ベトナムで車やバイクを運転する人に関わる新しい罰則が、2026年8月15日に始まる。政令238号(238/2026/NĐ-CP)は、ナンバープレートを見えにくくして自動取締カメラから逃れる行為に、自動車で最大2,600万ドン(1円=170ドン目安で約15万円)の罰金を定めた。現地で運転する在住者や、レンタルバイクを借りる旅行者が押さえておきたい変更点を、一次情報で確認できた数値だけで整理する。
ナンバーの「見えにくく」に高額罰金
政令238号は、いまの政令168号(168/2024/NĐ-CP)を改正するものだ。焦点は、ナンバープレートの識別性を意図的に落とす行為に置かれている。数字の上に塗料を塗る、シールを貼る、プレートを折り曲げる、覆いをかける、色や形・寸法を変える——こうした「材料や器具でプレートの識別能力を変える」行為が、まとめて罰則の対象になる。
金額は車種で分かれる。自動車は政令の第13条8項で2,000万〜2,600万ドン、バイクは第14条3項で400万〜600万ドン。1円=170ドンの目安で換算すると、自動車が約12万〜15万円、バイクでも約2.4万〜3.5万円にあたる(概算)。プレートを1枚隠すだけで、バイクの車体価格に届きかねない水準だ。
狙いは「カメラに映らない工作」つぶし
なぜプレート隠しがここまで重く扱われるのか。背景にあるのは、無人で違反を記録する自動取締カメラの拡大だ。現地では後日罰金を「phạt nguội(ファット・グオイ)」と呼ぶ。カメラがナンバーを読み取って車両を特定し、あとから所有者に通知を送る仕組みで、運転中に警官に止められなくても違反が積み上がる。
プレートに反射フィルムを貼る、一部を汚す、カバーで覆うといった小細工は、この読み取りを妨げてカメラ取締りをかわす目的で使われてきた。夜間に光を反射させて数字を白飛びさせる手口や、走行中だけプレートを傾ける器具も出回っていた。政令238号は、こうした抜け道を金額で塞ぎにいった格好だ。取締りは無人カメラだけにとどまらない。市民が撮影した写真や動画も、違反の立件材料として受け付けられる運用が広がっている。市民の撮った映像が交通違反の立件材料になる新ルールと合わせて読むと、車両を記録する経路がいくつも増えている流れが見えてくる。プレートを隠す動機そのものが薄れていく方向だ。
8月15日施行の主な罰金額
| 対象行為 | 自動車 | バイク |
| ナンバーの識別性を変える | 2,000万〜2,600万ドン(約12万〜15万円) | 400万〜600万ドン(約2.4万〜3.5万円) |
| 無登録の有料送迎(白タク的営業) | 1,200万〜1,400万ドン(約7万〜8.2万円)+免許6点減 | — |
| 子どもを運転席と同じ列に乗せる | 80万〜100万ドン(約4,700〜5,900円) | — |
換算は1円=170ドンの目安による概算。金額は政令238号の規定レンジ。
在住者・旅行者が気をつける実務
運転者にとっての勘所は、「自分が貼っていなくても、走行時にプレートが読めない状態なら問われうる」という点だ。旅行者やレンタル利用者が現場で確認したいのは次のあたりになる。
- レンタルバイクを借りる前に、ナンバーが素直に読める状態か目で確かめる。前の利用者が貼ったフィルムや装飾カバーが残っていることがある。
- 泥はねや雨でプレートが隠れたら、こまめに拭く。汚れでも識別性が落ちれば対象になり得る。
- 中古車やレンタカーのプレート枠が、装飾で数字の一部を覆っていないか点検する。飾り枠やスポンサーステッカーがプレートにかかっているケースは意外と多い。
- 免許は事前準備を。ベトナムでは90日以上のビザがあれば免許の切り替えで運転できる制度が動いており、正規の状態で乗る前提が整いつつある。
同じ日に動く、ほかの改正
8月15日には、プレート以外の変更も一緒に始まる。自家用車で金銭を受け取って人を送迎する「白タク」的な無登録営業は、1,200万〜1,400万ドンの罰金に免許6点減が加わる。詳しくは自家用車の有料送迎が最大1,400万ドンの罰金になる新ルールにまとめた。子どもを運転席と同じ列に乗せた場合は80万〜100万ドン。さらにエンジン排気量の条件が撤廃され、16〜18歳のバイク運転に対する罰則の範囲も広がる。
まとめ:まず「読めるか」を確かめる
政令238号の肝は、カメラに映らないようにする工作への高額罰金だ。ナンバーを塗る・貼る・折る・覆う——どれも自動車なら約15万円に届く。運転者自身が細工していなくても、走行中にプレートが読めなければ責任を問われる余地がある。ベトナムで車やバイクに乗る予定があるなら、8月15日以降はまず自分の車体のナンバーが一目で読めるかを確認する。それが、いちばん安上がりな備えになる。
