ダラットの丘に90年、弧を描くフランス建築の名門校

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ベトナムの新聞ダン・チーが7月11日、ダラットにある「曲線を描く独特な建築の古い学校」を写真付きで取り上げ、あらためて注目を集めています。紹介されたのは、フランス統治期に建てられた旧リセ・イェルサン——現在のダラット短期大学(旧・ダラット師範短期大学)です。標高約1,500mの高原都市ダラットは、ホーチミンからの直行便や避暑客でにぎわう街で、8月に予定されるダラットの空の玄関口リエンクオン空港の再開で足の便もさらに戻ります。今回は、この「美しすぎる古学校」を旅程に組み込むための見どころと、見学の可否・行き方・撮影のマナーを実用目線で整理します。

目次

ダン・チーが伝えた「弧を描く校舎」とは

記事が焦点を当てたのは、丘の斜面に沿って長い弧を描く校舎棟です。正面から見ると、両端がゆるやかに手前へ回り込み、まるで開いた一冊の本のように見えます。設計者はこの曲線に「学問への渇望」という意味を込めたと伝えられ、赤レンガの外壁と丘の緑が織りなす姿は、ダラットでも指折りのフォトスポットになっています。

建物のシンボルは、敷地の最も高い場所に立つ高さ54mの鐘楼です。すらりと伸びた塔は街のあちこちから見え、卒業写真やウェディングフォトの背景として今も現役で使われています。近くで見上げると、ヨーロッパから運ばれたという赤レンガの積み方や、青みがかった暗色のスレート屋根の質感がよく分かります。

ペチ・リセからイェルサン、そして短大へ

この学校の歴史は1927年にさかのぼります。フランス人建築家モンセの設計で着工し、当初はフランス人子弟や一部の裕福なベトナム人家庭の子どもが通う「ペチ・リセ・ダラット」として開かれました。1935年、ダラットの街を「発見」した細菌学者アレクサンドル・イェルサン博士にちなみ、校名がリセ・イェルサンへと改められています。

校舎のモチーフには、イェルサン博士が縁を持ったスイス・モルジュの建築要素が取り入れられ、鐘楼・急勾配の屋根・アーチの並ぶ回廊といった意匠に生かされました。2022年には周辺の教育機関と統合され、現在はダラット短期大学として使われています。校名も用途も移り変わりながら、建物そのものは90年以上、丘の上に立ち続けています。

数字で見る建築スペック

裏取りの取れた主要な数値を一覧にまとめます。曲線校舎の全長は資料によって手前側・奥側で寸法が異なるため、ここでは確度の高い項目のみを挙げます。

項目 内容
着工 1927年
設計 フランス人建築家モンセ
校舎棟 3階建て・教室24室・弧を描く配置
鐘楼の高さ 54m(敷地の最高所に立つ)
主な建材 ヨーロッパ製の赤レンガ・フランス製の屋根瓦
国家遺跡認定 2001年12月28日(建築遺跡)

「20世紀の名建築1000」に選ばれた評価

この校舎が観光地として語られるのは、見た目の美しさだけが理由ではありません。専門家からの評価が積み重なっている点が、ほかの映えスポットと一線を画します。

  • 国際建築家連合(UIA)により、20世紀を代表する世界の独創的建築1,000件の一つに選ばれています。
  • 2001年12月28日には、ベトナムの国家建築遺跡として正式に認定されました。
  • ベトナム国内の映画・ドラマ・MVのロケ地としても繰り返し使われ、地元では卒業シーズンの記念撮影の定番になっています。

ダラットには花畑やカフェなど新しい映えスポットが次々に生まれていますが、その多くが人工的に作られた景観であるのに対し、この学校は約1世紀の時間そのものが背景になっている点が違います。ジブリ風カフェや紫陽花畑をめぐるダラットの映えスポット巡りに、この本物の歴史建築を1カ所加えるだけで、写真のバリエーションはぐっと広がります。

旅行者がこの1カ所から得られるもの

観光で訪れる立場から見ると、この学校を旅程に入れる価値は3つに整理できます。

第一に、涼しい高原で歩いて楽しめる建築散歩だという点です。ダラットは真夏でも過ごしやすい気候で、丘の斜面に立つ校舎を見上げながらの散策は、ビーチリゾートとは違う旅の一面になります。市街地から2kmほどと近く、鐘楼を目印に坂を上れば迷いにくいのも助かります。

第二に、入場無料で立ち寄れる本格的な文化財である点です。多くの映えスポットが有料化するなか、ここは基本的に入場料がかかりません。旅の予算を圧迫せずに、20世紀の名建築に選ばれた実物を間近で見られるのは、費用対効果の面でも大きな魅力です。

第三に、訪ね方に配慮が要る「生きた学校」だという点です。ここは観光施設ではなく、今も学生が学ぶ現役のキャンパスです。だからこそ、静かに歩く・授業時間帯を避ける・許可のない場所に立ち入らないといった最低限のマナーが、この景観を次の旅行者にも残すことにつながります。

行き方・見学の実用情報

訪問前に押さえておきたい基本情報をまとめます。開放時間や撮影の扱いは学校側の判断で変わることがあるため、現地の掲示や係員の案内を優先してください。

項目 内容
名称 ダラット短期大学(旧リセ・イェルサン)
住所 ラムドン省ダラット市 イェルサン通り109
市街地からの距離 中心部(スアンフーン湖周辺)から約2km
入場料 基本無料(現役の教育機関のため見学時間の制限あり)
ダラットへの空路 リエンクオン空港(2026年8月再開予定)
マナー 授業の妨げにならないよう静かに見学・撮影は掲示に従う

まとめ——旅程に「本物の時間」を一枚足す

弧を描く校舎、54mの鐘楼、ヨーロッパから運ばれた赤レンガ。1927年に着工したこの学校は、校名を変えながらも90年以上ダラットの丘に立ち、UIAの「20世紀の名建築1000」にも名を連ねています。次にダラットを訪れるなら、花畑やカフェのあいだにこの1カ所を挟んでみてください。花の丘フレッシュガーデンのような新名所とセットで回れば、人工の映えと本物の歴史、その両方を一日で写真に収められます。訪問前には空港の再開状況と現地の見学時間だけ確認しておけば、準備は十分です。

参照元

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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