ハノイの旧市街を歩く週末が、少しだけ静かになります。市当局は7月1日から、ホアンキエム地区の11通りでガソリンバイクの時間帯進入規制を開始しました(2026年4月23日報道/7月1日開始)。旧市街を散策する旅行者や、この一帯に暮らす在住者にとっては、移動の組み立て方が変わる話です。まず「どの通りが・いつ・何を止めるのか」を具体的に押さえておくと、当日あわてずに済みます。
7月1日に始まった「低排出ゾーン」第1段階
今回の規制は、ハノイが環状1号線の内側で進める「低排出ゾーン(LEZ)」の第1段階です。第1段階の対象はホアンキエム地区の中心部、面積0.5平方キロ・外周3.5キロほどの狭いエリアで、居住人口はおよそ2万人。旧市街とホアンキエム湖の周辺という、観光客がもっとも歩き回る一等地が舞台になります。
対象となる11通りは、チャンティエン(Trang Tien)、ハンカイ(Hang Khay)、レタイト(Le Thai To)、ハンダオ(Hang Dao)、ハンガン(Hang Ngang)、ハンブオム(Hang Buom)、マーマイ(Ma May)、ハンバック(Hang Bac)、ハンマム(Hang Mam)、グエンフーフアン(Nguyen Huu Huan)、リータイト(Ly Thai To)。オペラハウス前からホアンキエム湖、旧市街の土産物通りまでを串刺しにするラインで、旅行者の行動範囲とほぼ重なります。
止まるのは「金曜夜と週末」だけ
誤解しやすいのですが、平日の昼間から全面禁止になるわけではありません。私用のガソリンバイク・スクーターが規制されるのは、金曜18時〜24時、土曜・日曜は6時〜24時の時間帯です。つまり週末に旧市街へ遊びに行く人ほど影響を受けます。逆に平日の日中に立ち寄るなら、これまでどおりバイクで乗り入れられます。
もう一つ重要なのが、配車アプリのバイクタクシーの扱いです。GrabやXanh SMなどのアプリ経由で走るガソリンバイクは、時間帯を問わずゾーン内から締め出される方針で、電動車への切り替えが促されています。週末に旧市街のホテルまでバイクタクシーで乗りつける、という定番の動きが使えなくなる場面が出てきます。行き先がゾーン内なら、対応時間や電動車かどうかを予約前に確認しておくと安心です。
対象時間・エリアの早見表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施行日 | 2026年7月1日(第1段階〜同年12月31日) |
| 対象地区 | ホアンキエム地区中心部(環状1号線内側) |
| 対象範囲 | 11通り/面積約0.5平方キロ・外周約3.5キロ |
| 規制時間(私用バイク) | 金18〜24時/土日6〜24時 |
| 配車アプリのバイク | 時間帯を問わずゾーン内進入不可(電動化を推奨) |
| 対象車両 | ガソリン式のバイク・スクーター |
徒歩・電動・公共交通で組み立てる
では規制時間帯に旧市街をどう動くか。もともと対象エリアは半径にして数百メートルの範囲なので、実は徒歩が一番現実的です。ホアンキエム湖から旧市街の中心までは歩いて10〜15分ほど。週末の夜は歩行者天国も広がるため、はじめから歩く前提で予定を組むと、規制を意識せずに楽しめます。
市はゾーン化に合わせて、電動バス・都市鉄道・電動自転車・シェア型の公共電動バイク、そして充電・バッテリー交換拠点や乗り換えハブといった「グリーン交通」の整備を進める方針です。7月からホーチミンで路線バスの無料化が始まるなど、ベトナムの都市部では公共交通を使いやすくする動きが同時多発的に進んでいます。ハノイでもメトロや電動バスの拡充がゾーン規制とセットで語られており、旅行者にとっては「バイクに頼らない移動」の選択肢が年々増えていく流れです。
空港とのアクセスも同じ文脈で見ておくと便利です。ハノイではメトロ整備で空港アクセスの形が変わりつつあるため、旧市街のホテルを拠点にするなら、到着後は鉄道やバスで市内へ入り、エリア内は徒歩や電動移動で回る、という組み立てが将来的に主流になりそうです。
在住者・旅行者への実際の影響
取り締まりは、ナンバープレート自動認識(ANPR)カメラや標識、交通監視インフラ、データ管理システムでゾーンへの出入りを把握する仕組みです。感覚的な運用ではなく、カメラベースで管理される点は覚えておきたいところ。ゾーン内に住む人や事業者に対しては、クリーンエネルギー車への切り替えを後押しする支援策も打ち出される見込みで、いきなり生活が立ち行かなくなる設計ではありません。
とはいえ、旧市街のカフェやショップは配達・仕入れをバイクに頼ってきた業態が多く、週末の時間帯規制が定着すれば、電動バイクへの置き換えや配送時間の見直しが現実の課題になります。旅行者側から見れば、週末夜の旧市街は「歩く街」に一段と寄っていくということ。バイクの排気音とクラクションが減った旧市街は、散策やカフェ巡りにはむしろ歩きやすくなる可能性があります。
2029年までの3段階、旧市街から環状1号線内へ
今回の11通りはあくまで入口です。第2段階(2027年)ではホアンキエムに加えてクアナム地区へと範囲が広がり、対象人口は約13万7000人規模に拡大。第3段階(2028〜2029年)には環状1号線の内側全体、面積26平方キロ超・人口約62万5000人のエリアへと広がる計画です。ハノイ全体では約690万台のバイクが走り、うち約45万台が環状1号線内で使われていると報じられており、都市の空気と移動の形を数年がかりで組み替える構想だとわかります。
次にハノイを訪れるなら、週末の旧市街は「歩く・電動で回る」を前提に予定を立てるのが得策です。段階的にエリアが広がるため、今のうちから徒歩と公共交通を軸にした動き方に慣れておくと、この先の旅がスムーズになります。
よくある質問
平日の昼間もバイクで旧市街に入れませんか?
私用のガソリンバイクが規制されるのは、金曜18〜24時と土曜・日曜の6〜24時の時間帯です。平日の日中はこれまでどおり乗り入れできます。週末に旧市街へ行く場合だけ、時間帯を意識してください。
レンタルバイクや配車アプリのバイクタクシーは使えますか?
配車アプリ経由のガソリンバイクは時間帯を問わずゾーン内に入れない方針です。ゾーン内が目的地の場合は、対応時間や電動車かどうかを予約前に確認しましょう。レンタルのガソリンバイクも週末の規制時間帯は対象エリアに乗り入れできません。
規制時間中はどう移動すればいいですか?
対象エリアは半径数百メートルの狭い範囲なので、徒歩が最も確実です。ホアンキエム湖から旧市街中心まで徒歩10〜15分ほど。市は電動バスや都市鉄道、電動自転車の整備も進めており、周辺までは公共交通、エリア内は徒歩という組み合わせが便利です。
参照元
VnEconomy: Hanoi to pilot petrol motorbike ban on 11 streets starting from July 1
Vietnam News: Ha Noi to pilot petrol motorbike ban in Old Quarter from July
Vietnam Plus: Hanoi to pilot petrol motorbike ban in Old Quarter from July
