ゴイクオンの皮が翡翠色の抹茶菓子に、中国SNSでバズる理由

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ベトナム土産の定番、あの薄い円盤のライスペーパー「バインチャン」が、いま中国のSNSで抹茶スイーツに姿を変えて拡散している。生春巻き(ゴイクオン)を巻くための地味な脇役が、抹茶パウダーと牛乳をまとって翡翠色に焼き上がり、小紅書(RED)とDouyin(中国版TikTok)で「映える」と話題になった。同じ皮を細切りにして和える屋台おやつ「バインチャントロン」など、水に浸して食べるZ世代発のバインチャン屋台グルメが現地で流行してきた流れの延長線上に、この抹茶版は位置する。旅行者にとっては、スーパーで数百円のライスペーパーが「持ち帰って自分でも作れる映えスイーツの素」に変わったということだ。何が起き、現地でどう楽しめるかを整理する。

目次

牛乳で溶いた抹茶に浸して焼くだけ、という手軽さ

拡散しているレシピはひどく単純だ。抹茶パウダーを牛乳で溶いてとろりとしたペーストを作り、乾いたバインチャンをそこにくぐらせる。しっとりした皮を数枚重ねて折りたたみ、ノンフライヤー(エアフライヤー)で数分加熱すると完成する。砂糖はお好みで加える。

焼き上がりは外側がカリッ、内側がもっちりの二層食感になり、色は深い翡翠色。バインチャン特有の、天日干しの網目模様がそのまま抹茶グリーンに染まるため、断面も表面も写真映えする。米の皮の淡い香ばしさに抹茶のほろ苦さが乗り、既存のどの菓子とも違う口当たりになる。特別な型もオーブンも要らず、家庭のエアフライヤーとスーパーの材料で完結するのが、爆発的にまねされた最大の理由だ。

そもそもバインチャンは「化けやすい」食材だった

この現象は突然変異ではない。バインチャンはベトナムで最も融通の利く食材のひとつで、地域や食べ方で名前も姿も変わる。南部では「バインチャン」、中部では鍋用に水で戻す「バインチャンニュン」、北部の揚げ春巻き用は「バインダネム」と呼び分けられる。プレーンな薄手のほか、黒ゴマ入り、唐辛子を練り込んだオレンジ色、ターメリックの黄色など、もともと色物のバリエーションが豊富だった。

調理法も幅広い。細切りにして干しエビやピーナッツ、ライム、チリで和える「バインチャントロン」、ダラット発祥で卵やネギをのせて網焼きにする「バインチャンヌン(ダラットピザ)」など、屋台では甘くも辛くも展開されてきた。抹茶版は、この「一枚の皮に何をまとわせるか」という遊びに、日本由来の抹茶という国際的な素材を持ち込んだ形になる。ベースが安価で無味に近いからこそ、味も色も自由に乗せられる。土台としての強さが、今回の変身を支えている。

数字で見る、抹茶版が刺さった土壌

抹茶菓子がベトナム経由でバズったのは偶然ではない。ベトナム国内では2024年末から抹茶ラテが火を付け、飲料チェーンが軒並み緑一色のメニューを投入している。実際にホーチミンでは3〜4人でシェアする2リットルの巨大抹茶ラテに行列ができるほど、抹茶は「シェアして撮る」対象になっていた。主要チェーンの抹茶ドリンク価格を並べると、若者が日常的に手を伸ばせる価格帯にあることが分かる。

チェーン/指標 内容 価格(1万VND≒60円)
Katinat 抹茶ラテ/抹茶豆花 69,000/59,000VND(約410/350円)
The Coffee House 抹茶系9種を投入 59,000〜69,000VND(約350〜410円)
Cheese Coffee 抹茶コレクション「Zentle matcha」4種 55,000〜95,000VND(約330〜570円)
市場規模 ベトナムEC上の抹茶製品売上(2024年1月〜2025年6月の18カ月) 2,264億VND(約13.6億円)
普及率 抹茶を商品に採用したベトナムのF&B企業(2024年) 29.6%

18カ月で約13.6億円という数字は、抹茶がベトナムで一過性の流行を超えて定着しつつあることを示す。緑の粉が飲料だけでなくケーキ、麺、そしてライスペーパーへと横展開していく地ならしは、すでにできていた。

ネットの反応は「作ってみた」と「ベトナム人には見せるな」

拡散の温度感は、投稿への反応によく表れている。

  • 小紅書・Douyinでは「翡翠色が綺麗」「外カリ中もちで無限に食べられる」と、見た目と食感の両方をほめる投稿が連鎖し、まねした「作ってみた」動画が量産された。
  • 抹茶の緑はスイーツ界で最も強い色のひとつとされ、バインチャンの網目模様と重なることで「おいしそうより先に、まず撮りたくなる」という評価が目立つ。
  • 一方で「この食べ方をベトナム人が見たら泣く」「うちの国のライスペーパーが魔改造されている」といった、当のベトナム側からの苦笑まじりのコメントも拡散し、話題を二次的に押し上げた。

本来は巻く・和える・網焼きにする素材が、牛乳と抹茶で洋菓子寄りに振られたギャップ自体が、コンテンツとして機能している。

旅行者はこのトレンドをどう「持ち帰る」か

このバズは、ベトナムを旅する人にとって二つの実利につながる。

第一に、ばらまき土産の主役をアップデートできる点だ。バインチャンはタイニン省チャンバン産が名産として知られ、現地のスーパーや市場で1袋数十円から手に入る。かさばらず日本にも持ち込みやすい定番土産だが、これまでは「生春巻き用」としてしか説明できなかった。抹茶版のレシピを一枚のメモにして添えれば、渡した相手が自宅のエアフライヤーで映えスイーツを再現できる。同じ袋が「体験ごと配れる土産」に変わる。日本でもベトナム食材が#snackvietnamでスーツケースを埋めるほど拡散している流れに、自作系の一手として乗せやすい。

第二に、現地での食べ歩きの解像度が上がる点だ。バインチャンヌンやバインチャントロンを屋台で食べるとき、「この一枚が中国では抹茶菓子になっている」という背景を知っていると、同じ皮の別バージョンとして味わいを比べられる。ホーチミンやダラットの屋台では、店ごとに具もタレも違う。抹茶ラテのチェーン巡りと、屋台のバインチャン食べ比べを一日の中で組み合わせれば、「緑の粉」と「米の皮」という二つのベトナム発トレンドを同時に体験できる。

現地・自宅で楽しむための基本情報

項目 内容
食材名 バインチャン(ライスペーパー)※プレーンな薄手タイプが抹茶版に向く
名産地 タイニン省チャンバン(Trảng Bàng)
購入場所 現地スーパー・市場(1袋数十円〜)/日本では輸入食材店・一部量販店
抹茶版の作り方 抹茶を牛乳で溶く→皮を浸す→数枚重ねて折る→エアフライヤーで数分
屋台で試したい親戚メニュー バインチャンヌン(ダラットピザ)/バインチャントロン(和え)
相性のよいセット チェーンの抹茶ラテ(約350〜570円)と食べ比べ

まとめ——皮一枚から広がる旅の楽しみ

ゴイクオンの脇役だったバインチャンが、抹茶をまとって国境を越えてバズった。この動きが面白いのは、高価な機材も専門店も要らず、旅行者が「材料を買って帰るだけ」で自分の手に持ち帰れるところにある。次にベトナムを訪れるなら、市場でプレーンなバインチャンを一袋確保し、屋台で焼きたてのバインチャンヌンを頬張り、帰国後にエアフライヤーで抹茶版を試す——この三段構えを狙ってみてほしい。緑の粉と米の皮という二つのブームが交差した瞬間を、味と写真の両方で持ち帰れるはずだ。

参照元

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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