ベトナム人旅行者の78%がスピリチュアルアドバイザーの助言で旅先を変更――星座・水星逆行が支配する旅行計画

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Booking.comの大規模調査が明かした、ベトナム人の「星に聞く旅行術」

旅先をGoogleマップではなく、星座占いで決める。水星逆行の期間は飛行機を予約しない。スピリチュアルアドバイザーに「今月は北へ行くな」と言われたら素直に南へ変更する。Booking.comが33カ国・2万9000人超を対象に実施した2026年版旅行トレンド調査で、ベトナム人旅行者の78%が「スピリチュアルアドバイザーの助言で旅行計画を変更した経験がある」と回答した。星座を参考にする人は73%、水星逆行中に旅程を調整する人は61%。数字だけ見ると冗談のようだが、Z世代とミレニアル世代が牽引するこのトレンドは、ベトナムの旅行業界を確実に動かし始めている。

調査の全容――33カ国2万9000人が語った「旅の判断基準」

Booking.comが発表したこの調査は、2026年の旅行トレンドを10カテゴリに分類している。そのなかでベトナム市場に特に響いたのが「スピリチュアル・トラベル」の項目だ。グローバル平均でも65%が「旅行計画にスピリチュアルな要素を考慮する」と答えたが、ベトナムはそれを大きく上回った。満月やソルスティス(至点)のタイミングに合わせた出発、エネルギーが高いとされる場所を選ぶ傾向は、東南アジア全域で見られるが、ベトナムの数字は突出している。

なぜベトナムで「星座旅行」が刺さるのか

ベトナムは伝統的に風水・干支・旧暦に基づく吉日選びの文化が根強い。結婚式、引っ越し、開業――人生の節目には必ず暦を見る。その延長線上に「旅行の日取りも星に聞く」という行動がある。Z世代にとっては、SNSで星座ミーム(おひつじ座の旅行あるある、さそり座が行くべき国)が大量に流通しており、スピリチュアルとエンタメの境界が曖昧になっている。

加えて、ベトナム国内のSNSインフルエンサーが「水星逆行中のトラブル体験談」を投稿するたびに、フォロワーが予約変更に走るという連鎖も観察されている。結果として、旅行代理店やOTAは占星術カレンダーをマーケティングに組み込み始めた。

数字で見るベトナム人のスピリチュアル旅行傾向

指標 ベトナム グローバル平均
スピリチュアルアドバイザーの助言で旅先を変更 78% 非公開
星座・ホロスコープを旅行計画に参考にする 73% 非公開
スピリチュアル要素を旅行計画に考慮 非公開 65%
水星逆行中に旅程を調整する 61% 非公開
Z世代のスピリチュアル旅行関心 71% 非公開
ミレニアル世代のスピリチュアル旅行関心 62% 非公開
調査対象者数 ベトナム含む33カ国 2万9000人超

旅行業界と当事者の反応

ベトナムの大手OTA各社は、この調査結果を受けて「吉日カレンダー」付きの予約画面テストを始めている。旧暦の吉日と航空券の価格変動を重ねて表示し、「お得で縁起も良い日」を提案する仕組みだ。

一方、旅行ブロガーの間では「スピリチュアルを名目にしたキャンセル料免除を求める客が増えた」という声も上がっている。「水星逆行だからキャンセルしたい」という要望をどう扱うか、業界のルール整備はこれからだ。

調査を発表したBooking.com自身は「旅行が超個人化されたジャーニーになりつつある」と総括している。従来の「価格・利便性・口コミ」に加えて「星の配置」が第4の判断軸になる時代が、少なくともベトナムでは到来している。

日本の旅行者に重なる部分はあるか

日本にも「大安に出発する」「仏滅の旅行は避ける」という文化がある。パワースポット巡りや御朱印集めもスピリチュアル旅行の一形態だ。だが、それが旅先の国や都市レベルの選択を左右する段階には至っていない。ベトナムの78%という数字は、風水や干支の伝統と、SNSの星座コンテンツ、そして旅行の「体験化」が三位一体で結びついた結果だ。日本のインバウンド施策にとっては、ベトナム人向けに「パワースポット」を前面に打ち出すプロモーションが有効かもしれない。

旅行業界への波及――占星術マーケティングの可能性

この調査が示唆するのは、旅行の意思決定プロセスにおける「非合理的な要素」の正当化だ。航空会社やホテルチェーンがアルゴリズムで最適価格を提示する一方で、消費者は星座アプリの通知で予約ボタンを押す。矛盾しているようだが、ファッション業界ではカラー診断が購買に影響を与えるのと構造は同じだ。

ベトナムの旅行市場は2026年も二桁成長が予測されている。その消費者の7割以上が「星に聞いてから動く」のだとすれば、OTAの検索アルゴリズムも、ホテルのプロモーションも、星座と旧暦を織り込む必要がある。ファンタジー世界に触発された旅行をしたいベトナム人が94%に達するという別の調査項目と合わせると、「物語」と「信仰」が交錯する旅行市場が、いまベトナムで急成長していることがわかる。

スピリチュアル旅行に関連するベトナムの人気スポット

スポット 所在地 スピリチュアル的特徴
バーナーヒルズ ダナン 神秘的な霧と「神の手」橋がSNSで聖地化
ホンチョン岬(石の教会) ニャチャン 自然の岩が作る祈りの場所、エネルギースポットとして人気
チャンアン景勝地 ニンビン 世界遺産、満月の夜のボートツアーが定番
タイニン・カオダイ教寺院 タイニン省 多宗教融合の独自建築、宗教体験の聖地
フーコック島・ディンカウ寺 フーコック 漁師の守り神、夕日のエネルギーを浴びる参拝者多数

まとめ――旅行の「第4の判断軸」が生まれた

価格、利便性、口コミ――旅行の意思決定を支配してきた3本柱に、「星の配置」という第4の軸が加わった。少なくともベトナムではそうだ。78%がスピリチュアルアドバイザーの助言で旅先を変え、73%が星座を参考にし、61%が水星逆行中は旅程を動かす。合理的に見えないこの行動は、風水と旧暦が生活に深く根づいたベトナム社会では、ごく自然な延長線上にある。旅行会社もOTAも、星を読む時代が来ている。

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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