サパの先へ、シマカイ高原の果樹園もぎ取り祭が開幕

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ベトナム北部の旅といえばサパ。その名前ばかりが日本人旅行者の頭に浮かぶが、同じラオカイ省のさらに奥、中国国境に近い高原の町シマカイ(Si Ma Cai)で、果樹園のもぎ取りと少数民族文化を軸にした祭が始まる。「Si Ma Cai – Huong Sac Vung Cao(シマカイ・高原の薫り)2026」は6月26日に開幕し、本祭は28日まで。あわせて果樹を主役にした「フルーツ週間」が7月5日まで続く。混雑したサパとは別の北部高原を歩いてみたい人にとって、行き先の選択肢を広げる動きだ。

目次

6月26日開幕、果樹園のもぎ取りが主役

地元紙ラオカイ新聞によると、この祭は今年で4回目。会期は6月26〜28日で、開幕日の26日にはセン銭(Senh tien)の集団舞踊、たき火と花火、地域特産品OCOPの展示が行われる。27日はカンカウ(Can Cau)市の体験、郷土料理、伝統的な民俗遊び、果物や供物の盛り付けコンテスト、ナイトマーケット。28日は機織りコンテストと「ディンファン(Din Phang)峰の登山チャレンジ」、そして表彰と閉幕という流れだ。

そして全体を貫くのが「フルーツ週間」。6月26日から7月5日まで、梨やスモモなどの果樹園を訪ね、実っている現地でもぎ取って味わう体験が打ち出されている。果実を眺めるだけでなく、栽培地に足を踏み入れて収穫まで体験させる構成は、農産品を観光資源に変える典型的なやり方で、Agritureが乾燥野菜やドライ梨で取り組んできた「生産地そのものを商品にする」発想と重なる。

シマカイはどこにあるのか

日本の旅行者にとって、まず壁になるのが位置のわかりにくさだ。シマカイはラオカイ省の北東部、中国との国境に近い高原地帯にある。観光業者の案内を総合すると、ラオカイ市の中心からは北東におよそ100km、バックハー(Bac Ha)の町からは省道DT153を北上して数十km、サパからは100km以上離れている。距離の表記は情報源によって幅があるため、ここでは「サパからは丸一日がかりの奥地」と捉えておくのが現実的だ。

このエリアの観光の核が、土曜だけ立つカンカウ市である。フラワーモン族をはじめとする少数民族が山あいから集まり、藍染めの衣装、家畜、農産物が並ぶ。観光客向けに整えられたサパの市場と違い、生活の市としての色が濃いのが特徴とされる。北部高原の「市」をテーマにした記事としては、雲海に浮かぶ市場を扱ったバックハー周辺の雲市のレポートも参考になる。シマカイとバックハーは同じ高原ルート上にあり、組み合わせて回るのが定番だ。

会期と内容を一覧で

項目 内容
本祭の会期 2026年6月26日〜28日
フルーツ週間 2026年6月26日〜7月5日
場所 ラオカイ省シマカイ
6月26日(開幕) セン銭の集団舞踊/たき火・花火/OCOP展示
6月27日 カンカウ市体験/郷土料理/民俗遊び/盛り付けコンテスト/ナイトマーケット
6月28日 機織りコンテスト/ディンファン峰登山チャレンジ/表彰・閉幕

金額や来場目標といった数字は、信頼できる裏が取れなかったためここでは載せない。為替の目安としては6月下旬時点で1円が約160〜164ベトナムドンで、現地での飲食や果実購入は日本円に直すとごく少額に収まる水準だ。

現地・関係者の受け止め

地元紙は、伝統文化・体験型観光・特産品販促を組み合わせることで「文化的に豊かで魅力的な祭の雰囲気を、省内外の来訪者にもたらす」と紹介している。観光ガイド各社の案内では、カンカウ市について「サパの市場より素朴で、暮らしの市そのもの」という評価が繰り返し見られる。早朝から開く市の活気と、観光ずれしていない雰囲気を価値として打ち出す論調だ。

一方で、こうした奥地の祭はアクセスの不便さが裏返しの魅力でもある。SNS上の旅行者の声を意訳すると「行きにくいからこそ人が少なく、本来の高原が残っている」という趣旨の投稿が目立つ。便利さと引き換えに失われがちな素朴さを、あえて手間をかけて取りに行く層がいるということだ。

日本の旅行者にとっての意味

この祭が日本の旅行者に投げかけるのは、「ベトナム北部=サパ」という固定観念を一段ずらす提案だ。サパは鉄道やケーブルカーが整い、ファンシパン登頂をケーブルカーで楽しむ気軽さがある反面、ハイシーズンの混雑は年々増している。それに対しシマカイは、土曜のカンカウ市に日程を合わせ、もぎ取りや登山チャレンジまで含めて回る「能動的な旅」を求める人に向く。

果樹園のもぎ取りは、言葉が通じなくても成立する体験という点でも相性がいい。畑で実を選び、その場で口に運ぶ行為に翻訳はいらない。家族連れや、定番ルートを一巡した二度目以降の訪越者にとって、北部高原は次の目的地になりうる。食を切り口にした地方の見せ方という意味では、和食を通じた日越の橋渡しを扱った和食レポートとも、方向性は通じている。

農産品を観光に変える流れ

シマカイの祭は、収穫物そのものを旅の目的地に据える「アグリツーリズム」の一例だ。梨やスモモは保存が利きにくく、産地から離れるほど鮮度の価値が落ちる。だからこそ「現地で食べる」ことに意味が生まれ、人を産地まで動かす力になる。これは加工や流通で価値を足す発想とは逆の、産地の現場に体験ごと閉じ込めて売る発想だ。ベトナム各地で進む地方の観光開発と、特産品ブランド化が交わる地点に、こうした収穫祭は位置している。

行く前に押さえておきたい実用情報

  • 本祭は6月26〜28日、フルーツ週間は7月5日まで。もぎ取り目当てなら週末をまたぐ日程が組みやすい。
  • カンカウ市は基本的に土曜開催。市と祭を一度に体験したいなら土曜を軸に予定を立てる。
  • 拠点はバックハーが現実的。バックハーからシマカイへは省道DT153を北上する。サパからは距離があるため、移動に丸一日かかる前提で。
  • 高原は朝晩冷え込むため羽織りものを用意。登山チャレンジを見るなら歩きやすい靴を。
  • 現金(ベトナムドン)は多めに。奥地ではカード決済が使えない場面が多い。1円が約160〜164ドン(6月下旬時点)で、小額の買い物が中心になる。

まとめ

シマカイの「高原の薫り2026」は、サパに集中しがちな北部観光に別の入口を開く。やることは明快で、土曜のカンカウ市に合わせて訪れ、梨やスモモをもぎ取り、機織りや登山チャレンジで高原の暮らしに触れる。次にベトナム北部を計画するなら、バックハーを拠点にシマカイまで足を延ばすルートを一度検討してみてほしい。混雑を避けて素朴な高原を歩きたい人ほど、この奥地の祭は応えてくれるはずだ。

参照元

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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