反応

Dr. Kalidasanはプロジェクトの成果について、学生たちが「驚くべきストーリーテラー」であることを証明したと評価している。Urban Brewsの強みは「本物であること」にあり、Z世代のカフェ文化から自然に生まれた企画だからこそ、わざとらしさがないという。

カフェオーナー側からも反応がある。学生たちの動画は既存のカフェレビューとは異なるアプローチで店の魅力を伝えており、「プロモーション目的ではない第三者の視点」として歓迎されている。Instagramでの反応も上々で、ホーチミンのカフェ好きコミュニティを中心にフォロワーが増えつつある。

学生たち自身も、観察力の向上、意図的なコンテンツ制作のスキル、リーダーシップへの自信など、実践的な成長を実感しているという。卒業後のキャリアに直結するポートフォリオにもなっている。

日本人旅行者・カフェ好きへの影響

Urban Brewsのアカウント@urbanbrewshcmcは、ホーチミンのカフェ巡りの「新しいガイドブック」として機能する可能性がある。従来の旅行ブログやGoogleマップの口コミとは違い、空間の雰囲気や文脈をショート動画で体感できるのが強みだ。

日本からホーチミンを訪れるカフェ好きにとって、現地のZ世代がどんな視点でカフェを選び、どう楽しんでいるかを知ることは、ガイドブックには載らないローカル体験への入り口になる。Pier DessertKKV旗艦店など、ホーチミンの新しいカルチャースポットと合わせてチェックしておきたい。

デジタルコンテンツ教育への波及

Urban Brewsは、大学教育とソーシャルメディアの接点を示すケーススタディでもある。日本の大学でもゼミ単位でInstagramアカウントを運営する事例はあるが、Teaching Award資金を使い、文学的テーマプロンプトを組み込む設計は珍しい。

ベトナムのデジタルコンテンツ市場は急速に拡大しており、TikTokの浸透率はASEANでもトップクラスだ。Urban Brewsの学生たちは、卒業後にコンテンツクリエイター、デジタルマーケター、ブランドストラテジストとしてこの市場に参入していく。プロジェクトで培った「観察→発見→ストーリー化」のスキルは、カフェ以外のあらゆる領域に応用できる。

実用情報

項目詳細
Instagramアカウント@urbanbrewshcmc
コンテンツ形式Reels(ショート動画)+フィード投稿(写真)
言語英語・ベトナム語
紹介エリアホーチミン市内全域のカフェ
運営母体RMIT大学ベトナム校(702 Nguyen Van Linh, District 7, HCMC)
関連ハッシュタグ#urbanbrews #hcmccafe #vietnamcoffee

まとめ

Urban Brewsは、カフェレビューでもインフルエンサーマーケティングでもない。大学生25人が、アカデミックなフレームワークを持ちながらホーチミンのカフェ文化を「解読」し、50本以上の動画として発信するプロジェクトだ。@urbanbrewshcmcのフィードを眺めれば、ベトナムのZ世代がカフェ空間に何を見出しているかが伝わってくる。次のホーチミン旅行のカフェ選びに、従来のガイドブックとは違う視点を加えてみてほしい。

引用・参考

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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