ベトジェットが中国COMAC製C909旅客機を10機リース契約──ベトナム〜中国間5路線を新設、「中国製ジェット」の国際市場進出が加速

ベトナムのLCC最大手ベトジェット(VietJet Air)が、中国商用飛機(COMAC)製のリージョナルジェット「C909」(旧称ARJ21)を10機リースする契約を締結した。2026年4月16日、上海浦東発展銀行の子会社SPDB Financial Leasing(SPDBFL)との間で合意。同時に、ベトナム〜中国間の5路線新設も発表された。ラム・マイン・フン大統領の訪中(4月14日)に合わせたタイミングでの発表であり、航空・外交の両面で注目を集めている。

目次

リース契約と新路線の詳細

Bloomberg、SCMP、Skift等が4月17〜20日に報じたところによると、契約の概要は以下の通り。

ベトジェットはすでに2025年4月から、中国の成都航空(Chengdu Airlines)からウェットリース(乗員付きリース)方式でC909を2機受領し、ベトナム国内線で運航している。今回の10機契約は、ウェットリースから自社運航への移行を視野に入れたもので、中国製旅客機の国際商業利用としては最大規模の案件となる。

新設5路線は全てベトナム〜中国間で、うち2路線は4月初旬にすでに運航を開始している。

路線 運航状況 備考
ハノイ 〜 杭州(Hangzhou) 運航開始済み 中国東部・IT都市
ハノイ 〜 恩施(Enshi) 4月初旬運航開始 湖北省・世界ジオパーク
ハノイ 〜 黄山(Huangshan) 近日開設予定 安徽省・世界遺産
ホーチミン 〜 桂林(Guilin) 4月初旬運航開始 広西チワン族自治区
ホーチミン 〜 黄山 近日開設予定

COMAC C909とは──中国初の商用ジェット

C909(旧称ARJ21)は、中国商用飛機(COMAC)が開発した90席クラスのリージョナルジェット。中国政府が航空機製造の自国化を推進するプロジェクトの一環として開発された。2016年に中国国内線で商用運航を開始し、現在は成都航空、中国国際航空の子会社OTT Airlines、ジョイエア(Joy Air)などが国内で運航している。

国際市場では、インドネシアのトランスヌサ航空(TransNusa)が初の海外オペレーターとなり、ラオス航空が続いた。ベトジェットが10機を導入すれば、国際市場での最大の顧客となる。

項目 COMAC C909 参考: エンブラエル E175 参考: ボンバルディア CRJ900
座席数 78〜97席 76〜88席 76〜90席
航続距離 約2,225km 約3,704km 約2,956km
製造国 中国 ブラジル カナダ
エンジン GE CF34-10A GE CF34-8E GE CF34-8C5
初号機就航 2016年 2004年 2001年
価格帯(推定) 約40億円 約60億円 約55億円

ベトジェットの戦略と航空業界の反応

ベトジェットのグエン・ティ・フオン・タオCEOは「この契約はベトナムと中国の航空接続を段階的に強化する基盤を築く」とコメント。同社は主力のエアバスA320/A321ファミリーに加え、中国路線の需要に合わせた小型機材の導入で路線網の効率化を図る。

航空業界のアナリストは「ベトジェットの判断は、エアバスやボーイングの納入遅延が常態化するなかで、調達先の多角化という合理的な選択だ」と分析する。Skift誌は「COMACにとってベトジェットは最も重要な国際顧客になる。安全性と信頼性の実績を積み上げる絶好の機会だ」と報じた。

一方で「中国製旅客機の安全基準は欧米のEASA/FAAの認証を取得していない」との指摘もある。C909は中国民用航空局(CAAC)の型式証明を取得しているが、EASAやFAAの認証プロセスはまだ進行中だ。

日本人旅行者への影響

直接的には、ベトジェットのベトナム国内線の一部でC909に搭乗する可能性が出てくる。現在はハノイ〜ホーチミン、ハノイ〜ダナンなどの国内幹線で2機が運航中だ。

間接的には、ベトナム〜中国路線の拡充は、日本人旅行者にとって「ベトナム+中国」の二カ国周遊ルートの選択肢を広げる。ベトジェットの名古屋・福岡〜ホーチミン直行便(4月24日就航)と組み合わせれば、「日本→ホーチミン→桂林→日本」のような周遊も現実的になる。

7月就航予定のハノイ〜プラハ直行便と合わせて、ベトジェットの路線網拡大はベトナムを「旅のハブ」にする戦略の一部だ。

ベトナム航空市場の拡大

2026年第1四半期のベトナム航空市場は、国内線1,020万人(前年比+12%)、国際線1,390万人(+19%)の合計2,410万人を輸送。ベトジェット、ベトナム航空、バンブーエアウェイズ、ベトトラベル航空、サンフーコック航空の5社体制で、夏季に向けてさらなる増便が計画されている。

ベトナム航空は6月にハノイ〜アムステルダム直行便を開設し、欧州との接続を強化。ベトジェットはアジア域内、特に中国と日本路線の拡大に注力している。

航空会社 2026年の主な新規路線 機材
ベトジェット 名古屋・福岡・静岡(日本)、5路線(中国)、プラハ A321neo + C909
ベトナム航空 アムステルダム、マニラ増便、上海増便 B787-9, A350
ベトトラベル航空 ハノイ〜バンコク再開 A321
サンフーコック航空 フーコック〜ソウル B737

実用情報:ベトジェットの中国路線

項目 詳細
新路線 ハノイ〜杭州/恩施/黄山、ホーチミン〜桂林/黄山
使用機材 C909(90席クラス)またはA321
運賃目安 片道5,000〜15,000円(プロモーション時)
所要時間 2〜3.5時間
予約 vietjetair.com
ビザ 日本パスポートは中国入国に要ビザ(トランジットビザ免除は条件あり)

まとめ:中国製ジェットがベトナムの空を飛ぶ意味

ベトジェットのC909導入は、単なる機材調達の話にとどまらない。中国の航空機製造産業が国際市場へ進出する象徴的な事例であり、ベトナムと中国の経済的結びつきが航空分野にも拡大していることを示す。日本人旅行者にとっては、ベトナム経由の中国地方都市(桂林・黄山・恩施)へのアクセスが劇的に改善されるメリットがある。ベトジェットの日本路線と組み合わせた周遊ルートを検討してみる価値はある。

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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