2026年7月1日、ハノイの中心を走る路線バスが1年間まるごと無料になりました。対象は環状1号線(Ring Road 1)の内側を走る45路線で、無料期間は2027年6月30日まで。同じ日に、ベトナムで初めての「低排出ゾーン」の試行もホアンキエム区で始まりました。旧市街を歩いて回る日本人旅行者にとって、これは「乗る足」と「歩ける時間帯」が同時に変わる話です。どの路線が使えて、いつバイクや車が入れなくなるのか、旅の前に押さえておくと動きやすくなります。
7月から始まったのは何か
ハノイ市が打ち出したのは、大きく二つの施策です。ひとつは環状1号線内を走る路線バスの1年間無料化。もうひとつが、旧市街を含むホアンキエム区での低排出ゾーン(LEZ)の試行開始です。無料の対象になるのは環状1号線内の45路線で、うち29路線は始発・終点がゾーン内にあり、16路線はゾーンを通り抜ける形で走ります。ベトナム語や英語で書かれた案内が読めなくても、環状1号線の内側であれば運賃を気にせず乗り降りできる、と考えておけば大きく外しません。
注意したいのは、無料になるのは通常の市バスだけという点です。空港連絡バスなどの商用便や観光用バスは対象外とされています。ホーチミンでも同じ7月から134路線が無料になっており、二大都市が足並みをそろえて公共交通の利用を後押しし始めた形です。
低排出ゾーンで「歩ける時間」が生まれる
低排出ゾーンの試行は、ホアンキエム区の第1・第2ゾーンで2026年7月1日から12月31日までの半年間、まず走らせます。旅行者に効いてくるのが、車とバイクの通行が止まる時間帯です。ホアンキエム湖と旧市街を含む第1ゾーンでは、金・土・日の夜19時から24時まで、公用車を除いてバイクと車の乗り入れが禁止になります。旧市街周辺の第2ゾーンでは、16席以上の大型車が朝6〜9時と夕方16〜19時半に通行できなくなります。
つまり、週末の夜は湖の周りと旧市街が歩行者中心の空間に切り替わります。ハノイでは以前から旧市街の一部11通りで週末歩行者天国が実施されてきましたが、今回のゾーン設定でその「静かな時間」がさらに広がる形です。バイクの洪水を避けて写真を撮りたい人、夜市をゆっくり歩きたい人には、金〜日の夜がねらい目になります。
気になるバイク規制はどうなった
ハノイでは当初、環状1号線内でガソリンバイクを一気に締め出す案が検討されていました。ただ市の人民評議会が2026年5月に「裏付け資料が不十分」として一度差し戻し、その後は段階的に絞り込む方式へと組み替えられています。
現時点で決まっている流れは次の通りです。2026年7月からの試行段階では、配車アプリのガソリンバイクの利用は抑制されるものの、私有バイクを一律で禁止するところまでは踏み込みません。2027年にゾーンを広げ、私有のガソリンバイクへの本格的な規制は2028年1月から、排出基準を満たさない車両の乗り入れを認めない形で段階的に始まる見通しです。旅行でレンタルバイクや配車アプリを使う人にとっては、当面は「週末夜の一部エリアで乗り入れできない」ことだけ覚えておけば十分です。
旅行者が実際に使うための足回り
市は移動手段の切り替えを支えるインフラも同時に整えています。ゾーン周辺では220か所の駐車場が見直され、大型車の乗降場所も4か所指定されました。歩いて回る人に便利なのが、ホアンキエム区とクアナム区に設置された公共レンタサイクルで、44か所のステーションに456台の自転車が置かれています。無料バスで中心部まで来て、そこからレンタサイクルや徒歩で旧市街をめぐる、という組み合わせが現実的です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 無料バス対象 | 環状1号線内の45路線(2026年7月1日〜2027年6月30日) |
| 週末の車・バイク規制 | 第1ゾーン:金〜日の19〜24時に乗り入れ禁止 |
| 大型車の規制 | 第2ゾーン:毎日6〜9時/16〜19時半に通行不可 |
| レンタサイクル | 44ステーション・456台(ホアンキエム区・クアナム区) |
現地の受け止め
ゾーン内に暮らす住民からは、週末の夜に湖畔が静かになることを歓迎する声が上がる一方、日常の通勤や買い物でバイクに頼ってきた層からは、代替の足がどこまで使えるのかを心配する反応も出ています。配車アプリのドライバーの間では、ガソリン車からの切り替えコストをどう吸収するかが話題になっています。市は住民の乗り換え支援として、対象となる世帯に一人あたり最大2,000万ドン(1円≈167ドンの前提で約12万円)を上限に直接補助する方針を示しており、規制と支援をセットで進める姿勢を見せています。
次の旅で使いこなすコツ
日本から旧市街に泊まる旅行者なら、この1年は「バスで中心部に入り、歩きとレンタサイクルで回る」動きが一段とやりやすくなります。バイクタクシーに頼らなくても運賃ゼロで移動できるので、浮いた分をカフェや食事に回せます。週末にハノイ入りするなら、金〜日の夜19時以降に旧市街を歩くと、車やバイクが減った通りをゆっくり楽しめます。中長期では地下鉄(メトロ)の整備も進んでおり、空港アクセスを含めた足回りは今後さらに変わっていきます。滞在中は「今日は歩行者天国の時間帯か」を宿のスタッフに一言確認してから出かけると、動線を組みやすくなります。
まとめ
ハノイ中心部のバス無料化と低排出ゾーンの試行は、旅行者にとっては移動コストが下がり、旧市街を歩きやすい時間が増える前向きな変化です。次にハノイを訪れるなら、環状1号線内は無料バスで移動し、週末夜の歩行者時間帯を旅程に組み込むのがおすすめです。バイク規制の本格化は2028年以降なので、当面はレンタルバイクや配車アプリも従来どおり使えます。最新の運行状況や規制時間帯は、宿や現地の案内で出発前に確認しておきましょう。
参照元
- VnExpress International・Hanoi makes buses free for a year as it opens Vietnam’s first low-emission zone
- VietNamNet・Hanoi drops proposal for outright petrol motorbike ban around Hoan Kiem Lake
- Vietnam Plus・Hanoi approves plan on low-emission zone within Ring Road 1
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