標高1,500mの高原リゾート、ダラットの空の玄関口が5ヶ月半ぶりに開く。ラムドン省のリエンクオン国際空港(Liên Khương)は滑走路の全面改修で3月4日から閉鎖されていたが、8月19日に運用を再開する。初日は約28便で立ち上げ、その後は国内線だけで週91往復が戻る。加えてカントー=ダラット便が6年ぶりに復活し、9月にはダラット=クアラルンプールの国際線も動き出す。ベトナム中南部の避暑地へ直接降りられる状態が戻る意味は、現地在住者にも、涼を求める日本人旅行者にも小さくない。
初日28便で立ち上げ、国内線は週91往復まで一気に戻る
再開初日の8月19日はおよそ28便から始め、通常ダイヤに乗ると1日36〜40便、1日あたり約6,800人の旅客をさばく規模に戻る。運航の中身は2社で分かれる。ベトジェットエア(Vietjet)がハノイ・ホーチミン・ハイフォン・ヴィン・ダナンの5路線で週49往復、ベトナム航空(Vietnam Airlines)がハノイ・ホーチミン・ダナンをエアバスA321で週42往復。合わせて週91往復という数字は、閉鎖前の便数感覚に近いところまで一気に戻すことを意味する。
ベトナム航空グループは9月・10月にかけて便数をさらに調整し、ハノイ・ホーチミン・ダナンとリエンクオンを結ぶ便を1日7往復まで積み増す計画も示している。避暑シーズンと重なる時期に供給を厚くしておく構えだ。
| 航空会社 | 主な国内路線 | 週の往復便数 | 機材 |
|---|---|---|---|
| ベトジェットエア | ハノイ/ホーチミン/ハイフォン/ヴィン/ダナン | 49往復 | — |
| ベトナム航空 | ハノイ/ホーチミン/ダナン | 42往復 | A321 |
| VASCO(ベトナム航空グループ) | カントー | 週7往復(当初1日1往復) | ATR72 |
カントー=ダラットがVASCOのATR72で6年ぶり復活、クアラルンプール線も9月再開
今回の再開でとくに目を引くのが、メコンデルタの中心カントーとダラットを結ぶ路線の復活だ。この区間は約6年前に運休して以来途切れていたが、8月19日からベトナム航空グループのVASCOがATR72(ターボプロップ機)で1日1往復を飛ばす。9月・10月は月・水・金・土・日の週5往復に調整される見込みで、メコンデルタから中南部高原へ、車と長距離バスに頼らず直接移動できる選択肢が戻る。
国際線では、ダラット=クアラルンプール便が9月2日から週4往復で再開すると報じられている。地方空港が近隣国の首都と直接つながる形で、ダラットにとっては東南アジア域内からの入り口がひとつ増える。日本からの旅行者にとっても、クアラルンプール経由という選択肢が理屈のうえでは成立する。
閉鎖の5ヶ月半はカムラン160kmとバンメトート200km経由が現実解だった
3月から続いた閉鎖の間、ダラットへ向かう人はどう動いていたか。空路が完全に止まったため、現実的だったのは近隣空港からの陸路乗り継ぎだ。もっとも使われたのがニャチャンのカムラン国際空港で、ダラットまで約160km、車で3〜4時間。北部からの旅行者にはバンメトート空港(ダラットまで約200km)経由も選ばれた。南部からはホーチミンから約300kmを長距離バスで6〜8時間かけて上がるルートが現実的な逃げ道になっていた。
SNS上には「カムランに降りてから山道を4時間、結局まる1日移動でつぶれた」という在住者の書き込みや、「連休はニャチャン行きの便もバスも1〜2ヶ月前に埋まる」と嘆く旅行者の声が並んでいた(いずれも意訳)。空港が1つ閉じるだけで、周辺の空と道路に負荷が一気に回っていた構図がよくわかる。8月19日以降は、この遠回りが不要になる。
| 時期 | ダラットへの主なアクセス | 所要の目安 |
|---|---|---|
| 閉鎖中(3〜8月) | カムラン空港(ニャチャン)→陸路160km | フライト+車3〜4時間 |
| 閉鎖中(3〜8月) | ホーチミンから長距離バス300km | 6〜8時間 |
| 8月19日以降 | リエンクオン空港へ直接着陸 | ダラット中心部まで約30km |
滑走路をアスファルトからコンクリへ、約1兆320億ドンで2030年500万人を見据える
そもそも5ヶ月半も閉じたのは、滑走路09-27を全面的に造り直すためだった。既存のアスファルト舗装をセメント・コンクリート舗装に変え、構造を補強する。誘導路・安全帯・関連設備までまとめて更新する国家重点プロジェクトで、総投資額は約1兆320億ドン(1,032 tỷ ドン=約39百万米ドル。1米ドル≒155円換算でおおむね60億円前後。いずれも概算)。主要工事は7月に完了し、月末には校正飛行(キャリブレーション)を行ったうえで再開にこぎ着けた。
この改修は目先の復旧にとどまらない。2030年以降には滑走路を3,600mまで延ばし、年間旅客数を500万人規模、将来的には700万人まで引き上げる構想が示されている。避暑と花の街として国内観光の看板を張ってきたダラットが、地方空港のままでは足りない需要を見込んでインフラを先に厚くしておく、という判断が透けて見える。
日本からダラットへ入るなら、ダナン/ホーチミン乗り継ぎか国内線の安値便を狙う
日本からリエンクオンへの直行便はない。現実的には、まずダナンやハノイ・ホーチミンへ入り、そこから国内線でダラットへ乗り継ぐ形になる。ベトナム航空はダナンへ週11便を飛ばすなど対日路線を厚くしており、中部で降りてから中南部高原へ抜ける動線が組みやすい。ダナン=ダラットはベトジェット・ベトナム航空とも運航路線に入っているため、乗り継ぎの選択肢もそろう。
費用を抑えたいなら国内線の値動きも押さえておきたい。ベトナムの国内線は深夜便で運賃が3〜5割安くなる時期があるため、ダラット便が戻る初期は時間帯次第で価格差が大きく出やすい。再開直後は座席が埋まりやすいので、日程が決まっているなら早めの確保が無難だ。
降り立った先のダラットには、フランス統治期の名残が濃い。丘の上には弧を描くフランス建築の名門校が90年前から立っており、涼しい気候とコロニアル建築、花の栽培が同居する街の輪郭は、空港が近いからこそ半日でも回りやすい。空の玄関が戻ることは、単に便数が増える話ではなく、この高原都市への旅そのものを軽くする。
参照した情報源
- Kênh14 — まもなくベトナムが5ヶ月超の閉鎖を経て国際空港の運用を再開
- VnExpress International — Over 90 weekly flights to resume as Vietnam international airport reopens from August
- Vietnam News — Liên Khương International Airport to resume operation from August 19
- Vietnam Airlines Spirit — カントー=ダラット線が6年ぶり復活
- Vietcetera — Da Lat’s Only Airport Will Close for Six Months: How to Get There Without Flights?
