米テキサスに開店行列、チュングエンのベトナム珈琲が海を渡る

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米テキサス州ガーランドのショッピングモールの一角に、コーヒーを待つ人の列ができた。並んでいたのはベトナム系の住民だけではない。2026年8月9日、ベトナム最大手のコーヒー企業チュングエン(Trung Nguyên)がフランチャイズ業態「Trung Nguyên E-Coffee」の新店を開き、初日から店先がにぎわう様子をベトナム経済紙CafeFが伝えた。太平洋を越えた小さなカフェの行列は、ベトナムのコーヒーがいま海外でどう受け止められているかを映す、わかりやすい一場面だ。旅行や在住でベトナムのコーヒーに親しんできた人ほど、この動きは見ておく価値がある。

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テキサス州ガーランドの店先に、開店初日から列ができた

新店の住所は「3419 West Walnut Street, Suite 106, Garland, Texas」。ダラス近郊のガーランドは、ベトナム系の住民や事業者が多く暮らす街として知られる。CafeFの報道によれば、開店当日は店の前に人が並び、ベトナムコーヒーを試そうという客でにぎわったという。店舗検索サービスの情報では、この店はまず7月上旬にソフトオープンしており、8月9日は本格的なグランドオープンにあたる。

出店地としてガーランドが選ばれた理由を、チュングエン側は「ベトナム系のコミュニティが根づいているから」と説明している。地元のベトナム人にとっては故郷の味であり、そうでない客にとっては初めての一杯になる——両方の層を同じ店で取りにいく設計だ。移民コミュニティを足がかりに現地の一般客へ広げていく手法は、日本のラーメンやタイ料理が海外で定着していった道筋とも重なる。

「コーヒー王」チュングエンが掲げる世界3,000店

チュングエンは1996年、ダン・レ・グエン・ヴー氏がベトナム中部の高原都市バンメトートで創業した。ベトナムでは「コーヒー王」と呼ばれる人物で、いまや傘下に旗艦カフェの「Trung Nguyên Legend」、低コスト型フランチャイズの「Trung Nguyên E-Coffee」、インスタントの「G7」を抱える。ブランドは60を超える国と地域で展開している。

拡大のスケール感は数字に表れている。同社の公式発表では、E-Coffeeのフランチャイズ網は2025年半ばの時点で世界800店超、契約済みは1,000件に達し、月におよそ30店のペースで増えていた。米国へは2025年2月にカリフォルニアから参入し、テキサス州キャロルトン店(2025年6月開業)などを含め、同年半ばには米国内6店舗まで広げている。2026年3月にはヒューストンに大型の旗艦空間「World Coffee」を開いた。掲げる目標は米国で100店、中国で1,000店、そして世界で3,000店。ガーランドの行列は、その長い計画のなかの一コマだ。

Item Details As of / source
新店の場所 米テキサス州ガーランド(3419 W Walnut St, Suite 106) CafeF(2026/8/10)
Grand opening 2026年8月9日(ソフトオープンは7月上旬) CafeF/店舗情報
展開国・地域 60超 CafeF
フランチャイズ網 世界800店超・契約1,000件(月30店ペース) 公式発表(2025年半ば)
Store target 米国100店/中国1,000店/世界3,000店 公式発表

なぜ米国のベトナム人街から攻めるのか

ガーランドやその近郊は、いわゆる「リトルサイゴン」型のベトナム系集住エリアの一つだ。米国にはカリフォルニアやテキサスを中心に大きなベトナム系コミュニティがあり、故郷の味への需要が最初から存在する。ここから始めれば、味の説明をゼロからする必要がなく、口コミも回りやすい。チュングエンの米国進出がカリフォルニアとテキサスに集中しているのは偶然ではなく、こうした人口分布に沿った狙いがある。

この戦い方には二段構えがある。第一段は同胞コミュニティの支持を土台にすること。第二段は、そこに来た地元の非ベトナム系客に「濃くて甘いベトナム式の一杯」を体験させ、スターバックスやローカルのサードウェーブとは別ジャンルとして認知させることだ。ベトナム国内の激しい価格競争を勝ち抜いてきた低コスト型のE-Coffeeにとって、単価の高い米国市場は利幅の面でも魅力が大きい。行列そのものより、その後にリピーターがどれだけ残るかが本当の勝負になる。

米国人が並んだ「濃い一杯」の正体

ベトナムコーヒーが海外で独自の存在感を持つのは、豆と淹れ方に理由がある。ベトナムは世界第2位のコーヒー輸出国で、栽培の主力は苦みとコクの強いロブスタ種。深めの焙煎で抽出し、フィン(phin)と呼ばれる金属フィルターで一滴ずつ落とし、練乳を加えて飲む。この「濃厚さ+甘さ」は、酸味を軸にするスペシャルティ系とは対照的で、初めての人に強い印象を残す。ガーランドで列に並んだ人たちが体験したのも、この味だ。ベトナムコーヒーの種類や淹れ方をもう少し知りたい人は、本場のベトナムコーヒーの楽しみ方を解説したガイドを読むと、種類ごとの違いがつかめる。

チュングエンの強みは、この味を「持ち帰れる形」に落とし込んでいる点にある。旗艦のTrung Nguyên Legendでフィンの一杯を出しつつ、G7のスティックで同じ味の記憶を家庭やギフトに変える。カフェ体験とインスタント商品が地続きになっているから、旅先で飲んだ味を帰国後も再現でき、それがブランドへの愛着につながる。海外店舗はその入り口を世界中に増やす装置として働く。

日本で本場のチュングエンを楽しむ3つの入口

テキサスの話は遠いようでいて、日本の生活者にとっても身近だ。本場の味に触れる入口は、大きく三つある。

  • 現地で旗艦店に行く:ベトナム旅行の機会があれば、Trung Nguyên Legendの店舗でフィンコーヒーを一杯。歴史やメニューの見どころはチュングエン・レジェンドの完全ガイドにまとめている。
  • お土産に持ち帰る:現地のスーパーや空港でG7の箱を買う。当サイトの過去記事によれば、G7の3in1は20本入りで約260円と手頃で、軽くて配りやすい。
  • 日本の通販で取り寄せる:渡航せずとも、G7やチュングエンのインスタントは日本のオンラインでも入手できる。銘柄選びは日本の通販で買えるベトナムコーヒーのおすすめ記事が手がかりになる。

価格の目安として、本記事の円換算は2026年8月時点の1米ドル≒148円、1万ドン≒60円で計算している。ベトナムのローカルカフェではフィンの一杯が数万ドン程度、日本の通販ではG7の大容量箱でも数百円台から手に入る水準で、本場の味への距離は思っているより近い。

行列の先に何が残るか

ガーランドの一店舗は、それ自体が大ニュースというより、ベトナムのコーヒーが移民の食文化から「世界のカフェメニュー」へと押し出されていく途中経過だ。チュングエンが掲げる世界3,000店という数字が現実になるかは、開店初日の列ではなく、二杯目・三杯目を注文する客がどれだけ増えるかにかかっている。次にベトナムを訪れたら、あるいは近所のアジア食材店の棚で、フィンの一滴とG7のスティックを思い出してほしい。テキサスで並んでいたのと同じ味が、いつものカップに移ってくる。

Sources

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Author of this article

In my third year living in Ho Chi Minh City, Vietnam. I launched this specialist Vietnam travel information site hoping to share local knowledge you simply can’t get by visiting as a tourist — the kind of thing you only understand by being here.

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