リーソン島アンビン「壁画村」——IUCN×Duluxが漁村83世帯をウミガメ壁画で塗り替えた全記録

ベトナム中部クアンガイ省のリーソン島(Ly Son)に浮かぶ小さな離島アンビン(An Binh)が、2026年夏の最注目チェックインスポットとして浮上している。国際自然保護連合(IUCN)とオランダ系塗料メーカーAkzoNobel(Dulux)が共同で実施した大規模壁画プロジェクトにより、漁村83世帯の外壁がウミガメや海洋生態系をテーマにしたアート作品に塗り替えられた。

目次

プロジェクトの全容——17,000m2を10,000リットルで塗装

「Let’s Colour」イニシアティブの一環として、「Born to be Wild」をテーマに実施されたこのプロジェクトは、2025年10月から2026年2月にかけて施工された。IUCNとリーソン海洋保護区管理委員会、クアンガイ省漁業協会が連携し、島全体の景観を一変させた。

項目 数値
塗装面積 17,000m2以上
使用塗料 約10,000リットル(Dulux提供)
塗装した建物 住宅83棟、アンヴィン幼稚園・小学校、オン廟
新規壁画 20作品
メインカラー Sound Blue(Dulux 2026年カラーオブザイヤー「The Rhythm of Blues」)
施工期間 2025年10月〜2026年2月
引き渡し 2026年3月21〜23日

壁画のテーマ——ウミガメと海洋保全

20の新規壁画はすべてウミガメと海洋生態系の保全をテーマに描かれている。リーソン島周辺海域はウミガメの産卵地として知られており、壁画を通じて島の住民と観光客に海洋保全の意識を高める狙いがある。

メインカラーにはDuluxの2026年カラーオブザイヤー「The Rhythm of Blues」が採用された。島の自然美——青い海と空——からインスピレーションを得た色彩設計で、壁画と既存の景観が調和するよう計算されている。

IUCN下部メコン地域代表のジェイク・ブルナー氏は「生活空間を活性化しながら海洋生態系についての壁画を制作することで、海洋保護への意識を高める創造的なアプローチになった」とコメントしている。

海洋保全トレーニングの実施

壁画プロジェクトと並行して、2026年3月21〜23日の引き渡し式典ではIUCNによる実践的な保全トレーニングが行われた。

  • 教師向け: 海洋保全とウミガメ保護に関する授業カリキュラムの研修
  • 漁業者向け: ウミガメや海洋哺乳類の混獲を監視・報告するスマートフォンアプリの使用指導
  • 住民向け: 野生動物の救護方法とプラスチックごみ削減の実習

AkzoNobel ASEANデコラティブペイント部門ディレクターのグエン・ミー・ラン氏は「文化遺産と自然遺産を保存しながら、海洋環境保護への意識を高める取り組み」と位置づけている。

現地の反応——SNSと観光客の声

プロジェクト完成後、アンビン島は若者を中心にSNSで「2026年夏の最注目チェックインスポット」として急速に拡散された。「Instagramに映える写真スポットが島中にある」「ベトナムの隠れた宝石を見つけた」というコメントが並ぶ。

実際に訪問した観光客のタインアン氏は「島がより明るく、活気のあるものになった。観光のポテンシャルがとても大きい」と語っている。地元住民からも「観光客が増えて収入が改善された」「子どもたちが壁画を誇りに思っている」という前向きな声が聞かれる。

一方で「壁画が風化しないか心配」「観光客のマナーが問題にならないか」という懸念も一部で見られる。AkzoNobelはDulux塗料の耐候性を強調しており、過去に風雨で劣化した壁画の修復も今回のプロジェクトに含まれている。

日本人観光客への影響——アクセスと費用

リーソン島へは、ダナンからクアンガイ市まで車で約2時間、クアンガイ市のサキー港(Sa Ky Port)からスピードボートで約30分。アンビン島はリーソン島の大島(Dao Lon)から小型ボートで約5分の距離にある小さな離島だ。

ルート 所要時間 料金目安 円換算
ダナン → クアンガイ市 車で約2時間 バス: 150,000 VND 約880円
サキー港 → リーソン島 スピードボートで約30分 180,000〜220,000 VND 約1,060〜1,295円
リーソン大島 → アンビン島 ボートで約5分 30,000〜50,000 VND 約175〜295円

リーソン島にはホームステイや小規模ゲストハウスが中心で、高級ホテルはない。1泊200,000〜500,000VND(約1,175〜2,940円)で宿泊できる。島のニンニク畑や火山岩の地形も見どころが多い。ホーチミン市のタオディエンカフェ巡りとは対照的な、素朴な離島体験が味わえる。

業界への波及——アートツーリズムの新モデル

壁画村プロジェクトは、環境保全と観光開発を両立させるモデルケースとして注目されている。ベトナムではフエのストリートアートプロジェクトやホイアンのランタン祭りなど、アートと観光を組み合わせた取り組みが増えているが、国際的な環境保護団体と連携した事例はリーソン島が初めてだ。

香港のLe LeロンドンのHOP Vietnameseのように、ベトナム文化を海外に発信する動きが活発化する中、リーソン島の壁画村はベトナム国内で文化と環境を融合させた新しい観光資源として位置づけられる。

実用情報まとめ

項目 詳細
所在地 クアンガイ省リーソン島 アンビン(An Binh / Dao Be)
壁画テーマ ウミガメ・海洋生態系保全
アクセス ダナン → クアンガイ(車2h)→ サキー港(ボート30min)→ アンビン島(ボート5min)
宿泊 ホームステイ・ゲストハウス(200,000〜500,000 VND/泊)
ベストシーズン 3〜9月(乾季・夏季)
プロジェクト主催 AkzoNobel(Dulux)× IUCN × リーソン海洋保護区管理委員会
島の他の見どころ ニンニク畑、火山岩地形、ト寺院(To Vo Gate)

まとめ——2026年夏はリーソン島のアンビンへ

83世帯の漁村が丸ごとアート作品に変わったアンビン島は、SNSで話題になる前に訪れるのが理想だ。ウミガメの壁画を背景に写真を撮り、漁師町のゲストハウスに泊まり、島のニンニク畑を散策する。派手なリゾートとは無縁の、静かだが力強いベトナムの離島体験がそこにある。

出典:

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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