ベトナムコーヒーの世界へようこそ。コンセプトページはこちら

ベトナム観光総局が2026年と2031年の成長シナリオを発表――外国人2500万人・国内1.5億人が基本目標

VNATが2026年と2031年の複数シナリオを公表、Q1実績は676万人で12.4%増

2026年4月23日、ベトナム観光総局(VNAT)のグエン・チュン・カイン局長が2026年の短期成長シナリオと2031年までの長期成長シナリオを正式に公表した。2026年第1四半期の訪越外国人は676万人(前年同期比12.4%増)、国内旅行者は3700万人、観光収入は267兆VND(約1.6兆円)を記録。この実績を踏まえ、VNATは2026年通年と5カ年の両軸で成長戦略を描いている。

2026年の2シナリオ:ポジティブとネガティブ

VNATが示した2026年通年の見通しは、世界経済の安定度に応じた2シナリオだ。

ポジティブシナリオ(世界経済が安定した場合)では、外国人観光客2500万人、国内旅行者1億5000万人、観光総収入1兆1200億VND(約67億2000万円)を目標とする。一方、ネガティブシナリオ(紛争長期化・世界経済停滞の場合)では、外国人2250万人、国内1億3000万人に下方修正される。

ネガティブシナリオでは四半期ごとの内訳も示されており、Q2は外国人500万人・国内3500万人、Q3は外国人480万人・国内3500万人、Q4は外国人590万人・国内2300万人と見込んでいる。

2026年 VNATシナリオ比較
指標ポジティブネガティブQ1実績
外国人観光客2,500万人2,250万人676万人
国内旅行者1億5,000万人1億3,000万人3,700万人
観光総収入1兆1,200億VND(約67億円)非公表267兆VND(約16億円)

2031年までの長期3シナリオ:保守的でも3500万人

VNATは2031年までの長期成長についても、保守的・基本的・楽観的の3段階のシナリオを示した。

保守的シナリオでは年間成長率8〜10%を想定し、2030年までに訪越外国人3500万〜3800万人を見込む。基本シナリオでは12〜15%成長で4000万〜4500万人、楽観シナリオでは15〜18%成長で4500万〜5000万人を目指す。

2031年までの長期成長シナリオ(VNAT発表)
シナリオ年間成長率2030年 外国人目標
保守的8〜10%3,500万〜3,800万人
基本的12〜15%4,000万〜4,500万人
楽観的15〜18%4,500万〜5,000万人

背景――東南アジア観光競争と構造改革

ベトナムはタイ(年間3500万人)、マレーシア(同2500万人)に次ぐ東南アジア第3位の訪問者数を誇り、シンガポールを抜いた。ブルームバーグが「東南アジアで最も急成長する観光地」と評したように、ビザ政策の緩和(e-visa拡充・90日間ビザ免除)、LCC路線の急増、e-visa制度の拡大が追い風となっている。

一方、VNATのカイン局長は「ベトナムの旅行業者約4000社のうち90%以上が中小零細企業」と指摘し、業界の構造的な課題も浮き彫りにした。2017年制定の観光法の改正、海外プロモーション拠点の設置、デジタル・グリーン転換の推進が優先課題として挙げられている。

業界関係者・SNSの反応

ホーチミン市の旅行会社CEOは「2500万人目標は十分到達可能だが、問題はリピーター率と滞在日数だ。1回きりの訪問では収益の天井が見える」とコメント。ハノイの外資系ホテル総支配人は「ベトナムのインフラ整備スピードは周辺国より速い。空港拡張と鉄道高速化が実現すれば、5000万人は夢ではない」と前向きな見方を示した。一方、ベトナム人の旅行ブロガーは「国内旅行1.5億人目標は達成できるだろうが、オーバーツーリズム対策が追いついていない」とSNSで指摘している。

日本人旅行者・ビジネスパーソンへの影響

日本からベトナムへの訪問者数は増加傾向にあり、VNATの成長シナリオが実現すれば日本人旅行者にとってもメリットがある。航空路線の増便、ホテルの新規開業、デジタル到着カードの導入による入国手続きの簡素化はすでに進行中だ。

ゴールデンウィークにベトナム旅行を計画中の方にとって、4月下旬〜5月は好シーズンだが、人気エリアのダナンやサパではホテル稼働率が90%に達している。早めの予約を推奨する。ビジネス面では、ベトナム政府が4〜5つ星ホテルやプレミアムリゾートの開発を優先していることから、ホテル運営・食品・リテール分野でのビジネスチャンスが拡大している。

航空路線拡大との連動

VNATの成長シナリオを支えるのが、航空各社の路線拡大だ。2026年Q1の航空旅客数は2410万人(前年同期比16%増)で、うち国際線は1390万人(同19%増)と急伸している。VietJetの日本路線をはじめ、Vietnam Airlinesのハノイ〜アムステルダム直行便(6月16日就航予定)、新興のSun PhuQuoc Airwaysによる国際線参入など、供給サイドの拡充がシナリオ達成を後押しする。

特にQ1データで注目すべきは、フーコック島が2026年最初の4カ月で外国人100万人を突破した点だ。フーコックのビザ免除措置がこの数字を支えている。

2026年Q1 航空旅客データ
区分旅客数前年同期比
総旅客数2,410万人+16%
国内線1,020万人+12%
国際線1,390万人+19%

まとめ――シナリオ達成のカギはインフラとリピーター

VNATが示した2026年ポジティブシナリオ(外国人2500万人、国内1.5億人)は、Q1実績を見る限り射程内にある。だが、達成のカギはインフラ整備のスピードとリピーター率の向上だ。観光法改正、海外プロモーション拠点の設置、デジタル化の加速がどこまで進むかによって、ポジティブとネガティブの分岐点が決まる。

ゴールデンウィークのベトナム旅行を検討中の方は、ダナンビーチシーズンの開幕情報と合わせて、今のうちに宿泊先を確保しておくことをお勧めする。

TOP