ベトナム北部ラオカイ省サパで、2026年9月25日(金)の夜、大型の山車(ランタン)14基が市街の幹線を練り歩き、サパ石造教会前の広場に次々と入ってきた。旧暦8月15日、中秋の当夜である。主催はサパ坊(phường Sa Pa)人民委員会、行事名は「Đêm hội Trăng rằm(満月の夜の祭り)」。広場では特別賞・1位・2位・3位・奨励賞まで順位が発表された。サパへ行く旅行者にとっては、宿を取る日付と夜に立つ場所を左右する話になる。
9月25日の夜、山車14基が幹線を練り歩いて石造教会前に集まった
ベトナムニュース紙によれば、行列を見ていたのは地元住民だけでなく国内外の旅行者も含まれていた。山車は内側から照らされ、伝統的な祭囃子を伴って進んだ。造形は龍、鯉、馬、祭りの太鼓、五芒星のランタンなど、中秋に結びついた図像がそろっていた。
バスと同じ高さ・長さの山車が混じっていた
原文は「そびえるような山車のいくつかは、バスの高さと長さに並んだ」と書いている。14基すべてがバス大だったわけではない。ただ、見上げる高さの造形物が幹線を塞いで進むので、行列の間は車での移動を当てにできない。
特別賞は中学校、1位は住民組が出した龍と銅鼓
最上位の特別賞はサパ中学校の作品。2026年の干支に合わせた馬を中心に据え、周りにサパで共に暮らす6民族——モン、ザオ、ターイ、ザイ、サーポー、キン——を表す人形を並べた構成である。同校の教師ドー・スアン・トゥオン氏は、前へ跳ぶ金色の馬に「サパとベトナムが歩み続け、世界とつながっていく願い」を託したと語っている。
1位はタックバック住民組(tổ dân phố Thác Bạc)。伝承の神龍が銅鼓に巻きつく造形で、組長のファム・ホン・タン氏は「銅鼓に巻きついた神龍はベトナムの魂をかたどったもので、若い世代に『水を飲むときは水源を思え』という教えを伝えるためのものだ」と話した。
出したのは6民族ではなく、住民組・学校・企業・ホテル・観光施設だった
ここは取り違えやすい。6民族が1基ずつ出したのではなく、特別賞を取ったサパ中学校の1基の上に人形として載っていた。
予定18基に対して、行列に並んだのは14基
ラオカイ省紙バオ・ラオカイは9月23日の記事で、今年の「Đêm hội Trăng rằm」には機関・団体・住民組・学校・企業・ホテル・観光地区の18基が集まる予定だと書いていた。25日夜の行列を報じた記事の数は14基。食い違う理由はどちらの記事にも書かれていない。出し手が学校だけでなく宿や観光施設まで入っていることは、省紙の記述から確認できる。
骨組みは鉄で、外側に木と紙と布を貼る
素材の説明も2本の記事で見え方が違う。ベトナムニュース紙は「木・紙・布といった自然素材・環境配慮素材で作られた」と書く。一方の省紙は、大型模型の土台が「粗い鉄の枠(khung sắt)」であること、サパ幼稚園の作品「Trung thu gắn kết – yêu thương」が鉄・デカール・スプレー塗装を主材にしていること(9月23日時点で約9割完成)を書いている。骨組みは鉄で、人が見る表面に木・紙・布が来る構造だ。「全部が環境配慮素材」と読むと実態からずれる。
省紙はファンシーパン小中学校の「Hội tụ sắc màu – Vững bước tương lai」も紹介している。五芒星に地元モン族の刺繍布、笛、民族衣装、サパの山並みを重ねた作品だ。
1位の山車にかかった6,000万ドンは、誰がどう出したのか
住民と地元企業の寄付を積み上げた
省紙は、1位のタックバック住民組の作品「Hào quang Rồng Việt – Rực rỡ đêm thu」の総費用を6,000万ドン超と書いている。原語表記は「hơn 60 triệu đồng」。triệu は100万なので6,000万ドン、tỷ(10億)と読み違えると1,000倍ずれる桁だ。財源は行政の予算ではなく、その住民組の住民と地元企業からの寄付と明記されている。
15人で約10日、その組は18年続けて出している
タン氏によれば、デザインが決まってから完成までを15人のチームで約10日。この組が祭りに参加するのは18年連続になる。観光地の飾り物を業者に発注して並べるのとは、お金の出どころも作り手も違う。
| 項目 | 確認できた内容 |
|---|---|
| 1位作品 | タックバック住民組(龍+銅鼓) |
| 総費用 | 6,000万ドン超(hơn 60 triệu đồng)=約36万円/約2,300米ドル。2026年9月26日時点の1円=約164.9ドン、1米ドル=約25,980ドンで換算 |
| 資金の出どころ | 住民組の住民と地元企業の寄付 |
| 製作 | 15人/デザイン確定後 約10日 |
| 参加年数 | 18年連続 |
| 特別賞 | サパ中学校(馬+6民族の人形) |
| 行列の基数 | 当夜14基(省紙の事前記事では18基が参加予定) |
| 同じ月の関連行事 | 9月17日、SWAN LEGEND社協賛の中秋菓子3,500個を坊内7校に配布 |
その前の週、サパは5,500人近いトレイルランナーで埋まっていた
VMMは13回目、54の国と地域から集まった
旅行者にとって重要なのはここだ。サパ坊の官報サイトによれば、9月17日午後、サパのサン・クアン(Sân Quần)でベトナム・マウンテン・マラソン(VMM)2026が開幕している。サパでの開催は13回目、参加は54の国と地域から5,500人近く。種目は10km、21km、50km、70km、100km、100マイル(約161km)の6つで、50kmと100kmはワールド・トレイル・メジャーズの一戦に入る。主催はフーティン有限会社(Topas Travel)。
コースはサパ市街とタヴァンなど4つの村を通る
コースはサパ坊と、タヴァン、バンホー、ターフィン、ムオンボーの各村を通る。100マイルは9月18日8時、他の5種目は19日スタートで、表彰式は20日午前にサン・クアン。9月17〜20日にランナーと関係者が入り、その5日後の25日夜に山車が出た。9月下旬のサパは2週続けて宿が埋まりやすい時期だったことになる。
住民の側から祭りを立ち上げる動きは、北部の山間に限らない。同じ9月26日にはホーチミン市カンジオでクジラを神として迎える漁師の祭りが沖へ船団を出している(カンジオの鯨祭り)。古い建物や土着の造形を自分たちの手で価値づける動きも都市の若い層に広がっている(モダニズム建築を探す15万人のグループ)。サパの山車は、それが行政単位で制度化された形に見える。
中秋の夜にサパへ行くなら、何時にどこに立つかで見え方が変わる
教会前とサン・クアンは客引き対策の重点区域になっている
サパ坊人民委員会は9月10日午後、客引き・つきまとい・行商・物乞いへの対応計画案をまとめる会議を開いた。議長はダン・ヴィエット・ズン常任副委員長で、ターフィン、グーチーソン、タヴァン、バンホー各村の人民委員会・公安・文化社会課も加わっている。計画案はサン・クアン、石造教会周辺、公園、観光通りでの実態把握と記録を重点に置き、子どもの保護と、生計転換を望む世帯への販売場所の割り当てを併記している。山車が集まる広場の周りは、行政が把握に動いている区域だということになる。
ムオンホア=カウマイ通りは朝の送り迎えで詰まる
同じ官報サイトは9月10日午前、ムオンホア=カウマイ通りのパオズ・ホテル付近で自動車の停車・駐車による局所的な渋滞が起きたことを伝えている。時間帯は保護者の通学送迎のピークと重なり、雨天だと二輪と児童の安全にも関わるという書き方だ。車で入るなら時間をずらすか、宿に置いて歩くほうが早い。
| 知りたいこと | 確認できた内容 |
|---|---|
| いつ | 2026年は旧暦8月15日の9月25日(金)夜。太陽暦の日付は年ごとに動く |
| どこ | サパ市街の幹線を巡行し、サパ石造教会前の中央広場に集合 |
| 主催 | サパ坊(phường Sa Pa、ラオカイ省)人民委員会 |
| 内容 | Đêm hội Trăng rằm 2026。山車の巡行と表彰、音楽公演、獅子舞 |
| 同じ月の混雑 | VMM2026が9月17〜20日開催、参加5,500人近く |
| 足元の注意 | ムオンホア=カウマイ通りは朝の送迎時に停車で詰まる(9月10日の事例) |
| 広場周辺 | 客引き・行商対応計画の重点区域(石造教会周辺、サン・クアン、公園、観光通り) |
来年サパの中秋を狙うなら、日付は旧暦から逆算して宿を先に押さえる
ハノイから来ていた旅行者カオ・グエット・アイン氏は「数日のんびりするつもりで来たら、子ども向けとは思えない規模の祭りに出会った」「友人と伝統音楽に合わせて踊り、山車が次々と広場に入ってくるのを見た」と語っている。狙って来た人ではなく偶然当たった人の言葉である点が、この祭りの現状を示している。
ズン常任副委員長は、多民族の文化が集まる土地で満月祭を開くことには「子どもに健やかな遊び場を用意し、伝統的な文化価値を守り、共同体の結びつきを強め、文化的に豊かなサパの姿を住民と旅行者に見せる」意味があると述べている。住民組や学校を主体に組み立てている点が、飾り物を並べる催しとの差になっている。
次に取れる行動は1つに絞れる。中秋の夜をサパで見たいなら、太陽暦ではなく旧暦8月15日から逆算し、その前後2週間の宿を早めに確認することだ。2026年はその日が9月25日で、直前の週末にVMMが入っていた。車で上がるなら燃料の値動きも計算に入れておきたい(E10の価格とレンタカー・Grabへの効き方)。当夜は車を置いて、石造教会前の広場へ歩いて向かうのが確実である。


