ハノイのクラフトビールシーンは、ホーチミン発祥のPasteur Street Brewingに留まらず、ハノイ独自に発展したローカルブリュワリーが10店舗以上ひしめく東南アジア有数のビール都市です。背景には伝統的な「Bia Hoi(ビアホイ)」文化と、西湖(Tay Ho)周辺の外国人コミュニティが融合した独特の歴史があります。本記事では来週ハノイ観光を控えている方向けに、ハノイ独自ブランド5選、エリア別おすすめショップ、Bia Hoiとの楽しみ方、1日モデルコース3パターンまで実用情報を網羅します。なお、長年ハノイクラフトの代表格だったFurbrewは閉業し、現在は「The Box Bar」としてリブランディングされています。
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なぜハノイにローカルクラフトビールが盛んなのか
「クラフトビール=ホーチミン」と思われがちですが、ハノイにこそローカル色の強いブリュワリーが集積しています。3つの歴史的・文化的背景があります。
Bia Hoi(ビアホイ)文化が土台になっている
ハノイの「Bia Hoi」は朝醸造して当日中に飲み切る生ビール文化で、1杯約10,000VND(約60円)という世界最安水準。アルコール度数3%前後で軽く、街の至るところでプラスチック椅子に座って飲むのが日常風景です。この「ビールを毎日カジュアルに飲む」文化が、クラフトビールへの関心を地元層にも広げる土壌になりました。

西湖(Tay Ho)の外国人コミュニティの存在
ハノイ北西の西湖周辺はフランス人・アメリカ人を中心とした外国人駐在員エリアで、欧米のクラフトビール文化を持ち込んだブリュワーが2010年代後半から集まりました。Furbrew(後のThe Box Bar)、Standing Bar、Turtle Lake Brewingなど、Tay Ho発のブランドが数多く生まれています。
ベトナム素材を活かす実験精神
かつてFurbrewが手掛けたPho Beer(フォーの香辛料を使ったビール)、7 BridgesのBastard Series(ベトナムスパイス使用)、Pasteur StreetのJasmine IPA(ジャスミン花香)など、ベトナムならではの素材を組み合わせた実験的フレーバーが各ブランドの個性に。地産食材との掛け合わせがハノイクラフトの面白さです。
ハノイ独自・必訪のローカルブランド5選
ハノイ発祥または独自展開のクラフトブランド5つを、特徴・代表ビール・行きやすさで整理します。1日で全部回るのは無理なので、興味のあるスタイルから絞るのがおすすめです。
| ブランド | エリア | 代表ビール | 1パイント価格 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| The Box Bar(旧Furbrew) | Tay Ho(西湖) | 低価格ハウスビール | 50,000〜100,000VND | 2024年リブランド、コスパ重視 |
| Standing Bar | Truc Bach(チュックバック) | 15〜19タップ毎日変動 | 80,000〜140,000VND | 湖を望む屋上ビアガーデン |
| 7 Bridges | Tay Ho | Bastard Series | 100,000〜150,000VND | ダナン発、ベトナムスパイス使用 |
| Heart of Darkness | Old Quarter近郊 | Belgian Tripel / Ginger Beer | 100,000〜160,000VND | 季節限定の実験ビール |
| Bia Sành Điệu | 市内2店舗 | 自家醸造+他社タップ | 70,000〜120,000VND | ベトナム料理とのペアリング |
初めての方はStanding Barのテイスティングフライト(4種類×100ml = 約180,000VND)から始めると、ベトナム各地のクラフトビールを一度に体感できます。Furbrewの旧Pho Beer在庫はThe 100 Gardenなど一部のタップルームで残数限定で楽しめます。
The Box Bar(旧Furbrew):ハノイ・ローカル代表格の後継店
デンマーク出身のブリュワー Thomas Bilgram氏が西湖エリアで立ち上げ、長年ハノイクラフトの顔だった「Furbrew」は閉業し、2024年に「The Box Bar」としてリブランディングされました。新店舗ではコスパ重視のハウスビールが中心で、1パイント50,000VND(約300円)からと従来のFurbrew時代より手頃な価格帯。フォー(ベトナム麺料理)の香辛料(八角・シナモン)を使ったPho Beerの旧在庫は、The 100 Gardenなど一部のタップルームで残数限定で味わえます。
- 住所: 8B Ngõ 12 Đặng Thai Mai, Tây Hồ, Hà Nội
- 営業: 13:00〜23:00(毎日)
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Standing Bar:絶景ルーフトップで19タップ
Truc Bach湖を一望するルーフトップで、ベトナム各地のクラフトビール19タップを毎日入れ替えで提供。Pasteur Street・7 Bridges・Furbrew・Heart of Darknessなど主要ブランドが一度に試せるため、ハノイクラフトの全体像を1店で掴むには最適です。サンセットタイム(17:30〜18:30頃)が最も賑わいます。
- 住所: 170 Trấn Vũ, Trúc Bạch, Ba Đình, Hà Nội
- 営業: 月〜金 15:00〜24:00 / 土日 12:00〜24:00
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7 Bridges:ダナン発・受賞歴のあるBastard Series
2017年にダナンで創業し、ハノイ・ホーチミン・ホイアンに展開するベトナム発の本格クラフトブランド。ベトナム特有のスパイスやフルーツを使ったBastard Seriesはアジアビアアワードでも入賞経験あり。ハノイ店はTay Ho地区のシェラトン近くで、Pizza 4P’sも徒歩圏内なので食事と組み合わせやすい立地です。
- 住所: 3 Đặng Dung, Quán Thánh, Ba Đình, Hà Nội
- 営業: 11:00〜23:45(毎日)
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Heart of Darkness:実験的フレーバーの王者
ホーチミン発祥のクラフトブランドだが、ハノイにも常設店を持つ実力派。ベルジャントリペル8.5%や激辛ジンジャービール、季節限定の南国フルーツビールなど挑戦的な味で知られます。「とりあえずスタンダードIPAは飽きた」というクラフト中級者以上におすすめ。
- 住所: Old Quarter近郊、複数タップポイントで取り扱い
- 営業: 取扱店により異なる
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Bia Sành Điệu:ベトナム料理ペアリング特化
「Stylish Beer」を意味する地元ブランドで、市内2店舗を展開。自家醸造ビールに加え、Pasteur Street・7 Bridges・Heart of Darknessなど他社タップも揃え、ベトナム料理とのペアリングを前面に出した一風変わった業態。フォー・バインミー・揚げ春巻きなどの定番料理がビールに合わせて出せます。
- 住所: 市内2店舗(Old Quarter / Ba Dinh)
- 営業: 10:00〜23:30(店舗により変動)
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その他知っておきたいハノイのクラフト名店4選
主要5ブランド以外にも、知る人ぞ知る名店があります。深く掘りたい方向けの追加候補です。
| 店名 | エリア | 特徴 |
|---|---|---|
| Turtle Lake Brewing Co. | Tay Ho | 20タップ・ほぼ自社醸造、コアビアファン御用達 |
| B’ross Craft Beer | Old Quarter | ベトナム森林蜂蜜を使ったハニーIPAが看板 |
| Taproom Cua Bac | Truc Bach(30 Cua Bac) | 16タップ・季節限定IPAが豊富 |
| iBiero Craft Beer Station | ハノイ駅前 | 列車乗車前後に立ち寄れる立地、夜遅くまで営業 |
The Bottle Shop(西湖・旧市街の2店舗)はベトナム最大級のクラフトビール瓶&缶セレクション。テイクアウト派・ホテルで飲みたい派におすすめです。
Bia Hoi(ビアホイ)とクラフトビールの違い・併用の楽しみ方
ハノイのビール文化は「Bia Hoi(伝統)」と「クラフト(モダン)」の二段階構成。両方を体験するのが粋な楽しみ方です。
| 項目 | Bia Hoi | クラフトビール |
|---|---|---|
| 価格 | 10,000VND(約60円)/杯 | 70,000〜150,000VND(約420〜900円)/パイント |
| アルコール度数 | 3%前後 | 5〜10% |
| 場所 | 路上のプラスチック椅子 | 洒落たタップルーム・ルーフトップ |
| 客層 | 地元の中高年中心 | 外国人+若年層 |
| 提供時間 | 昼〜夜(売り切れ次第終了) | 夕方〜深夜 |
定番Bia Hoi Junction「Tạ Hiện通り」
旧市街のTạ Hiện通りとLương Ngọc Quyến通りの交差点が「Bia Hoi Corner」と呼ばれるハノイ最大の生ビール集積地。夕方17時頃から路地全体に椅子が並び、観光客と地元客で賑わいます。1杯60円のビアホイで小腹を満たし、その後にクラフトビール店へハシゴするのが王道コース。
- 住所: Tạ Hiện × Lương Ngọc Quyến 交差点(Old Quarter)
- 営業: 17:00頃〜深夜(店舗により)
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1日で巡る!ハノイクラフトビール3コース
滞在日数・体力に合わせて選べる3パターンを紹介します。Grab(配車アプリ)またはタクシーで移動するのが現実的です。配車アプリ使い方ガイドを事前に確認しておくと安心。
コースA:王道半日(Old Quarter+Truc Bach)
- 16:00 旧市街のBia Hoi Cornerでビアホイ体験(30分)
- 17:00 タクシーでStanding Bar(Truc Bach)へ移動、サンセット狙い
- 18:30 7 Bridges(Tay Ho)に移動、夕食ペアリング
- 21:00 The Box Bar(旧Furbrew)でナイトキャップ
コースB:1日コア体験(朝〜深夜)
- 11:00 Pasteur Street Hanoi店で軽くランチビール(Jasmine IPA)
- 13:00 旧市街観光、街歩き
- 15:00 Heart of Darkness取扱店でセゾン系を試す
- 17:00 Standing Barでサンセット(19タップ食べ比べ)
- 19:00 Bia Sành Điệuでベトナム料理とのペアリング
- 21:30 The Bottle Shopで瓶ビール購入、ホテルでナイトキャップ
コースC:朝活+夜の2部制(短時間集中)
- 朝: Bia Sành Điệuの開店直後(10:00〜11:00)に1杯
- 昼: 観光に集中
- 夜: Standing Bar→The Box Barの2軒ハシゴ(19:00〜23:00)
お土産・持ち帰りのコツ
気に入ったクラフトビールは日本にも持ち帰り可能。瓶・缶ビールはThe Bottle Shopで多数揃います。アルコール3L以下は日本の関税対象外、機内持込は100ml超のため受託手荷物に入れる必要があります。詳しい手荷物ルールは日本からベトナム行き飛行機完全ガイドを参照してください。割れ防止のため、衣類で包んでスーツケース中央に配置するのが鉄則です。
まとめ:ハノイは「Bia Hoi+クラフト」の二段階で楽しむ
ハノイのクラフトビールは、Bia Hoiの大衆文化を土台に、Tay Ho・Truc Bach・Old Quarterの3エリアで独自に発展した東南アジア有数のシーンです。Pasteur Streetだけでなく、The Box Bar(旧Furbrew)・Standing Bar・7 Bridges・Heart of Darkness・Bia Sành Điệuの5系統を押さえれば、ハノイクラフトの全体像が見えます。Bia Hoi Cornerでローカル体験→クラフト店巡りの二段構えで、1日でハノイのビール文化を網羅できます。
ハノイ観光の他のお楽しみはハノイお土産ガイドとハノイのフォー名店8選もあわせてどうぞ。コーヒー文化を楽しみたい方はベトナムコーヒーカフェ名店15選も参考になります。

