メコンデルタの中心都市カントーで、9月25日の夜に食の市が開いた。会場はニンキエウの歩行者天国(phố đi bộ Ninh Kiều)、名称は「Trăng đoàn viên – Mỹ vị Tây Đô(団欒の月・タイドーの美味)」。会期は10月4日まで、開場は毎日9時から22時30分までと発表されている。開幕の夜には、料理番組「Yan Can Cook」の顔として知られるマーティン・ヤンが地元の料理人と並んで調理を披露した。
この10日間にカントーへ寄る人、ホーチミン市から一泊で足を伸ばすか迷っている人に向けて、確かめられた事実と報道間で食い違う部分を分けて書く。ブースの数も主催者の名前も発表のたびに変わっている。
9月25日の夜、ニンキエウの歩行者天国で始まったこと
トゥオイチェー紙によれば、25日夜に開幕したこの市は「カントー・ショッピング&食の週間2026」の枠組みで開かれている。規模はおよそ100ブースで、カントーと周辺地域の特産品、OCOP認定産品、農産物、食品、郷土菓子(bánh dân gian)、農村工業品、日用品、贈答品が並ぶ。企業や協同組合が販路をつなぐ場、という位置づけも同時に掲げられている。
開幕日の9月25日は旧暦8月15日、つまり中秋節に当たる。テーマ名の「Trăng đoàn viên」は「団欒の月」で、同紙は開催発表の時点からこの市を中秋節に合わせた催しと説明していた。「Tây Đô(西の都)」はカントーの別称で、同紙も「Cần Thơ – Tây Đô」と並べて使う。
主催者の名前が、開催発表と開幕記事で違う
9月10日の記事では、記者会見を開いたのはカントー市商工局で、市そのものは「Trúc Nghi Event社が、雑誌『Doanh nghiệp và Tiếp thị』カントー代表事務所と協力して開催する」と書かれていた。ところが9月25日の開幕記事では「カントー市商工局が同誌と協力して開催」となっている。行政が主催なのか実務を担う運営会社が別にいるのかで、問い合わせ先の想定は変わる。忘れ物や出店の照会は、会場の運営テントを当てにするほうが現実的だ。
マーティン・ヤンは開幕の夜に鍋を振った
彼の公式サイトで確認できるのは、広州生まれで香港で修業し、移住先のカナダ・カルガリーで昼のニュース番組に中国料理の実演で出たのが出発点だったこと、番組「Yan Can Cook」が米国の公共放送で人気番組に育ち、ジェームズ・ビアード賞の最優秀フードドキュメンタリー番組部門を2シーズン連続で受賞したこと、そしてモットーが「Yan Can Cook, So Can You!」であることだ。「50カ国を超える国で放送、3,500本以上」という数字はトゥオイチェー紙の記述で、公式サイトには出ていない。数字よりも、公共放送で長く回った番組の顔がメコンの地方都市の歩行者天国に立った事実のほうが効いている。
開幕の夜には自転車の贈呈も行われた。ベトナム投資開発商業銀行(BIDV)ハウザン支店が30台、マーティン・ヤンが20台、合わせて50台を、市内いくつかの坊の孤児や困難な境遇の子どもを支援する枠組みに贈っている。
およそ100か100超か、ブース数は発表のたびに動く
同じ市について、9月10日の記事は「100を超えるブース」、9月25日の開幕記事は「およそ100ブース」と書く。どちらも同じ新聞だ。ブース数は計画と実数がずれる項目で、カントーではその差が今年すでに一度出ている。
8月の食の週間は200超の計画が開幕日には約100だった
8月14日の予定記事は、8月28日から9月2日にソンハウ公園(カイケー坊)で開く「カントー食の週間2026」を「200を超えるブース」と伝えていた。8月29日の開幕記事では「およそ100ブース」になっている。出店数の事前発表は、そのまま当日の風景にはならない。日程を組むときは規模の数字を予定として受け取り、会期と開場時間だけを固い情報として使いたい。
OCOP産品の隣に虫料理、手を動かす体験コーナーも入る
開幕記事の写真説明で、同紙は昆虫を使った料理のブースを「カントーの食としてはかなり珍しい」と紹介している。食べ物以外では、バッチャン焼きの成形、ライスペーパー作り、米粉細工(tò he)、書家に文字を書いてもらう体験、南部の絣スカーフ「Cô Ba Tây Đô」の体験コーナーが開催発表で挙がっていた。手を動かす枠があるのは子ども連れの判断材料になる。
毎日9時から22時30分、10日間のどこを狙うか
| Item | What we could confirm |
|---|---|
| Name | Trăng đoàn viên – Mỹ vị Tây Đô(カントー・ショッピング&食の週間2026の枠組み) |
| Dates | 2026年9月25日〜10月4日 |
| 開場 | 毎日9時〜22時30分 |
| Venue | ニンキエウの歩行者天国(カントー市ニンキエウ坊) |
| Scale | およそ100ブース(開催発表では100超) |
| Host and operator | 報道により記述が異なる(市商工局+雑誌/運営会社+雑誌代表事務所) |
| マーティン・ヤン | 9月25日の開幕夜に調理を披露 |
| Admission | 今回読んだ2本の記事に記載がない |
入場料の記載がない催しの歩き方
会場の入場料について、開催発表と開幕記事のどちらにも金額の記載がなかった。無料と断定はできないが、歩行者天国での物産・飲食のブース展であることは両方の記事から読み取れる。支払いはブースごとに発生するので、入場の可否より手元の支払い手段を整えたい。
カントーは103の行政単位に組み替えられた
カントー市の公式ポータルは、市の構成を「103の村・坊レベル行政単位(31の坊と72の村)」、面積6,360.83平方キロメートル、人口4,199,824人と掲げている。根拠は2025年6月の国会および国会常務委員会の決議だ。ニンキエウはここで「区」ではなく「坊」として並ぶ。地図アプリや宿の住所は、古い区名ではなく坊名で照会したい。
日本から行く人が現地で詰まる二つのこと
通信を先に確保すると屋台で迷わない
歩行者天国のブース展は案内が現地語中心だ。翻訳と地図を屋台の前で開けるかどうかで回れる範囲が変わる。通信の手当ては着く前に決められる話で、たとえばベトテルはeSIM専用のデータパッケージを高速10GB/日、30日サイクル125,000ドンで売り出している(1日10GBが30日125,000ドン、ベトテルのeSIMはアプリで買う)。1円=164.94ドン(2026年9月26日時点、open.er-api.com)で計算すると約760円だ。
値段が出ない催しは、別の相場で見当をつける
今回の市には価格の発表がない。ベトナムの催しは、入場無料をはっきり打ち出すものと何も書かないものが混在する。サイゴンで10月4日まで開くRare Seaのグループ展は、会期・開館時間・入場無料まで明示されている(サイゴンのRare Seaで6人展、入場無料で10月4日まで開催中)。同じ「10月4日まで」でも、告知に書かれている情報量は揃っていない。カントーの市は飲食と物販が主なので、予算はブースでの飲食代として見積もるほうが外れにくい。
カントーは今年、8月と9月に別の会場で食の市を開いた
| Activities | Venue | Dates | Opening hours | 発表された規模 |
|---|---|---|---|---|
| 食の週間2026(Ẩm thực Tây Đô) | ソンハウ公園(カイケー坊) | 8月28日〜9月2日 | 8時〜21時 | 計画200超/開幕時およそ100 |
| Trăng đoàn viên – Mỹ vị Tây Đô | ニンキエウの歩行者天国 | 9月25日〜10月4日 | 9時〜22時30分 | およそ100(発表では100超) |
8月はソンハウ公園、9月末はニンキエウ
8月の食の週間はカントー市投資・商業・観光促進センターが観光局や坊人民委員会と組んで開き、毎日19時から芸能とファッションショー、路上音楽、ロトー大会が入っていた。プロ料理人コンテストは8月30日に約30チームの規模で開く予定と8月14日の記事が伝えていたが、実施結果は今回読んだ記事にない。同じ機会に市文化体育観光局が観光情報の「スマート観光システム」の運用開始を発表している。9月末の市は会場も運営体も違うが、地元産品とOCOPを前に出す組み立ては重なる。名前と会場を替えながら続けているので、旅程が8月でも9月末でも食の市に当たる余地はある。
港に船が着いた週に、通りには市が立った
同じ9月下旬、カントーのカイクイ埠頭では中国・南寧港からのコンテナ船が荷を降ろしている(カントーの埠頭に中国からの雑貨153本、まだ棚には届かない)。あちらは月2便や費用減という予定の数字が先に出た話、こちらは会期と開場時間が先に出て規模の数字が動いた話だ。どの数字が決まった事実で、どれが予定なのかを毎回分けて見るしかない。
10月4日までに行くなら、先に決めておく一つのこと
マーティン・ヤンの調理披露が記録されているのは9月25日の開幕夜で、それ以降の登壇予定は今回読んだ記事には書かれていない。彼を目的に日程を組むと空振りになりうる。市そのものを目的にするのが現実的だ。
決めるべきことは一つ、滞在中の一日、19時以降をニンキエウ坊に空けることだ。開場は22時30分までで、8月の催しでは夜に芸能の枠が入っていた。夜を押さえたうえで宿をニンキエウ坊の徒歩圏に取り、eSIMを入れてから会場に入る。この順番なら、価格も主催者名もはっきりしない催しでも行って損はしない。
参照した記事・資料


