ハイヴァン峠に蒸気機関車の煙が戻った、乗れる日はまだ決まっていない

当ページのリンクには広告が含まれています。
ハイヴァン峠の海沿いを技術試運転する2両の蒸気機関車と鉄道技術員

2026年10月4日、フエとダナンを隔てるハイヴァン峠の線路に蒸気機関車の煙が上がった。走ったのは1960年代から使われてきたフランス式ミカド型の2両で、ベトナム国鉄(VNR)フエ線区運営支社が貨車と客車をつないで技術試運転を行った。目的は橋梁の荷重と車両状態、運行要件を満たせるかの確認で、観光客を乗せる営業運転ではない。フエ〜ダナンは日本人旅行者が中部を回るときにほぼ必ず通る区間なので、「いつから蒸気機関車に乗れるのか」が気になるところだが、そこはまだ決まっていない。決まっていない部分と、今日すでに乗れる列車を分けて整理しておく。

ハイヴァン峠の海沿いを技術試運転する2両の蒸気機関車と鉄道技術員
目次

10月4日に峠へ上った2両は、何を測るために走ったのか

トゥオイチェー紙が伝えた内容によると、走行は技術検査であり、運行評価報告書に必要なデータを集めるために実施された。フエ線区運営支社の担当者は、これが技術検査であって営業運転の開始を意味しないと説明している。測った対象は橋梁の荷重耐性、車両のコンディション、技術的な運行要件への適合で、いずれも報告書にまとめて上位の判断に回す材料になる。

商業運行に進むかどうかは、専門委員会とVNRの最終結論を待つ段階だと報じられている。つまり現時点で確定しているのは「2両が峠を越えられた」という一点で、運行開始日、便数、料金、編成はどれも公表されていない。試運転の様子が写真で出回ると観光列車の就航が近いと読まれやすいが、今回の走行はその前段にあたる。

1960年代の機関車が2026年まで動けたのはなぜか

この2両は1960年代から運用されてきたフランス式ミカド型で、ベトナムに残る蒸気機関車のうち稼働能力を保った最後の車両とされ、技術者が歴史的価値を保ちながら整備を進めてきた。蒸気機関車の運行そのものは2020年に当時の運輸省(現・建設省)が正式に認可しており、計画は6年前から存在していた。

途中で誤解も起きている。2026年5月、クイニョン駅に蒸気機関車が出入りしたことから地元に観光路線開設の噂が広がったが、クイニョン駅長のグエン・トリウ・トゥ氏は「この情報は不正確だ」として、技術検査と運転士の資格転換のための試運転だったと説明した。このときの機関車はRevolution Express社が管理する1960年のフランス式ミカド型で、整備後にダナンへ運ばれ、フエ〜ダナンの観光路線で使う予定だと報じられている。5月の走行と10月の試運転は、同じ計画の別の段階にあたる。

フエ市とVNRは2026年9月17日に作業会議を開き、観光新商品の開発と導入を共同で研究することで合意した。検討されている案には、ハイヴァン峠エリアに観光客が降りて景色を見たり写真を撮ったりできる停車地点を設けることや、ラングコ駅〜ダナン駅間の毎日運行が含まれる。いずれも「検討中」の表記が付いたままだ。

なぜハイヴァン峠の線路が観光商品に選ばれるのか

ハイヴァン峠の鉄道区間は、観光商品を作る前から評価されていた。フエ〜ダナンは約103キロで、海岸線に沿って山を回り込みながら越えていく。並行する国道1号とハイヴァン・トンネルは車とバイクの主要ルートだが、トンネルを使うと景色は見えず、峠道はバイクツーリングの対象になる一方で天候に左右される。鉄道は峠の海側を低い位置で走るため、ラングコ湾を見下ろす角度が車では取れない。

この区間を観光商品にした先例が、2024年に走り始めた「中部遺産連結」列車(HD1〜HD4)だ。展望窓の付いた客車をつなぎ、フエ発とダナン発でそれぞれ1日2本走る。ラングコ駅で約10分停まり、乗客は降りて湾を撮影できる。中部の鉄道が「移動」から「体験」に軸足を移す動きは2024年から始まっていて、蒸気機関車はその次の一手として検討されている。中部の観光評価が上がっている状況は、ダナンがロンリープラネット2027年版の50選に入った件とも重なる。

今フエ〜ダナンを鉄道で越えるなら、どの列車に乗るか

蒸気機関車の就航日が出ていない以上、中部を今年のうちに回る人が使えるのは既存の列車だ。走っている列車は性格がはっきり分かれる。

種別 列車番号 本数 所要時間の目安 片道運賃の目安 性格
中部遺産連結列車(観光列車) HD1・HD3(フエ発)/HD2・HD4(ダナン発) 各方向1日2本(午前・午後) 約3時間〜3時間45分 221,000〜396,000ドン(約1,300〜2,400円) 展望窓付き客車。ラングコ駅で約10分の撮影停車
南北統一鉄道の優等列車 SE1・SE3・SE5・SE7など 1日5本前後 約2時間30分〜3時間 座席・寝台の等級と日付で変動 移動が主目的。寝台を含む複数等級から選べる
蒸気機関車列車 未定 未定 未定 未定 2026年10月4日に技術試運転。営業運転の決定前

運賃は販売サイトの表示をもとにした目安で、同じHD列車でも席種と発車日で動き、代理店経由は上乗せになる。1円=約165ドン(2026年10月6日時点)で換算した。時刻も改正で動くので、乗る前にベトナム鉄道の公式販売サイトで当日の列車番号を確認したほうがいい。

現地と業界は、この試運転をどう扱っているか

反応は「盛り上げる側」と「訂正する側」に分かれている。

  • フエ線区運営支社の担当者は、今回の走行が技術検査であり、運行評価報告書に必要なデータ収集が目的だと説明した(トゥオイチェー紙)
  • クイニョン駅長のグエン・トリウ・トゥ氏は5月の時点で、地元に広がった観光路線開設の噂を「不正確」と否定し、試運転の目的は技術検査と運転士の資格転換だと述べた
  • フエ市とVNRは2026年9月17日の作業会議で、観光新商品の開発と導入を共同研究することに合意した。停車地点の設置も検討項目に入っている
  • ベトナム国内メディアはハイヴァン峠越えの鉄道区間を世界でも指折りの景観路線として繰り返し紹介しており、商品化の前提として景観価値はすでに共有されている

5月と10月の2回とも、鉄道側は「技術検査」という説明を崩していない。観光路線として売り出す前段で、公式が言える範囲を超えないようにしている段階だと読める。なお、ベトナムの鉄道はテト列車の払い戻し率を30%に引き上げたように規定が動くので、観光列車が売り出されたときも払い戻し条件は購入時に確認したい。

日本から中部へ行く人は、今どう組めばいいか

蒸気機関車を目的に航空券を取るのは早い。営業運転の日程が出ていない段階では、峠越えの鉄道そのものを目的に据えて、蒸気機関車が走り始めたら乗り直すという組み方のほうが無駄がない。中部遺産連結列車は日本から行っても十分に成立する商品で、フエ発の朝便に乗ればダナンに昼前に着き、その日の午後をダナン市内かホイアンに充てられる。

発表を待つ間に確認しておきたい項目は3つある。1日あたりの本数、運賃、そしてどこで買えるか。整備可能な車両が2両しかなく、燃料と水の補給、乗務員の資格、灰の処理が必要になるため、本数が既存の観光列車(各方向1日2本)を上回るかどうかは公表を待つしかない。発売の告知はVNRとフエ市の広報、および現地紙に出るので、日本語の旅行情報より先にそちらを見たほうが早い。

運賃も未公表だ。同区間の観光列車が221,000〜396,000ドンで売られているので、予算を組むならこの帯を下限として置いておくと、公表後に組み直す幅が小さくなる。往復で考えるなら、片道だけ蒸気機関車、戻りは統一鉄道の優等列車という組み方で時間と費用を調整できる。

フエ側の滞在も合わせて考えておきたい。蒸気機関車の始発がフエになる案が出ているため、フエで1泊する前提が立ちやすい。フエの飲食は観光商品化が進んでいて、マムルオック入りコーヒーを出すカフェのような、その土地でしか成立しないメニューも増えている。

蒸気機関車を商品にするとき、どこにコストが乗るか

蒸気機関車の観光運行は、車両を直せば終わる話ではない。燃料の供給、給水設備、火床の整備、灰の処理、専門の機関士と機関助士の確保が継続的に必要になる。今回の試運転で橋梁の荷重耐性を測っているのは、この2両を定期的に走らせたときに線路側が持つかを確かめる作業にあたる。

ベトナムの鉄道は、高速鉄道と都市鉄道に投資が集中する局面に入っている。ビンスピードがシーメンスと最大10億ユーロ規模の契約を結んだように、新線側の資金とニュースの量は既存在来線を上回る。その中で在来線の遺産的価値を収益化する試みは、路線の維持費を観光収入で部分的に埋める手段として位置づけられる。フエ〜ダナンがその実験区間に選ばれたのは、景観という既存の資産に加えて、観光列車の運行ノウハウが2024年から蓄積されているからだ。

旅行者の立場で押さえておきたいのは、この列車が「安い移動手段」として増えるわけではない点だ。2両で回す以上、席数は限られる。フエ〜ダナンを安く速く移動したい日は統一鉄道の優等列車を使い、蒸気機関車は乗ること自体を目的にする日に充てる、という使い分けになる。

フエ〜ダナンの鉄道を使うための実用情報

項目 内容
区間 フエ駅〜ダナン駅(約103キロ、ハイヴァン峠経由)
フエ駅の所在 フエ市内中心部の西側。ベトナム語表記は Ga Huế
ダナン駅の所在 ダナン市内。ベトナム語表記は Ga Đà Nẵng。ダナン国際空港から車で約10分
観光列車の本数 中部遺産連結列車が各方向1日2本(HD1・HD3/HD2・HD4)。所要約3時間〜3時間45分
観光列車の運賃 片道221,000〜396,000ドン(約1,300〜2,400円)。席種・発車日・販売経路で変動。1円=約165ドン、2026年10月6日時点
車内の特徴 展望窓付き客車、空調あり。ラングコ駅で約10分の撮影停車
統一鉄道の優等列車 SE1・SE3・SE5・SE7など。所要約2時間30分〜3時間。等級は座席・硬寝台・軟寝台
きっぷの購入 ベトナム鉄道の公式販売サイト(dsvn.vn)、駅窓口、現地旅行会社
蒸気機関車列車 2026年10月4日に技術試運転。営業運転の開始日・便数・料金はいずれも未公表
景色が見える側 海側(フエ発は進行方向左手、ダナン発は右手)が湾に面する

峠区間は霧と雨が出やすく、10月から12月は中部の雨季にあたる。景色を目的に乗るなら、乾季側に寄せた日程のほうが外れにくい。

まとめ

ハイヴァン峠を蒸気機関車が越えたのは事実で、それが観光列車として売られる日は未定だ。この2つを混ぜないことが、計画を立てるうえでいちばん効く。

中部を近いうちに回る予定があるなら、中部遺産連結列車のHD1またはHD3をフエ発の便で押さえ、ラングコ駅の撮影停車を日程に組み込むのが現実的な選択になる。蒸気機関車に乗りたい場合は、航空券より先にVNRとフエ市の発表を待つ。発売が告知されたら、2両しかない車両で回す前提から本数は限られるため、告知当日に動けるよう公式販売サイトのアカウントを先に作っておくといい。ハイヴァン峠は蒸気機関車が来なくても越える価値のある区間で、今年中に動くなら既存の列車で先に体験しておく手がある。

参照元

🧳 ベトナム旅行の予約はこちら
ホテル予約「agoda」
ベトナムのホテルをお得に予約
ダナン・ホイアン・ホーチミンの人気ホテルが割引価格で予約可能。当日予約や無料キャンセルに対応した宿も多く、現地での急な予定変更にも柔軟に対応できます。
#最安値をチェック →
広告(A8.net)
agoda
海外旅行予約「NEWT」
航空券とホテルをまとめて手配
ベトナム行きのフライトと宿をアプリで一括予約。ポイント最大5%還元、24時間の日本語サポートつきで、初めての海外旅行でも安心して準備を進められます。
#旅行をかんたん予約 →
広告(A8.net)
NEWT

航空券・ツアー・eSIM・海外旅行保険まで、出発前にやる順に手配先を並べたベトナム旅行の予約まとめもあわせてどうぞ。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

目次