ベトナムの都市部で、この数年はっきり存在感を増しているスポーツがピックルボールです。小さめのコートで始めやすく、旅行者でもレンタル道具がある施設を選べば体験できます。

一方、「競技人口1,600万人」という数字は公式登録者数ではありません。UPA AsiaとYouGovが2024年に12市場・1万4,000人超を対象に行った調査から人口全体へ推計した値で、ベトナム国内では算出方法を疑問視する報道もあります。ブームの大きさを示す目安にはなりますが、確定人数として読むのは避けたい数字です。
2026年8月30日〜9月6日には、世界ピックルボール連盟(WPF)が認定・支援する「Pickleball World Cup 2026」がダナンで開催されました。この記事では、熱気だけを追うのではなく、数字の読み方、旅行者のコート選び、日本で続ける方法まで整理します。
先に結論:旅行者が押さえたい4点
- 人気の拡大は確かですが、1,600万人は調査に基づく推計で、公式登録者数ではありません
- ダナンの世界大会は2026年9月6日に終了済みです。現在は大会観戦ではなく、現地コートでの体験情報として読み進めてください
- 予約前に、屋内・屋外、パドル貸出、1面貸しと交流参加のどちらか、雨天時の扱いを確認すると失敗が減ります
- Googleマップの営業時間や口コミ件数は変動するため、当日に施設のSNSや電話で再確認するのが安全です
ピックルボールとは?
ピックルボールは、1960年代のアメリカで生まれた球技です。テニスコートより小さいコートで、穴の空いた軽いプラスチックボールを、板状のパドル(ラケット)で打ち合います。
- ルールはシンプルで、初心者でも数分で試合を楽しめる
- コートが小さく、運動量もほどほど。子どもからシニアまで一緒にできる
- 道具が手軽で、始めるハードルが低い
この「誰でもすぐ楽しめる」手軽さが、世界的なブームの原動力になっています。
基本のルールもシンプルです。試合は11点先取(2点差で勝ち)で、シングルスでもダブルスでも遊べます。特徴的なのが、ネット手前の「キッチン(ノンボレーゾーン)」と呼ばれるエリア。ここに入った状態でノーバウンドで打つ(ボレーする)のは反則で、この一帯の攻防が戦術の肝になります。細かいルールは打ちながら覚えれば十分です。
ベトナムでの爆発的なブーム
ベトナムにピックルボールが入ってきたのは7年ほど前ですが、本格的に火がついたのは2024年に入ってからです。その伸びは、数字を見ると驚くほどです。
| 指標 | 数字 |
|---|---|
| 競技人口 | 約1,600万人(2025年10月・UPA Asia/YouGov推計)。アジアではインド・中国に次ぐ規模 |
| 検索の勢い | 2025年、「ピックルボール ラケット」の検索が約230万回。サッカー関連を上回ったとの報道も |
| コミュニティ | ホーチミンの「Pickleball Saigon」グループは4万人超(2026年時点) |
| 専用施設 | アジアで最も多くのピックルボール専用コートを持つ国とされる |
検索行動やコートの増加から、関心が急速に伸びたことは読み取れます。ただし、検索回数と実際の競技人口は別の指標です。ダナンやホーチミン、ハノイの街では、空き地や屋上、公園がどんどんコートに変わっています。
なぜ、ベトナムでこれほど流行ったのか
短期間でここまで広がった背景には、いくつかの理由があります。
- 始めやすさ:ルールが簡単で、テニスや卓球の経験者ならすぐ馴染める(プレーヤーの約3割が他のラケット競技出身との調査も)
- SNSとの相性:仲間と集まって楽しむ姿がSNS映えし、コミュニティが一気に拡大した
- 手軽なコスト:道具が安く、狭いスペースでもコートを作れるため、街中に急増した
- 世代を超えて遊べる:家族や友人、世代の違う相手とも一緒に楽しめる
コート急増の裏側 ── なぜ街中に増えたのか
街のあちこちにコートが生まれた背景には、はっきりした経済的な理由もあります。ピックルボールのコートは、テニスコート1面のスペースに3〜4面つくれます。同じ面積での収益性が高いため、遊休地やビルの屋上を持つオーナーが、こぞってコートに変えているのです。
さらにアジアには、ピックルボールとほぼ同じ大きさのバドミントンコートが数多くあります。既存の施設を転用しやすいことも、普及を後押ししました。ホーチミンだけでも、コートの数は推計で約1,000面に達するといわれます。
ダナンで「ピックルボール・ワールドカップ2026」
ブームを象徴する出来事が、2026年8月30日から9月6日にかけてダナンで開催されたピックルボール・ワールドカップです。世界ピックルボール連盟(WPF)も大会を認定・支援しました。大会が終わった現在も、ダナンが大規模な国際大会を受け入れた事実は、現地の施設と競技コミュニティの厚みを示す材料になります。
前哨戦として、2025年にダナンで開かれた大会(MB Vietnam Cup)は約600人が参加し、7,900人以上の観客を集めて「最も観客の多いピックルボール大会」としてギネス世界記録に認定されました。ダナンはビーチと世界遺産の街。グルメや観光とあわせて、スポーツ観戦の旅先としても注目です。
旅行者がプレーするには? ── コートの探し方と体験のコツ
見るだけでなく、旅行者が実際にプレーするのも難しくありません。ポイントを押さえておけば、旅の途中でも気軽に一戦交えられます。
コートの探し方
- Googleマップで「pickleball」と検索:現在地の近くのコートやクラブがすぐ出てきます
- Facebookグループを使う:ホーチミンの「Pickleball Saigon」(4万人超)などで、コート情報や初心者歓迎の交流会(ミートアップ)が見つかります
- ホテルやジムに聞く:都市部では、近くのレンタルコートを紹介してもらえることも
手ぶらで体験できる
- 道具のレンタルあり:多くの施設でパドルとボールを貸してくれるので、手ぶらで参加できます
- 料金は手ごろ:コート代は1時間あたり数百円〜1,000円ほどが目安(施設や時間帯で変動)。仲間内で割ればさらに安く済みます
- 服装は動きやすい格好で:Tシャツ・短パン・運動靴があれば十分。汗をかくので着替えがあると快適です
- 初心者・1人でもOK:ドロップイン(当日参加)の交流会が多く、英語が通じる場面も。1人でも輪に入りやすいスポーツです
夜のアクティビティを探しているなら、ナイトライフガイドとあわせて、昼はピックルボールで汗を流す、という過ごし方もおすすめです。
都市別・プレーしやすい街
| 都市 | ピックルボール事情 |
|---|---|
| ホーチミン | コート数・コミュニティともに最大級。「Pickleball Saigon」で情報が集めやすく、初心者イベントも豊富 |
| ダナン | ワールドカップの開催地。ビーチリゾートで、観戦と旅行を兼ねるのに最適 |
| ハノイ | 旧市街周辺にもコートが増加。観光の合間に立ち寄りやすい |
どの都市も、観光やグルメと組み合わせやすいのが魅力です。街ごとの回り方はベトナム17都市の比較もあわせてどうぞ。
プレーできるコート ── マップで探す
実際に足を運びやすいよう、都市ごとに評価の高いコートを挙げておきます(Googleマップ評価・2026年7月時点)。名称からマップで場所を開けます。
ホーチミンのおすすめコート
コート数もコミュニティも最大のホーチミン。1区周辺から郊外まで、通いやすい人気コートを挙げます。
| コート名 | 特徴 | Googleマップ評価 |
|---|---|---|
| Flik Pickleball Club | 件数・評価とも高い人気クラブ | 4.9 / 127件 |
| Pickle Bounce | Q12・ゴーヴァップ方面。設備が整う | 5.0 / 112件 |
| matchup Sports Complex | 複合スポーツ施設のピックルボール | 4.8 / 87件 |
ダナンのおすすめコート
ワールドカップの開催地ダナン。ビーチ旅の合間にも寄りやすい、評価の高いコートです。
| コート名 | 特徴 | Googleマップ評価 |
|---|---|---|
| Pikaball Pickleball | ダナンで件数最多クラスの人気施設 | 4.9 / 252件 |
| Sân Pickleball Nam Hòa Xuân | ナムホアスアン地区の人気コート | 4.9 / 55件 |
| San Pickleball Union | 交流イベントも活発なクラブ | 4.6 / 110件 |
ハノイのおすすめコート
旧市街周辺にもコートが増えたハノイ。観光の合間に立ち寄れる、評価の高い施設です。
| コート名 | 特徴 | Googleマップ評価 |
|---|---|---|
| TLT PICKLEBALL HOUSE | 件数・評価とも高いハノイの人気施設 | 5.0 / 207件 |
| TVC PICKLEBALL | 市内のピックルボール施設 | 4.6 / 18件 |
※評価・営業状況は変わります。訪れる前に、Googleマップで最新の営業時間や予約の要否を確認してください。
用具を買えるショップ ── マップで探す
現地でパドルやボール、ウェアを買いたい人向けに、評価の高いピックルボール専門ショップも挙げておきます(Googleマップ評価・2026年7月時点)。Joola や Selkirk など海外ブランドを扱う店も多く、日本より手ごろに買えることもあります。
ホーチミンのショップ
品ぞろえの豊富なホーチミン。海外ブランドを扱う大型ショップがそろい、パドル選びも楽しめます。
| ショップ名 | 特徴 | Googleマップ評価 |
|---|---|---|
| Mipik Phú Nhuận(Official Store) | Joola・Kamito 等を扱う公式ストア。件数最多クラス | 5.0 / 872件 |
| Tango Pickleball Store | Joola・Selkirk 等、海外ブランドが充実 | 5.0 / 779件 |
| Chun Sport | ピックルボールとバドミントンの用具店 | 5.0 / 191件 |
ダナンのショップ
ダナンにも専門ショップが充実しています。旅の途中でパドルを新調したいときにも便利です。
| ショップ名 | 特徴 | Googleマップ評価 |
|---|---|---|
| GIỀN Pickleball Store | ダナンで件数最多クラスの専門ショップ | 5.0 / 715件 |
| 11 SPORT | ピックルボール用具を幅広く扱う | 4.9 / 241件 |
| T1 Pickleball Shop | パドル・ボールがそろう人気ショップ | 5.0 / 217件 |
ハノイのショップ
ハノイの正規品ショップ。バドミントン用品と併売する大型店もあり、品数が豊富です。
| ショップ名 | 特徴 | Googleマップ評価 |
|---|---|---|
| Wsport(Cầu Giấy) | カウザイ区の正規品ショップ。件数・評価とも高い | 5.0 / 745件 |
| Thế Giới Bóng Đá.Net(Đống Đa) | スポーツ用品店。ピックルボール用具も正規品を扱う | 4.9 / 1,462件 |
※在庫やブランドの取り扱いは店舗により異なります。訪れる前にGoogleマップやSNSで最新情報を確認すると安心です。
大会後にダナンでプレーするなら
ワールドカップは終了しましたが、ダナンには旅行中に利用できるコートがあります。大会名だけを手がかりに古い観戦情報を探すより、現在営業している施設と交流枠を確認するほうが実用的です。
- 予約形式を確認:コートを1面借りる方式か、1人で参加できるオープンプレーかを確認します
- 貸出品を確認:パドル、ボール、シューズの貸出有無は施設ごとに異なります
- 暑さと雨への対策:屋外なら日中を避け、雨季は屋根の有無とキャンセル条件も確認します
- 料金は再確認:時間帯や人数で変わるため、掲載価格を固定料金と思わず予約時に確かめます
プレーの前後に観光を組み合わせるなら、ベトナムの食べ物ガイドも参考になります。
日本でも始めてみたくなったら
ベトナムで火がついたピックルボールですが、日本でも競技人口が着実に増えています。旅先で体験して面白かった人は、帰国後にそのまま続けることもできます。
日本国内のコート検索や、大会・イベントの情報は、ピックルボール専門メディアのピックルタイムスにまとまっています。全国のコートを探せるほか、初心者向けの情報や大会スケジュールも掲載されているので、「日本のどこで打てるのか」を調べるときの入り口になります。
コートを探すなら全国のコート検索(ピックルタイムス)から。旅の勢いのまま、日本でもパドルを握ってみてください。
よくある質問
- ベトナムでピックルボールはどのくらい流行っていますか?
-
2024年以降に急速に広がり、UPA Asia/YouGovの調査では約1,600万人と推計されました。ただし、これは調査回答を人口へ外挿した値で、公式登録者数ではありません。街中で専用コートが増えていることは、普及を示す別の手がかりです。
- ピックルボールとはどんなスポーツですか?
-
テニスとバドミントン、卓球を合わせたような球技です。小さめのコートで、穴の空いた軽いボールをパドルで打ち合います。ルールが簡単で、初心者でもすぐに楽しめます。
- 旅行者もベトナムでプレーできますか?
-
できます。都市部にはレンタルコートや道具の貸し出しがある施設が増え、初心者歓迎の交流イベントもあります。ホーチミンの「Pickleball Saigon」などで情報が見つかります。
- ワールドカップはいつ・どこで開催されましたか?
-
2026年8月30日から9月6日にかけて、ベトナム・ダナンで開催されました。世界ピックルボール連盟(WPF)が認定・支援した大会です。
- 日本でピックルボールを始めるには?
-
日本でも競技人口が増えています。国内のコート検索や大会・イベントの情報は、専門メディアのピックルタイムス(pickle-times.com)にまとまっています。
まとめ:数字を割り引いても、現地で試す価値はある
推計1,600万人をそのまま公式な競技人口とみなすことはできません。それでも、コートの増加、大規模コミュニティ、ダナンでの国際大会開催を合わせて見ると、ベトナムでピックルボールが一時的な話題を超えて定着しつつあることは伝わります。
旅行者は、施設の営業状況、レンタル、参加形式、雨天対応を予約直前に確認するのがいちばん確実です。現地で面白さを知り、帰国後も続けたくなったら、ピックルタイムスで日本のコートを探してみてください。


