外国人の一時滞在申告が新サイトに一本化、在住者が困る場面

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ベトナムの公安省(Bộ Công an)が、外国人の一時滞在申告(khai báo tạm trú)とベトナム人の宿泊通知(thông báo lưu trú)を、2026年5月21日から一つの共通ウェブサイト「tbltkbtt.bocongan.gov.vn」とモバイルアプリ「TBLT KBTT」に一本化しました。これまでホテルやゲストハウスが使っていた旧システム(ASMソフトなど)は、対象地域では順次停止し、新システムでの届出に切り替わります。多くの旅行者にとっては「ホテルが裏側で処理してくれる手続き」なので実感は薄いのですが、ベトナムに住む・長期滞在する日本人にとっては、引越しや友人の来訪、自分でアパートを借りる場面で、この届出義務が自分の側に回ってくることがあります。今回は「誰が・いつまでに・どこで」を、裏の取れた範囲で整理します。

目次

まず結論、ホテル泊なら旅行者は基本何もしなくてよい

制度の建て付けとして、一時滞在申告の届出義務を負うのは、外国人本人ではなく「宿泊施設を管理・運営する者」です。ホテル・ゲストハウス・ホームステイなどは、チェックイン時に受け取ったパスポート情報をもとに、施設側が地元の公安(コミューンレベルの公安機関)へ届け出ます。旅行者がやることは、チェックイン時にパスポートまたは有効な身分証を提示することだけ。仮に施設が届出を怠っても、原則として罰せられるのは施設側で、宿泊した外国人本人が罰金を科されるわけではありません。

逆に言えば、施設が介在しない滞在——友人宅に泊まる、親族の家に居候する、自分でアパートや一軒家を借りて住む——では、この「施設側の届出」を担う人がいません。その場合、住まわせる側・貸す側(=家の管理者)が届出責任を負う、というのが制度の要点です。ベトナム在住の日本人が実際につまずくのは、ほぼこのパターンです。

5月21日の一本化で何が変わったか

今回の変更は「新しい義務が増えた」のではなく、「別々だった二つの手続きを一つのシステムに統合した」ものです。従来、外国人向けの一時滞在申告と、ベトナム人向けの宿泊通知は別の窓口・別のソフトで扱われていました。これを公安省が共通の一システムに寄せ、パソコンからは「tbltkbtt.bocongan.gov.vn」、スマホからはiOS/Android両対応のアプリ「TBLT KBTT」で完結できるようにしたのが今回の骨子です。

新システムには、宿泊施設の実務を軽くする機能が盛り込まれています。パスポートや身分証の写真から情報を自動で読み取って入力の手間を減らす機能、複数の支店・物件を一つのアカウントでまとめて管理する機能、初回ログイン時に認証アプリ(Authenticator)でQRコードを読み取る二要素認証などです。運用の根拠となる手続き自体は、外国人の一時滞在申告と自国民の宿泊通知を定めた通達53/2016/TT-BCAの枠組みが引き続き土台になっています。

導入は全国一斉ではなく段階的で、初期はアンザン、ハイフォン、バクニン、フート、クアンニン、タインホア、ホーチミン市の7省・市と、ハノイの3行政区(ward)などから始まりました。旧・出入国管理システムのアカウントを持っている施設は、地域の略号を接頭辞として付けてログインする移行方式が案内されています。たとえばアンザンは「ag_」、ハイフォンは「hp_」、バクニンは「bn_」、フートは「pt_」で、旧ユーザー名「abc123」なら「ag_abc123」のように打ち替えます。まだ導入されていない地域では従来どおりの運用が残るため、自分の住む地域が切り替わったかは地元公安の案内で確認するのが確実です。

期限と罰則、どこまでが「裏の取れた」数字か

届出の期限は、滞在地の区分で分かれます。都市部などの通常地域では外国人が到着してから12時間以内、山間部・遠隔地では24時間以内が目安です。電子申告の場合はチェックイン時に即時で送れるため、実務ではこの即時申告が基本になりつつあります。旅行者に関わる罰則としては、パスポートなどで虚偽の情報を申告した場合に本人へ罰金が科されうる点は押さえておくとよいでしょう。

届出を怠った施設・管理者側の罰金は、2025年12月15日施行の政令282/2025/NĐ-CPが根拠として案内されています。同令にもとづく金額は、対象人数などによって段階が分かれます。以下は複数の解説ソースで確認できた範囲の目安で、実際の適用は地域や事案で判断されます。

区分 内容 金額の目安(ドン)
届出期限 通常地域(都市部など) 到着後12時間以内
届出期限 山間部・遠隔地 到着後24時間以内
施設・管理者の未届(1〜3人) 外国人1〜3人分の未申告 約300万〜500万
施設・管理者の未届(4〜8人) 外国人4〜8人分の未申告 約1,000万〜1,500万
施設・管理者の未届(9人以上) 外国人9人以上分の未申告 約1,500万〜2,000万
旅行者本人の虚偽申告 パスポート等で虚偽の情報 約300万〜500万

円換算の目安として、1万ドン=約60円で計算すると、300万ドンは約1万8千円、2,000万ドンは約12万円ほどです(※執筆時の概算レート。実際の為替で変動します)。金額そのものより、「借主が外国人だと家主に届出義務が発生する」「怠ると家主が罰金対象になりうる」という構造を理解しておくことが、在住者には実益があります。なお政令の細部(人数区分の厳密な線引きや加重要件)は、公安省・自治体の一次案内で最終確認することをおすすめします。

現地・実務での受け止め

切り替え前後の実務では、いくつかの声が繰り返し聞かれます。第一に、ホテル運営者からは「写真からパスポート情報を自動抽出できるので入力が楽になった」「複数店舗を一アカウントで見られるのは助かる」という前向きな反応。第二に、旧アカウント利用者からは「接頭辞(ag_やhp_など)を付け忘れてログインできず戸惑った」という移行時のつまずきです。第三に、賃貸や民泊で外国人を受け入れる小規模なホストからは、「自分にも届出義務があると知らなかった」という声で、これは制度側というより周知の問題です。地方の公安が住民向けに新システムの使い方説明会を開く例も報じられており、切り替えは現場での案内込みで進んでいます。

在住・長期滞在の日本人が実際に困る三つの場面

ここが本題です。ホテル泊では意識しなくていい手続きが、住む立場になると自分に回ってくる場面を、具体的に見ていきます。

引越し・アパートを自分で借りたとき

不動産会社や大家を通さず、自分で部屋を契約して住む場合、あなたの一時滞在申告を誰かが出す必要があります。管理人が常駐するサービスアパートやコンドミニアムなら、フロントや管理事務所が届出を代行してくれるのが通常です。契約時に「一時滞在申告(khai báo tạm trú)は誰がやるのか」を必ず確認しましょう。個人大家から素の物件を借りる場合は、大家が届出責任者になりますが、実務では借主である外国人がパスポートや在留書類(ビザ・一時在留カード等)を渡し、大家と一緒に地元公安へ手続きするのが現実的です。引越しで住所が変われば、その都度あらためて申告が必要になる点も忘れずに。

友人・家族が来て、自分の家に泊めるとき

日本から友人や家族が遊びに来て、ホテルではなく自分の住まいに泊める場合、あなたが「泊める側」になります。外国人を自宅に泊めるなら、その滞在についても届出の対象になり得ます。短期の来訪で神経質になりすぎる必要はありませんが、原則として「外国人がホテル以外に泊まる=どこかで誰かが届け出る」構造だと理解しておくと安心です。管理人のいる物件なら、来客を泊める際の届出方法を管理事務所に確認しておくのが無難です。

民泊・友人宅・ゲストハウスに滞在するとき

出張や旅行で、ホテルではなく民泊や友人宅、家族経営のゲストハウスに泊まる場合、施設や受け入れ側が新システムで届出をしているかは相手次第です。正規に登録された民泊・ゲストハウスなら施設側が処理しますが、個人間の間貸しのような形だと届出が抜けることがあります。トラブルを避けるには、チェックイン時にパスポートを見せ、「一時滞在申告はしてもらえますか」と一言確認するだけで十分です。前述のとおり、届出を怠った責任は原則として受け入れ側に向かうため、旅行者本人が過度に不安になる必要はありません。

手続きのデジタル化という流れの中で読む

今回の一本化は、ベトナムで進む行政手続きのデジタル統合の一つです。入管手続きが電子IDアプリに寄せられたり、車検が紙不要になったりと、在住者・駐在員に関わる手続きが相次いでオンライン化されています。滞在・在留まわりの動きはベトナム入管手続きが6月からVNeIDに一本化、駐在員と会社の対応はで、行政デジタル化の全体像は車検が紙不要に──7月からVNeIDで完結するベトナムの新ルールでも触れています。新しい長期ビザの動きとあわせて読むと、外国人の滞在管理が「登録・申告・本人確認」を軸に一つの仕組みへ集約されつつある流れが見えてきます。関連の制度更新は最長5年の新ビザ「UĐ1」7月開始、誰が対象になるのかも参考になります。

宿泊施設側から見ると、複数物件の一元管理やパスポートの自動読み取りは事務負担の軽減につながります。一方で、二要素認証や地域別の接頭辞など、移行期特有の「最初のログインでつまずく」ポイントも生まれています。制度としては届出義務そのものが増えたわけではないので、既にきちんと申告してきた施設・大家にとっては「窓口が変わっただけ」という受け止めが実態に近いといえます。

在住者が今できる実用チェック

結局のところ、在住・長期滞在の日本人が押さえるべきは次の三点に集約されます。実務で動けるようにまとめておきます。

場面 誰が届け出るか あなたがすること
ホテル泊 ホテル チェックイン時にパスポート提示のみ
管理人のいるアパート・コンドで居住 管理事務所が代行するのが通常 契約時に「一時滞在申告は誰がやるか」を確認
個人大家から素の物件を借りて居住 大家(管理者) パスポート・在留書類を渡し一緒に手続き。引越しの都度やり直す
自宅に外国人を泊める 泊める側(あなた) 物件の届出方法を管理事務所に確認
民泊・友人宅・ゲストハウス滞在 受け入れ側 「一時滞在申告はしてもらえますか」と一言確認

まとめ、旅行者は身構えず、住むなら「誰が届けるか」を確認

2026年5月21日からの一本化は、ホテルに泊まる旅行者にとっては実質的に「何も変わらない」変更です。届出は施設側の義務で、あなたはパスポートを見せるだけ。一方、ベトナムに住む・長く滞在するなら、次の行動を意識してください。第一に、自分でアパートを借りるときは契約前に「一時滞在申告は誰が出すのか」を確認する。第二に、管理人のいない物件なら大家と一緒に届出を済ませ、引越しのたびにやり直す。第三に、友人や家族を自宅に泊めるとき、民泊や友人宅に泊まるときは、受け入れ側に届出をひと言確認する。制度の細部(政令282/2025の適用や自分の地域が新システムに切り替わったか)は、公安省・地元公安の一次案内で最終確認するのが確実です。手続きがオンラインに寄った分、いざというときは正式名称のアプリ「TBLT KBTT」やサイトtbltkbtt.bocongan.gov.vnで最新の案内をたどれるようにしておくと安心です。

参照元

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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