ベトナム最大の島フーコックは、ケーブルカーや大型テーマパークが並ぶ南部の賑わいで知られてきた。その人気の裏返しで、ビーチも街も混みやすい。英字紙VnExpressが9月9日に伝えたのは、島の北西部にあるシェラトン・フーコック・ロングビーチ・リゾートで、あえて予定を詰め込まず過ごす滞在の提案だ。国立公園の森が海に落ち込む一帯で、プライベートビーチと敷地内の体験だけで一日が完結する。人気の南部に通い慣れた人や、家族連れ・カップルで静かに過ごしたい日本人旅行者に、島のもう一つの顔を示す内容になっている。
南のにぎわいから車で北西へ、森と海の境目に立つ
リゾートが建つのは、フーコック北西部のガンザウ(Gành Dầu)地区。フーコック国立公園の緑がそのまま海岸線に届く場所で、目の前は他の宿泊客と共有しないプライベートビーチが広がる。VnExpressの記事は、チェックインして予定表を埋めるのではなく、朝は波打ち際、昼はプール脇のバーベキュー、夜は星空の下の浜辺という、時間を区切らない過ごし方を勧めている。移動と観光に追われがちなフーコック旅行のなかで、宿そのものを目的地にする発想だ。
スターフィッシュ・ビーチまで未舗装4km、北が静かな理由
北フーコックが混みにくいのは、行きにくさと表裏一体だ。赤いヒトデが浅瀬に集まる通称スターフィッシュ・ビーチ(ラックベム/Rạch Vẹm)は、中心街のズオンドンから約22km、車やバイクで約50分かかる。しかも最後のおよそ4kmは未舗装路で、この一手間が開発を遠ざけ、澄んだ遠浅と静けさを守ってきた。南部の 絶景スポット がSNSで拡散して人を集める一方、北はアクセスの悪さが結果的に人混みを間引いている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| リゾートの立地 | 北西部ガンザウ地区、国立公園沿いのプライベートビーチ |
| スターフィッシュ・ビーチ | ズオンドン中心部から約22km・車で約50分 |
| ビーチへの最後の道 | 約4kmの未舗装路 |
| 周辺の大型施設 | ヴィンワンダーズ、ヴィンパール・サファリ、グランドワールド |
養蜂場からカカオ工房まで、敷地内で完結する体験
スロー滞在を支えるのは、外に出なくても遊べる仕掛けだ。リゾートから歩ける「シェラトン・ガーデン&ビー・ファーム」では養蜂の見学とハチミツの試食ができ、ヤシの実を自分で採る体験も用意されている。カカオ工房「ビタースイート・ショコラティエ」ではカカオからチョコレートになるまでを味わえる。食事は、フーコック名物の魚醤(ヌクマム)や黒胡椒、シム(rose myrtle)といった島の素材を、ベトナム人と外国人のシェフが現代風に仕立てる。海遊びと食と体験が敷地内でつながり、車移動を最小にできる。
北に足を延ばすか、南で足りるかの判断材料
北フーコックへ動くべきかは、旅の目的と日数で答えが変わる。静かなビーチと予定を詰めない時間を優先するなら、アクセスの悪さを引き受けてでも北に泊まる価値がある。一方で初めてのフーコックなら、ケーブルカーやテーマパークがまとまった南のほうが短い滞在で見て回りやすく、限られた日数だと北西部まで足を延ばしにくい。両取りを狙うなら、拠点は南の中心街に置き、北のヒトデビーチへは干潮に合わせた半日の日帰りで押さえる組み方もある。滞在日数と同行者の年齢層をものさしに、どこを拠点にするかを決めたい。
フーコック空港から北西部へ向かう前に押さえること
フーコック国際空港は島の南側にあり、北西部のガンザウ地区までは車でおおむね1時間前後を見ておきたい。移動が長い分、到着日と出発日は南、中日を北に充てるなど、島内の動線を先に決めると無駄がない。ヒトデビーチは干潮どきに浅瀬が現れてヒトデを見やすく、訪問前に潮の時間を調べておくと空振りしにくい。混雑を外したいなら、電気網のない静かな漁村 のように、開発の手が及びきっていない場所ほど時間帯と足回りの下調べが効く。
南の観光地図に北の一泊をどう足すか
フーコックは、南のズオンドン中心部やサンセットタウンに宿泊需要が集中し、ハイシーズンは価格も混雑も上がりやすい。北西部の滞在型リゾートは、その集中を分散させる受け皿になる。記事が触れる「連泊するほど割安になる(Stay Longer Save More)」プランのように、長く滞在してもらうことで一部屋あたりの単価を保つ設計は、混雑を平準化したい島側の思惑とも噛み合う。日本の旅行者にとっては、島の自然を目的にした滞在 と同じ発想で、観光地を巡るより一か所に根を張る選択肢が増えたことになる。
混雑を外して北で一泊するためのメモ
北フーコックを予定に組み込むなら、次の点を控えておくと動きやすい。
- 空港(南)から北西部ガンザウまで車で約1時間、島内移動を先に設計する
- ヒトデビーチは中心街から約50分・最後は未舗装路、干潮の時間帯を狙う
- 連泊割引プランがあり、宿泊日数を延ばすほど一泊あたりの負担が下がる
- 宿泊料金の具体額は公表されていないため、予約サイトで時期別に確認する
次のフーコックは、北で一日を止めてみる
フーコックの楽しみ方は、南の施設を効率よく回るだけではなくなった。北西部で一泊し、養蜂やカカオ体験、静かなプライベートビーチで一日の予定を意図的に止めてみる。空港からの1時間と未舗装路のひと手間を受け入れれば、南では味わえない静けさが手に入る。初回は南、二度目は北という順番で島を二度訪れるプランも現実的だ。混雑と静けさのどちらを取るかを、日程と同行者に合わせて選べばいい。
