スペイン拠点の旅行プラットフォームGuruWalkが公表した「2026年版・世界の歩きやすい都市トップ100」に、ハノイ・ホーチミン市・ホイアンのベトナム3都市がランクインした。バイクが交通の主役で「歩く街」と呼ばれにくかったベトナムの都市像が、ローマ・マドリード・東京と並ぶ徒歩観光地として国際評価される転換点だ。VnExpressの報道を起点に、ランキング基準と日本人旅行者への影響を整理する。
ニュース詳細:GuruWalkがハノイ・HCMC・ホイアンを選出
GuruWalkは世界各都市のフリーウォーキングツアーを集約するプラットフォームで、年1回「歩きやすい都市」ランキングを公表する。2026年版で1位はローマ、2位以下はマドリード・ブダペスト・プラハとヨーロッパ勢が上位を占める中、アジアからは東京・京都・ニューヨークと並んでハノイ・HCMC・ホイアンが100位以内に入った。
評価基準は4軸——①徒歩での移動可能性(walkability)、②観光スポットの密度、③アクセシビリティ、④徒歩中心の体験価値——で、各都市のフリーウォーキングツアー件数・参加者レビュー・現地ガイドの活動状況を組み合わせる。
背景:バイク王国がなぜ「歩きやすい」と評価されたのか
ベトナムは人口1億人超に対しバイク登録台数約7,500万台、交通の主役は二輪車だ。歩道はバイク駐輪・露天商で埋まり、信号は限定的——「歩く都市」のイメージとは正反対だった。それでもGuruWalkがハノイ・HCMCを選んだ理由は明確だ。
ハノイの強みは旧市街(36通り)。狭い路地網に文化遺産・伝統工芸店が密集し、レストラン・カフェ・寺院が徒歩5分圏に集積する。HCMCの強みは動的なペース・歴史と現代建築の混在・路上食文化と評価された。両都市とも「中心部の歴史地区を徒歩で巡る体験」が観光資源として認識された格好だ。
2026年トップ100ランキングの構成(抜粋)
| 順位帯 | 主な都市 |
|---|---|
| トップ10 | ローマ・マドリード・ブダペスト・プラハ・バルセロナ等(欧州中心) |
| アジア勢 | 東京・京都・ハノイ・ホーチミン・ホイアン |
| 米州 | ニューヨーク・メキシコシティ・ブエノスアイレス |
| 評価軸 | 徒歩可能性/観光密度/アクセシビリティ/徒歩体験 |
| 選定主体 | GuruWalk(スペイン・マドリード本社) |
| ベトナム選出 | ハノイ・HCMC・ホイアン(ダナン)の3都市 |
業界の反応:観光戦略に追い風、ハノイ旧市街への投資加速
VnExpress報道では、ベトナム観光業界がこのランキングを「持続可能な観光(slow travel)への転換」のシグナルと受け止めている。短期的なインスタ映え観光から、徒歩で街並みと食文化を体験する「環境志向の旅行スタイル」への移行が進む流れだ。
ハノイ市は2024年から旧市街の歩行者天国化を週末に拡大、HCMCはグエンフエ通り・ブイビエン通りで歩行者専用ゾーンを定着させてきた。今回の国際評価は、こうした徒歩優先の街路再編を後押しする政策的根拠になる。
一方、ホイアンは元々ユネスコ世界遺産の旧市街がバイク禁止で、徒歩観光が完全に確立されている。今回100位以内に並んで選出されたことで「ハノイ・HCMCもホイアンに続け」という歩道整備のロールモデル提示にもなる。
日本人旅行者への影響:徒歩重視の旅程設計
日本からの旅行者にとって、このランキングは旅程設計のヒントになる。徒歩で楽しめるエリアを軸に滞在を組み立てると、移動コストが下がり滞在体験の密度が上がる。具体的には次の3つのモデルケースが考えられる。
- ハノイ:ホアンキエム湖〜旧市街36通り〜大教会——徒歩30分圏に観光・グルメ・カフェが集中、半日で歩き切れる
- HCMC:ブイビエン〜ベンタイン市場〜サイゴン大教会〜中央郵便局〜ノートルダム——徒歩1時間で主要観光全般、D&Gポップアップのレックスホテルもこのエリア
- ホイアン旧市街——終日徒歩、夜のランタンとあわせて滞在価値が高い
ホアンキエム湖周辺のハノイのカフェ撮影文化と組み合わせれば、徒歩散策×撮影×食事の一日完結プランも組める。
業界への波及:東南アジア他都市の評価競争
東南アジアからは他にバンコク・シンガポール・クアラルンプールもランクインしているが、ハノイ・HCMC・ホイアンの3都市同時選出は域内最多クラスだ。バンコクが2024年に歩道整備にBuckanon Plaza地区で大規模投資した事例があるように、徒歩観光地化は域内都市の競争軸になりつつある。
背景には、コロナ後の旅行スタイルが「ガイドブック型のスポット巡り」から「街そのものを歩く体験型」にシフトしていることがある。GuruWalkが集めるフリーウォーキングツアーの参加者数は2025年に世界全体で前年比30%増で、ベトナム3都市はその恩恵を最も受けるポジションにある。
実用情報:徒歩観光に最適な季節とエリア
| 都市 | 徒歩観光ベスト季節 | 主要徒歩エリア |
|---|---|---|
| ハノイ | 10月〜翌4月(涼季) | 旧市街36通り、ホアンキエム湖周辺、フランス人街 |
| ホーチミン市 | 12月〜翌3月(乾季) | ベンタイン〜中央郵便局、ブイビエン、グエンフエ |
| ホイアン | 2月〜4月、9月〜10月 | 旧市街全域(バイク禁止)、夜のランタン |
| 注意点 | 5〜9月は雨季・酷暑 | 朝7〜10時/夕16〜19時が徒歩に最適 |
5〜9月の南部はスコールと日中35度超、北部も湿度の高い梅雨期に入る。徒歩観光メインで来る場合は、10月〜翌4月の乾涼季を選ぶのが鉄則だ。メコンデルタの乾季体験と組み合わせれば、季節性のメリットを最大化できる。
まとめ:ベトナム旅行の選び方が変わる
GuruWalkトップ100入りは、ベトナム旅行の評価軸を「価格」「グルメ」だけでなく「歩く価値」に拡げる。ハノイ・HCMCは中心部1〜2エリアに絞れば徒歩で十分回れることが、国際評価で裏付けられた。日本人旅行者の旅程設計でも、地下鉄やGrabに頼らず歩く時間を組み込むことで、街の表情をより深く味わえる。
