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ベトナム北部の絶景ルートとして世界的に人気を集める「ハーザン・ループ」に、2026年4月から新たな安全規制が施行された。急峻な山道で事故が増加していることを受け、ハーザン省当局が速度制限の厳格化、休憩ゾーンの新設、ヘルメット着用の取り締まり強化など複数の対策を打ち出している。
ハーザン省交通局が発表した新規制は、旅行者の安全確保と地域の持続可能な観光を両立させることを目的としている。
全長約350kmのループ上に、新たに8カ所の指定休憩ゾーンが設けられた。各ゾーンにはトイレ・飲料水・簡易医療キットが備わり、携帯電話の電波が確保されている。ドンバン中心部には24時間対応の救急センターが新設され、事故発生時のヘリ搬送体制も整備された。
ベトナムでは国際運転免許証が法的には認められていないため、日本人旅行者の多くは現地ツアー会社を通じてドライバー付きバイクを手配している。今回の規制強化を受け、ハーザン省に登録されたツアー会社のみが公式ガイドとして認定される仕組みが導入された。無登録業者を利用した場合、旅行者側にも罰金が科される可能性がある。
ハーザン省で文化保護活動を続ける日本人・安浦靖さんの記事でも紹介したように、この地域は観光だけでなく少数民族の文化が色濃く残る場所だ。規制強化は「観光公害」を防ぎ、地域の生活環境を守る側面もある。
2026年Q1のベトナムへの外国人観光客数は676万人を突破し過去最高を記録。日本人旅行者も前年同期比39%増と急伸している。観光客の急増に伴い、ベトナム政府は安全対策を観光戦略の柱に据え始めた。ハーザンの規制はその象徴的な一歩だ。
ハーザン・ループは「東南アジア最後の秘境ルート」として日本のSNSでも話題が広がり続けている。規制強化は一見ハードルが上がったように映るが、安全な旅のインフラが整うことで、体力や経験に不安のある旅行者にも門戸が開かれる。4月末の連休にハーザンを計画している方は、最新情報を必ずチェックしてほしい。