ベトナムの通信大手ベトテル(Viettel)が、eSIM専用の5Gデータパッケージを売り出した。高速データが1日10GB、料金は30日サイクルで125,000ドン。ホーチミン市のテレビ局HTVが2026年9月24日に伝えた。買う窓口は「Viettel Tammi」というアプリで、開通はQRコードを読ませる方式。ベトナムに出張や旅行で入る人、住んでいて回線を見直したい人にとって、通信をどこで手配するかが変わってくる。
ベトテルが1日10GBのeSIM 5Gを出した、30日で125,000ドン
高速データ1日10GB、30日サイクルで125,000ドン
パッケージ名は「eSIM 5G」。高速データが1日10GB、料金は125,000ドンで、サイクルは30日。ベトテルは、動画の高解像度再生やオンライン会議、オンラインゲーム、大容量ファイルの送受信といった使い方を想定していると説明している。5Gの基盤を「広い範囲をカバーするよう投資している」としているのも同社の説明で、第三者の実測ではない。
対象は「eSIMで新規開通する客」とHTVは伝えている
見落としやすいのが適用範囲だ。HTVはこの料金を、eSIMで新規に開通する客だけに独占的に適用される優遇だと書いている。裏を返すと、すでにベトテルの番号を持つ人が物理SIMからeSIMに替える場合まで同じ条件になるかは、この一行からは読み取れない。「新規開通のeSIM客向け」という一行が、この料金の輪郭を作っている。
開通手順としてHTVが挙げているのはQRコードによる有効化で、iOS端末についてはQRコードなしでも新しい番号を開通できる、という説明が添えられている。eSIM自体はスマートフォンのほか、タブレットやウェアラブル端末でも使えるとされている。
125,000ドンは日本円でいくらになるか
ベトコムバンクのレートで約780円
ベトコムバンク(Vietcombank)が2026年9月25日に公表した電信送金レートは1円=159.64ドン、1米ドル=25,800ドン。これで割ると125,000ドンはおよそ780円、およそ4.8ドルになる。為替は動くので9月25日時点の目安だ。
1日あたり約4,167ドン、円にして約26円
30日サイクルなので、30で割ると1日あたり約4,167ドン、円にして約26円になる。この割り算は当方が行ったもので、ベトテルが1日単位の価格として出しているわけではない。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| パッケージ名 | eSIM 5G(ベトテル) |
| 高速データ | 1日10GB |
| 料金・サイクル | 125,000ドン/30日 |
| 円・ドル換算 | 約780円/約4.8ドル(1円=159.64ドン、1ドル=25,800ドン。ベトコムバンク2026年9月25日の電信送金レート、当方換算) |
| 1日あたり | 約4,167ドン/約26円(当方の割り算) |
| 対象 | eSIMで新規開通する客向けの専用優遇(HTV) |
| 開通方法 | QRコード。iOSはQRコードなしでも新番号の開通が可能とベトテルが説明 |
| 購入窓口 | Viettel Tammiアプリ |
買う場所がアプリに移った、窓口はViettel Tammi
My Viettelは10月1日で役目を終えるとGoogle Playに告知が出ている
ここが実務に効く。HTVは購入窓口をViettel Tammiアプリだと書いている。長くベトナムで暮らす人が使ってきた「My Viettel」ではない。Google PlayのMy Viettelのページには、説明文の冒頭に、My Viettelのサービスは新世代アプリのViettel Tammiに統合され、My Viettelは2026年10月1日に役目を終えるという告知が載っている。「新機能」欄にも、同じ10月1日に移行するのでサービスが途切れないようTammiをダウンロードしてほしい、という一文が並ぶ。数年ぶりに来る人が「前に入れたアプリでいい」と考えると、そこで手が止まりかねない。
App Storeに出ているTammiの容量と対応OS
Viettel TammiはApp Store上ではViettel Corporationが提供元で、初公開は2026年4月15日。最新版は1.1.40、更新日は2026年9月24日。対応OSはiOS 16.0以降で、表示言語の欄にはベトナム語だけが並ぶ。容量は約417MBあり、現地に着いてから細い回線で落とすには重い部類だ。日本のApp Storeからも同じページを開ける。Android版もGoogle Playに「Viettel Tammi」(提供元VIETTEL TELECOM)として出ている。
| Viettel Tammi(iOS版) | App Storeの表示 |
|---|---|
| 提供元 | Viettel Corporation |
| 初公開 | 2026年4月15日 |
| 最新版 | 1.1.40(2026年9月24日更新) |
| 対応OS | iOS 16.0以降 |
| 表示言語 | ベトナム語 |
| 容量 | 約417MB |
| 評価 | 3.7/9,836件(ベトナムのApp Store、2026年9月25日時点) |
移行への反応は評価欄とメーカー返信に出ている
現地の受け止めは、取材ではなく公開されている評価欄から拾う。ひとつはTammiの星の数で、ベトナムのApp Storeが3.7(9,836件)、Google Playが2.7(約15,500件)。アプリ全体への評価であって移行そのものへの採点ではないが、手放しで歓迎されている水準ではない。ふたつめは、Google PlayのMy Viettelのレビュー欄に、ポイント交換のためログインしようとしたときの使い勝手へ不満を書いた投稿が見られること。みっつめが、そこに付いた提供元Viettel Media Incの返信で、2026年9月18日付、My Viettel上の「Viettel++」機能は停止しTammiへ移ったのでTammiでログインしてほしい、と案内している。移行が現在進行形であることが読み取れる。
日本から来る人と住んでいる人で、この料金の意味は変わる
短期滞在者が先に確かめておく範囲
先に線を引く。HTVの記事には、外国人がこのパッケージを買えるかどうか、購入や開通に何が要るかについての記載はない。ベトテル公式サイトの案内も本稿の時点では中身を確認できなかったので、条件の細部はここでは書かない。買えるかどうかも含めて渡航前に自分で当たるところ、と割り切るほうが安全だ。
そのうえで、買えた場合の意味は短期滞在者ほど分かりやすい。30日サイクルを2週間の出張で使い切らないまま帰ることになる。それでも約780円なら、データ量を気にせずオンライン会議に出られる価値と釣り合うか、という判断になる。滞在が1週間で地図と翻訳しか使わないなら1日10GBの枠は余る。枠の大きさより手続きがアプリで完結するかが効いてくる層だ。
在住者は番号と本人確認がひとまとめになっていく
住んでいる側はもう少し込み入る。ベトナムでは行政手続きのデジタル化が速く、在住外国人がVNeIDを持てるようになる動きも出ている(在住外国人もVNeIDが持てる、9月28日から何が変わるかで扱った)。身分証も通信も公共料金の支払いも手元のアプリに集まっていく流れの中に、今回のeSIMパッケージも置かれている。
その流れに乗るとき、表示言語がベトナム語だけなのは日本語話者に重い。画面を翻訳しながら進めるので、通信が細い場所や急いでいるときに初めて触るのは避けたい。
機内はStarlink、地上はeSIM、到着後の空白が埋まってきた
ベトジェットの機内Wi-Fiと同じ方向を向いている
単体では小さな料金改定だが、並べると流れが見える。ベトジェットは保有機にStarlinkを積んで機内Wi-Fiを無料提供する方針を打ち出している(ベトジェットが120機にStarlink、機内Wi-Fiを無料提供へ)。空の上は衛星、地上はeSIMと5G。到着してからSIMを手に入れるまでの空白を、各社が別の側から埋めにかかっている。
到着後の動線はロンタイン開港でも変わる
ホーチミン周辺ではロンタイン新空港の開港準備も進んでいる(12月開港へ試験飛行、ロンタイン新空港で発着はどう変わる)。到着ロビーも市内へ出る手段も、これまでと同じとは限らない。着いてから探す前提を捨てて出発前に手配を終える段取りにすれば、空港側の事情に振り回されずに済む。
買う前に自分で確かめておきたい3点
端末・言語・条件を、渡航前の手元で潰す
確認は3つに絞られる。ひとつめは端末がeSIMに対応しているか。ふたつめは購入窓口となるアプリを事前に入れておくこと。容量が約417MBあるので日本にいるうちにWi-Fiで落としたい。みっつめが、自分がこのパッケージの対象になるかをベトテル自身の案内で確かめること。HTVが伝えているのは「eSIMで新規開通する客向け」という一行までで、それ以上の条件はここでは確認できていない。
| 確認項目 | いつやるか | どこで |
|---|---|---|
| 端末のeSIM対応 | 渡航前 | 手元の端末の設定画面 |
| Viettel Tammiの導入 | 渡航前(Wi-Fi環境で) | App Store/Google Play |
| パッケージの適用条件 | 申し込み直前 | ベトテルの公式案内・店頭 |
今日できる一歩
手元のスマートフォンの設定を開き、eSIM対応かどうかを見ておく。対応していれば出発前にアプリを入れて画面を一度眺めておく。対応していなければこのパッケージは選べないので、別の手段を早めに探す。ベトナムでの通信は、窓口に並ぶ作業から出発前にスマートフォンの中で終わらせる作業へ移りつつある。


