ベトナム中部の観光都市ダナンに、旅の土産を「買う」のではなく「自分の手でつくる」ことができる新名所が生まれた。2026年6月16日、ダナン市バナ地区でソフトオープンしたのが、陶磁器メーカー DHC Ceramics が手がける体験型の陶芸村だ。来訪者は職人がろくろを回す作業を間近で見学し、自分でも土に触れて器を成形できる。さらに霊応寺(リンウン寺)や五行山(マーブルマウンテン)、バナヒルズといったダナンの名所をかたどったミニチュア陶器を土産として選べる。ビーチとバナヒルズの空中ケーブルカーで知られるこの街に、雨の日でも、子ども連れでも立ち寄れる「今すぐ行ける」屋内型スポットが加わった意味は、日本人旅行者にとって小さくない。
起点となったニュースの要旨
報道によると、この陶芸村はダナン市バナ地区にDHC Ceramicsが整備したもので、2026年6月16日にソフトオープンした。第1期にはおよそ1000億ドン(約380万米ドル)が投じられ、生産設備、展示エリア、体験ゾーン、関連インフラが整えられた。単なる工房ではなく、陶芸の歴史を学び、製造工程を見学し、職人と言葉を交わし、来訪者自身が成形に参加できる「開かれた文化空間」として位置づけられている点が特徴だ。
目玉のひとつが、ダナンを代表する観光地をかたどったミニチュア陶器の土産だ。海を見下ろす巨大な観音像で有名な霊応寺、洞窟と寺院が点在する五行山、山頂のテーマパークとして名高いバナヒルズ、そしてヌイタンタイ温泉公園が陶器のかたちで再現される。第2期にはおよそ1500億ドンの追加投資が計画され、観光・教育・文化体験の機能をさらに広げる構想だという。
なぜ今、何が新しいのか
ベトナム中部で「陶芸の里」といえば、これまではホイアンのタインハー陶器村が定番だった。400年以上の歴史を持つ職人町で、素朴な手仕事が旅行者を引き寄せてきた。今回ダナンに登場した陶芸村が異なるのは、最初から「観光体験施設」として設計されている点にある。歴史ある集落を訪ねて回るのではなく、見学・体験・購入が一つの動線にまとまっている。雨季のあるベトナム中部で、天候に左右されにくい屋内型の体験が用意された意味は大きい。
立地も見逃せない。バナ地区は、ダナン観光の象徴である「ゴールデンブリッジ(神の手の橋)」を擁するバナヒルズの足元にあたるエリアだ。山上のテーマパークと市街地のビーチという二大目的地のあいだに、もう一つの寄り道スポットが置かれた格好になる。土産を買うだけなら市内の店でも済むが、自分で成形した器を持ち帰れる場所は、旅程に組み込む理由そのものになる。
検証できた数字
原典で裏取りできた数値のみを以下にまとめる。営業時間、入場料、職人の人数、敷地面積は報道に記載がないため、確認でき次第の追記としたい。為替は1円が約170ドンを目安に概算した。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開業日 | 2026年6月16日(ソフトオープン) |
| 場所 | ダナン市バナ地区 |
| 運営 | DHC Ceramics |
| 第1期投資 | 約1000億ドン(約380万米ドル/円換算で約5.9億円) |
| 第2期投資(予定) | 約1500億ドン(円換算で約8.8億円) |
| 体験内容 | 工程見学・職人との交流・成形体験・土産購入 |
| 土産のモチーフ | 霊応寺/五行山/バナヒルズ/ヌイタンタイ温泉公園 |
現地・業界の受け止め
地元バナ地区の党委書記フアン・ヴァン・トン氏は、この施設について「文化の保存と観光振興を結びつける実践的なモデルだ」と位置づけた。観光収入を生みながら、同時に陶芸という手仕事の文化を残していく——その両立をねらった事業だという見方だ。
DHC Ceramics の責任者レ・ティ・ビック・フオン氏は、土産の一つひとつに込めた意図をこう語っている。「それぞれの土産が、この街の物語を伝えるものであってほしい。旅の思い出を形に残す手助けになればと考えています。長い目で見れば、陶芸をもっと地域に、とりわけ若い世代に近づけたい」。観光客向けの売店にとどめず、地元の次世代に手仕事を継いでいく場にしたいという展望がうかがえる。
こうした「文化保存×観光」の発想は、ベトナム各地で広がりつつある潮流とも重なる。ハイズオン省では約600年続く木版印刷を若手が蘇らせ、各地の伝統工芸が体験コンテンツとして再評価されている。陶芸村の登場は、その流れがダナンの主要観光ルートのど真ん中に届いたことを意味する。
日本人旅行者にとっての示唆
ここが、この記事でいちばん伝えたい点だ。日本人のベトナム土産といえば、コーヒー、ドライフルーツ、ノンラー(ベトナム笠)、雑貨が定番で、いずれも「店で選んで買う」ものだった。陶芸村が変えるのは、土産を「自分でつくって持ち帰る」体験に置き換えられることにある。自分の指で成形した器は、世界に一つしかない。同じ五行山のミニチュアでも、既製品を買うのと、土の感触を覚えながら自分で仕上げるのとでは、帰国後に手に取ったときの記憶の濃さがまるで違う。
子ども連れの家族旅行とも相性がいい。ビーチやテーマパークは天候に左右されるが、屋内の成形体験なら雨でも予定が崩れない。手を動かす時間そのものがアクティビティになり、待ち時間が苦になりにくい。年配の同行者にとっても、座って職人の手元を眺める見学は無理がない。世代を問わず楽しめる懐の深さが、この施設の強みになりそうだ。
もう一つ、贈り物としての説得力も増す。日本に持ち帰った器を渡すとき、「ダナンで自分で作った」という一言が添えられる。土産話と現物が一致する体験型の買い物は、SNSで旅を発信する層とも相性がよく、ノンラーの絵付け体験などと並んで「映える」記録になりやすい。
業界・市場への波及
陶芸村の登場は、ダナンの観光が「見る・食べる」から「つくる・参加する」へと軸足を広げる動きの一例といえる。同じダナンでは70以上の屋台が練り歩くビーチのフードフェスが話題を呼ぶなど、体験そのものを売る企画が増えている。ろくろ体験はその文脈に陶芸という新しいジャンルを加えるものだ。
第2期で教育・文化体験の機能を拡張する計画は、修学旅行や企業研修、ワークショップ需要を見据えた布石とも読める。土産物の製造から体験提供、観光集客までを一つの拠点で回す垂直統合型のモデルは、地域の手仕事をどう収益化し継承するかという、日本の地方産業にも通じる課題への一つの回答になりうる。京都の食や農の現場に身を置く立場から見ても、生産・体験・販売を分断せず束ねる発想には学べる点が多い。
実用情報
現時点で原典に明記されている情報を基にまとめる。営業時間・入場料・予約方法は今後の公式発表で確認したい。ソフトオープン直後のため、訪問前に最新の運営状況を調べておくと安心だ。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 場所 | ダナン市バナ地区(バナヒルズ方面) |
| 行き方 | ダナン市街中心部から車・タクシー。バナヒルズ観光と組み合わせやすい立地 |
| 所要の目安 | 見学+成形体験で半日程度を想定(乾燥・仕上げ条件は要確認) |
| 費用 | 入場料・体験料は原典に記載なし。現地で要確認 |
| 向いている人 | 家族連れ/雨天の予備プラン/手づくり土産を求める人 |
持ち帰りで一点だけ注意したいのが、自作した器の扱いだ。成形後の乾燥・焼成にかかる時間や受け取り方法は、その日に持ち帰れるのか後日発送なのかで旅程が変わる。割れ物のため機内持ち込み時の梱包も含め、現地スタッフに確認しておくと帰国後に困らない。
まとめ
ダナンの陶芸村は、「土産は買うもの」という前提を「土産は自分でつくれるもの」に書き換える、今すぐ行ける新名所だ。バナヒルズやビーチと組み合わせれば、雨の日の予備プランにも、家族全員が楽しめる体験にもなる。次にダナンを訪れるなら、旅程に半日を空けて、五行山やバナヒルズのミニチュアを自分の手で仕上げてみてほしい。世界に一つの器が、その旅をいちばん濃く記憶に残す土産になるはずだ。最新の営業時間や体験料は、訪問前に公式情報で確認することをおすすめする。
よくある質問
ダナンの陶芸村はいつ、どこで開業しましたか?
2026年6月16日に、ダナン市バナ地区でソフトオープンしました。陶磁器メーカーのDHC Ceramicsが運営しています。バナヒルズ方面に位置し、ダナン観光の動線に組み込みやすい立地です。
自分で器をつくって持ち帰れますか?
はい。職人の作業を見学するだけでなく、来訪者自身がろくろを回して成形に参加できます。ただし乾燥・焼成にかかる時間や受け取り方法(当日持ち帰りか後日発送か)は原典に明記がないため、現地で確認することをおすすめします。
どんな土産が買えますか?
霊応寺、五行山(マーブルマウンテン)、バナヒルズ、ヌイタンタイ温泉公園といったダナンの名所をかたどったミニチュア陶器が用意されています。その街ならではの土産として、旅の思い出を形に残せる点が特徴です。
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