紙の定期が消えたハノイ、無料バスICカードの申請が始まった

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ハノイ市が7月6日、路線バスを無料で使える優先旅客向けに、ICチップを埋め込んだ新しい電子バスカードの登録受付を始めました。申請はウェブサイト「vedientuonline.com.vn」から行い、最初のカード交付は7月26〜31日に予定されています。市内では7月1日に紙の月間定期券が廃止され、運賃の収受が一気にデジタルへ移りました。ハノイに住む日本人や出張者にとって、これは「誰が無料で乗れるのか」「紙を持たない今、どう乗るのか」を一度整理しておくべき節目です。市中心部の無料化の全体像はハノイ中心部のバスが1年無料になる制度を扱った記事でまとめましたが、今回はその足元で進む「カードの切り替え」に焦点を当てます。

目次

7月6日に始まった無料ICカードの登録

今回動いたのは、運賃を全額免除される「優先旅客」向け物理カードの刷新です。運営はハノイ市交通管理運営センター(キムマー通り1番地、ザンヴォー地区)。従来のチップなし無料カードを、本人認証と距離計算ができるICチップ入りに置き換えます。

背景には、6月25日に始まったハノイの公共交通デジタル化があります。スマートフォンの仮想カードを前提にした仕組みでは、端末を持たない高齢者が取り残されかねません。市はその層を主な対象に、手元で使える物理カードを別途用意した格好です。従来のチップなしカードは2026年12月31日まで併用でき、慌てて切り替える必要はない設計になっています。

対象は誰か、日本人在住者は使えるのか

無料でバスに乗れる資格と、そのために必要なものは、立場によって分かれます。60歳以上の高齢者と6歳未満の子どもは、ICチップ入りの身分証(căn cước)か仮想カードでそのまま乗車できます。傷病軍人・革命功労者・障がいのある人・低所得世帯の人などは、仮想カードを使うか、今回の物理ICカードを申請する流れです。

カードの種類 主な対象 使い方
仮想カード(スマホ) スマホを持つ対象者全般 アプリに登録して読み取り
身分証(căn cước)連携 60歳以上・6歳未満 チップ入り身分証をそのままタッチ
ICチップ入り物理カード 軍人・功労者・障がい者・低所得世帯・端末を持たない高齢者 申請して発行、カードでタッチ

ここで在住日本人が押さえたいのは、この無料カードがベトナムの市民身分証(căn cước công dân)と免除資格を前提にしている点です。外国人が優先旅客の無料カードを申請できる制度ではありません。ただし後述の通り、環状1号線内を走る区間の運賃無料は、国籍を問わず全乗客に適用されます。

申請から受け取りまでの実務

対象に当てはまる人、あるいは家族や勤務先のスタッフの手続きを手伝う場面を想定して、申請の流れを一覧にします。

項目 内容
登録開始 2026年7月6日〜
申請サイト vedientuonline.com.vn
必要書類 市民身分証の表裏の写真+本人の顔写真
初回カード交付 2026年7月26〜31日
以降の交付 有効な申請の受理から5〜10日
受け取り方法 センター窓口(キムマー通り1番地)で受領、または登録住所へ宅配(送料は業者規定)
旧カードの期限 チップなし無料カードは2026年12月31日まで有効

窓口受け取りと宅配のどちらも選べるのは、移動が難しい高齢者を想定した配慮です。宅配の送料は配送業者の規定によるとされ、具体的な金額は公表されていません。ホーチミンの無料バスが本人認証を必須化した動きと同じく、無料乗車にも本人確認をひも付ける流れがベトナム全体で進んでいます。

紙定期の廃止と「環状1号線内は無料」

優先旅客のカード刷新は、もっと大きな制度変更の一部です。ハノイは7月1日に紙の月間定期券を廃止し、運賃を電子チケットへ全面移行しました。紙の定期で乗っていた通勤層も、仮想カードや連携型の電子チケットへ切り替える必要が生じています。

同じ7月1日から、環状1号線(Vành đai 1)の内側を走る区間のバス運賃が、2027年6月30日まで無料になりました。対象は優先旅客に限らず全乗客で、観光バスは除外されます。路線全体ではなく、環状1号線内を実際に走った距離だけが無料になり、外側の区間は通常運賃です。距離は電子チケットが自動で計算します。

市がここまで踏み込むのは、環状1号線内で計画される低排出ゾーンとガソリン車規制の地ならしのためです。バイクからバスへ乗客を移す誘導策として運賃無料を先に打ち、車の締め付けをその後に効かせる段取りになっています。ゾーン規制の実像は週末に旧市街から車が消える低排出ゾーン試行の歩き方にまとめました。

在住者・出張者への示唆

この一連の変更が、ハノイで暮らし働く日本人に投げかける論点は3つあります。

第一に、紙を前提にした移動の見直しです。紙の月間定期が消えた以上、バス通勤を続けるなら電子チケットへの移行は避けられません。仮想カードはスマホのアプリ登録が前提で、SIMや本人確認の状況によっては手間取ることもあります。日常でバスを使う人は、定期の残高や切り替え手続きを早めに確認しておくと安全です。

第二に、「無料」の線引きを誤解しないことです。全員が無料になるのは環状1号線内を走った距離に限られ、郊外へ抜ける区間は課金されます。優先旅客の全額免除とは別の仕組みで、外国人が受けられるのは基本的に前者の恩恵です。「ハノイのバスが全部タダになった」という要約が出回りがちですが、実際の適用範囲は距離と路線の種類で細かく分かれます。

第三に、高齢の家族・従業員への実務サポートです。ベトナム人の親族を帯同している家庭や、高齢スタッフを雇う事業者にとって、今回の無料カードは家計や福利の実利につながります。申請サイトはベトナム語で、身分証の撮影と顔写真のアップロードが必要です。デジタルに不慣れな本人に代わり、周囲が7月26日以降の交付スケジュールを押さえて手伝えると、切り替えは滞りなく進みます。

制度の基本情報

項目 内容
制度名 ハノイ 優先旅客向け 無料チップICバスカード
運営 ハノイ市交通管理運営センター(キムマー通り1番地、ザンヴォー地区)
登録開始 2026年7月6日
初回カード交付 2026年7月26〜31日
環状1号線内の運賃無料 2026年7月1日〜2027年6月30日(観光バス除く・全乗客対象)
紙定期の廃止 2026年7月1日
旧カードの有効期限 2026年12月31日

まとめ

ハノイのバスは、この夏に「紙からデジタルへ」「有料から部分無料へ」という二つの転換を同時に迎えました。優先旅客の無料ICカードはその象徴で、対象は高齢者や功労者などに限られますが、環状1号線内の運賃無料は在住者・旅行者を含む全員に効きます。次に確かめておきたいのは3点です。バスを日常で使うなら、紙定期に代わる電子チケットを7月中に用意すること。無料になる区間が環状1号線内の走行距離に限られる点を、実際の乗車で確認すること。そして高齢の家族がいるなら、7月26日以降の交付に合わせて申請を手伝うことです。制度は2027年6月まで走るので、一度整理しておけば十分に間に合います。

参照元

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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