ホーチミンのネット店の22時閉店、10月から市全域で同じ線に

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ホーチミン市の決定73/2026/QĐ-UBNDが2026年10月1日に施行される。有料でネット接続を売る店は毎日8時から22時まで、という内容だが、10月1日に時間帯が変わるわけではない。旧ホーチミン市では2015年の決定46/2015/QĐ-UBNDがすでに同じ8時〜22時を定めていた。動くのは適用範囲のほうで、2025年7月の行政区再編で市に入った旧ビンズオン省・旧バリア=ブンタウ省の区域を含め、市の全域が1本の規定にまとまる。対象は、インターネット代理店と公衆インターネット拠点のうち電子ゲームサービスを提供しない事業所だ。ホテルや飲食店、空港、バスターミナル、カフェのように、ゲームを置かず料金も取らずにWi-Fiを出している場所は、その店自身の営業時間に従えばよい、という線引きが同時に置かれた。在住者にも出張者にも効いてくるのは、深夜に街でパソコンを借りるという選択肢が市内のどこでも使えない、という点のほうだ。そしてこれは、ゲームを遊ばせる店に適用される規制とも、無料Wi-Fiを出す施設の扱いとも別物になっている。

目次

10月1日以降、ホーチミンで22時以降に開けられない店はどこか

決定73/2026/QĐ-UBNDの中身は短い。市内の「インターネット代理店(đại lý Internet)」と「公衆インターネット拠点(điểm truy nhập Internet công cộng)」のうち電子ゲームサービスを提供しないものは、毎日8時から22時までの営業が認められる。対象となる事業所は開店時刻と閉店時刻を店頭に掲示しなければならない。実施は科学技術局(Sở Khoa học và Công nghệ)が主導し、関係各局と連携する。施行日は10月1日。ここまではホーチミン市報道センターが9月28日付の記者向けまとめで示した内容と一致している。なぜいま出たのかは、市科学技術局が公開した草案の説明に書かれている。行政単位が統合されると、統合された側の法令はもとの区域の中でだけ効力が残る。ホーチミン市には旧ホーチミン市の決定46/2015、旧ビンズオン省の決定02/2019、旧バリア=ブンタウ省の決定25/2014と25/2015が並んで残っていた。いずれも8時〜22時を定めており、今回の決定73/2026はこの4本を市全域の1本にまとめたものになる。

ベトナムの法令用語では、日本語で言う「ネットカフェ」が3つの別の箱に分かれている。ISPと代理店契約を結び、有料でネット接続を提供するのがインターネット代理店。ホテル・飲食店・空港・港・バスターミナル・カフェなどの公共の場に置かれたアクセスポイントが公衆インターネット拠点で、政令147/2024/NĐ-CP第5条第3項では、料金を取らなければ代理店登録は不要、料金を取るなら代理店として扱われる。そして、客にオンラインゲームを遊ばせる店は「公衆向け電子ゲームサービス提供拠点(điểm cung cấp dịch vụ trò chơi điện tử công cộng)」という3つめの箱に入り、今回の決定の対象外になっている。対象外だから自由なのではなく、こちらは全国一律の規制がすでにかかっているという意味だ。

ゲーム店とネット代理店で、根拠になる法令が違う

ベトナムの街で「tiệm net」「quán net」と呼ばれる店は、ゲームを遊ばせる拠点であることが多い。ただしこれは口語の呼び名で、法律上の区分を決める言葉ではない。国営ナンダン紙などが伝えた政令147/2024/NĐ-CP第68条第8項は、公衆向け電子ゲームサービス提供拠点が22時から翌朝8時まで営業してはならないと定めており、この政令自体は2024年12月25日に施行されている。ゲームを置く店の深夜営業は、全国一律の政令で閉じられている。線そのものも新しくない。2020年の政令15/2020第105条第3項には、8時から22時の外で営業したゲーム提供拠点に500万〜1,000万ドンの過料を科す規定がすでに置かれていた。

ゲームを置かず接続だけを売る店の側は、全国一律ではなく地方に委ねられている。政令147/2024/NĐ-CP第5条第4項が、このカテゴリーの営業時間について「省・中央直轄市の人民委員会が措置を定める」としているためだ。ホーチミン市の決定73/2026は、この委任に沿って市全域の時間を定め直したものになる。同じ委任を使った決定は他省でも出ている。ラムドン省は9月11日公布の決定69/2026/QĐ-UBNDで8時〜22時に限った。施行日は法令データベースや報道が9月20日、同省公報の文書属性が9月22日としており、表記が割れている。ニンビン省は3月10日公布の決定31/2026/QĐ-UBNDで、3月25日から22時〜翌朝7時の営業を禁じている。開ける時刻は省によって違うが、夜10時で閉めるという線は共通する。ホーチミンが特異な締め付けをしたのではなく、順番に同じ線へ寄ってきている流れの中にある。

過料が上がったのは2026年7月だ。行政制裁を定める政令174/2026/NĐ-CPが7月1日に施行され、ゲーム提供拠点が8時から22時の外で営業した場合は第100条第3項で1,000万〜1,500万ドンの過料、インターネット代理店や公衆インターネット拠点が定められた営業時間を守らなかった場合は第36条第3項で500万〜1,000万ドンの過料が並んだ。円換算は1円が約165ドン(2026年9月28日時点)として、それぞれ約6万〜9万円、約3万〜6万円にあたる。第100条第4項は営業停止の付加処分も定めているが、対象は第3項のa・b・e・gで、営業時間違反にあたるđは含まれていない。時間を破っただけで店が止まるわけではない。なお政令174/2026の金額は組織に対するもので、個人事業主が同じ違反をした場合は2分の1になる。

対象と例外、罰金額を1つの表で確認する

自分が行く場所がどの箱に入るのかで結論が変わる。公表されている範囲を整理すると次のようになる。

場所の種類 10月1日以降の営業可能時間 根拠と過料
インターネット代理店・有料の公衆インターネット拠点(ゲームなし) 毎日8時〜22時 決定73/2026/QĐ-UBND。時間違反は政令174/2026/NĐ-CP第36条第3項で500万〜1,000万ドン
ゲームを遊ばせる公衆向け拠点(tiệm net) 8時〜22時(22時〜翌8時は営業不可) 政令147/2024/NĐ-CP第68条第8項。時間違反は政令174/2026/NĐ-CP第100条第3項で1,000万〜1,500万ドン
ゲームを置かず料金も取らずにWi-Fiを出すホテル・飲食店・カフェ・空港・港・バスターミナル その店・施設の営業時間 決定73/2026/QĐ-UBND第3条第2項。施設の開店・閉店時間に従う
自宅の固定回線、自分の携帯回線 制限なし 今回の決定の対象ではない

掲示義務も実務的に効く。対象の店は開店・閉店時刻を店頭に出すことになるため、10月以降は看板を見れば22時で閉まる店かどうかが判別しやすくなる。

22時ちょうどに自動ログアウト、店主と利用者はこう動いた

7月にゲーム店側で先に起きたことを見ておくと、10月以降の光景は想像しやすい。タインニエン紙は7月、市内ビンタイン坊のグエンザーチー通りの店で21時58分に店員が「2分で閉めます」と回り、22時に会計が自動ログアウトして画面が一斉に暗くなる場面を報じた。店主のドー・バン・ヒエンさん(37)は、政令174の第100条第3項で1,000万〜1,500万ドンの過料がありうるため厳格に守ると同紙に語り、延長を頼まれないよう22時ちょうどの自動ログアウトを組み込んだと説明している。

売上への打撃も同紙の取材に出ている。リントゥルン坊で店を営むハー・ティ・グエット・ガンさん(28)は、以前は24時間営業で「22時からが一番混む時間だった。22時から1時はいつも書き入れ時で、週末は満席で待ちが出た」と述べ、7月1日以降は8時〜22時に切り替えたと話す。夜の時間料金がほぼ消え、飲食の売上も連動して落ちたという。対応として週末の昼間に大会を組み、午前と午後に割引を入れて客を早い時間に寄せている。タインタイ通りで店を持つブー・チュン・ヒエウさん(31)は夜間の比重が大きかったと認めつつ、従業員が徹夜しなくてよくなったことは良い変化だと同紙に答えている。

利用者側の声も一方向ではない。同紙が取材した22歳のレー・ジア・フイさんは、行きつけの店が22時に閉まるので選択肢がなくなったと言いながら、以前は2時、3時まで遊んで翌日に響いていたのが早く寝られるようになったと話す。心理修士のグエン・ティ・ミー・ニューさんは、22時という固定の区切りができることで生活リズムを組み直す機会になる層がいると同紙にコメントしている。ただし、この取材はゲーム店の話である。10月1日から市全域で時間を揃える業態は、印刷やスキャン、書類作成の需要を抱えていて売上の作り方が違う。同じ順番をたどるとは限らない。

深夜にネットが必要な人は、どこで繋げばいいのか

実務の答えは、店を探すのをやめて回線を自分で持つ方向に寄る。ベトナムはもともと携帯中心の国で、科学技術省が公表した2026年8月の通信統計では、2026年7月時点のモバイルブロードバンド契約が1億3,170万、固定ブロードバンド契約が2,479万となっている。契約数は人数ではないが、街のパソコンを借りる形の利用がもともと主流ではないことは読み取れる。

短期の出張者や旅行者にとって現実的な一手はモバイルデータだ。ベトテル、ビナフォン、モビフォンの3社がプランを出しており、ベトテルが9月に売り出した新規eSIM向けのプランは1日10GBで30日間125,000ドン(約760円)という水準がHTVなど複数の媒体で報じられている。アプリからQRコードで開通できる方式で、詳細はベトテルのeSIMをアプリで買う手順をまとめた記事にまとめている。テザリングを使えば、ホテルの部屋でも深夜に作業ができる。

在住者で作業量が多い人は自宅の固定回線を引くのが素直だ。VNPT、ベトテル、FPTテレコムの3社が全国で提供している。料金プランは頻繁に変わるため、契約前に各社の公式サイトで現行の料金を確認したい。ここで押さえておきたいのは金額よりも手続きで、契約には身分証明書と住居に関する書類が必要になるため、数日の滞在で引けるものではない。賃貸物件では回線が含まれている場合があるので、入居前に確認しておくと二重契約を避けられる。

ゲームを置かず、接続そのものに課金もしない無料Wi-Fiの場所は今回の8時〜22時に縛られず、その施設の営業時間で動く。24時間営業のカフェ、ホテルのロビーとビジネスセンター、空港やバスターミナルの待合は、この扱いに入る。ただし「接続そのものに課金する形」に踏み込むと代理店側の箱に寄るため、有料のコワーキングスペースを深夜に使う予定があるなら、24時間入館できるか、夜間の運用をどうするかを事前に店へ聞いておくのが確実だ。市の決定は場所の種類で線を引いており、利用者の国籍や滞在資格では区別していない。

店で借りる需要はどこへ移っているのか

旧ホーチミン市の店にとって10月1日は区切りにならない。時間はもともと8時〜22時だったからだ。動くのは旧ビンズオン省や旧バリア=ブンタウ省の区域で、こちらも2014年から2019年にかけて同じ時間割が入っていたため、実務の変化は大きくない。それでも、街でパソコンを借りる需要そのものは細っている。10月1日から市全域で同じ規定に入る業態は、印刷やスキャン、書類作成、オンライン申請の代行といった作業需要を抱えている店が多い。行政手続きのオンライン化が進むほど、この種の作業は昼間に集約されていく。在住外国人の身分証アプリについてはVNeIDが在住外国人にも開かれた変更点を別記事で追っているが、こうしたアプリ前提の手続きが増えると、店で借りるパソコンより自分の端末で済む場面が増える。

深夜の需要の受け皿は、街の店ではなくモバイルデータと固定回線になっている。ベトナムのモバイルブロードバンド契約が1億3,170万に達していることを考えれば、深夜に店を探す動機はもともと薄い。航空会社も機内の接続を無料化する方向に動いており、ベトジェットが120機にStarlinkを搭載する計画のように、移動中に繋がる前提が広がっている。「街で借りる」から「自分で持って歩く」への置き換えが、規制と商品の両側から同時に進む形だ。

実際に変わるのは掲示と検査の運用面だ。開閉時間の掲示が義務になり、科学技術局が主導して各地の行政と検査に入る建て付けになったため、10月以降は看板と実際の営業が合っているかが確認の対象になる。夜遅くまで開いている店を見かけても、それが料金を取らないカフェなのか、対象の代理店なのかは外から判断しにくい。利用者側は店の掲示を見て判断するのが早い。

到着初日にネットを確保する順番

ホーチミンに夜着の便で入る出張者が詰まらないための順番を書いておく。

  • 日本を出る前にeSIMを入れるか、現地で買うかを決める。日本で買う旅行者向けeSIMは開通の手間が少ない一方、30日単位で見ると現地キャリアのプランのほうが容量あたりの単価は下がりやすい。長期なら現地、数日なら日本発でも差は小さい。
  • 端末がeSIMに対応しているか、SIMロックが外れているかを出発前に確認する。ここが合っていないと空港で詰む。
  • 空港のWi-Fiは料金を取らない限り時間規制の対象外で、深夜の到着でも営業時間の制約は受けない。到着ロビーで開通手続きを済ませる前提で動ける。
  • 宿は深夜の接続が確実な場所を選ぶ。ホテルのWi-Fiは時間規制の対象外だが、決定が定めるのは営業できる時間であって、設備が動いていることまでは保証しない。予約時に24時間使えるかを確認しておく。
  • 長く住むなら固定回線を検討する。契約には身分証と住居の書類が必要になるので、物件を決めてから各社の公式サイトで現行プランを確認する。
  • 深夜に外で作業する予定があるなら、24時間営業のカフェかホテルのビジネスセンターを先に押さえる。有料のコワーキングは夜間の運用を店に直接確認する。

10月1日までに確かめておくこと

旧ホーチミン市の区域で暮らしている人は、やることはほとんどない。時間割はいままでと同じだからだ。確認しておきたいのは旧ビンズオン省・旧バリア=ブンタウ省の区域で、10月1日以降は開閉時刻の掲示が義務になるので、行きつけの店の店頭を見れば対象かどうか判断できる。そのうえで、深夜に作業する場所の候補を2つ持っておくと詰まらない。ゲームを置かず接続にも課金しない施設は時間規制の外にあるため、ホテルのロビーと24時間営業のカフェを押さえておけば、22時で画面が消える場面はほぼ避けられる。自分の深夜の接続が店に依存しているなら、eSIMか固定回線のどちらかに移しておく。

決定73/2026そのものに、青少年対策という説明は付いていない。市科学技術局が挙げているのは政令147の委任への対応と、統合後の規定の一本化である。一方でホーチミン市は7月末に文化スポーツ局を通じてオンラインゲーム管理の強化を各地に指示しており、18歳未満の利用時間を1つのゲームにつき1日60分までとする技術的措置や、18禁のゲームを12禁に下げさせない運用を求めている。こちらはゲーム店に向けた別の動きだ。タインニエン紙に登場した弁護士ヴォー・ミン・トゥー氏は、政令174の狙いは健全な娯楽環境の確保と徹夜利用の抑制にあると説明している。いずれにせよ、接続手段そのものが絶たれるわけではない。変わるのは、夜10時で閉まる店がどこまでかという線が、市の全域で同じになるという一点だ。

参照元

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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