ハノイのスペシャルティコーヒー革命――エッグコーヒーの先にある第3の波を飲み歩く

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エッグコーヒーの街に「第3の波」が静かに広がっている

ハノイといえばカフェ・ジャン(Cafe Giang)発祥のエッグコーヒー(Cà Phê Trứng)が有名だ。1940年代、ソフィテル・レジェンド・メトロポールのバーテンダー、グエン・ヴァン・ジャンが牛乳不足の時代に卵黄とコンデンスミルクで代用したのが始まりで、今やハノイ旧市街の観光名物となっている。だが、このエッグコーヒーの街にもう一つの波が押し寄せている。ベトナム中部高原産のシングルオリジン・アラビカ豆を使ったスペシャルティコーヒーだ。タイホー(西湖)エリアを中心に、V60ハンドドリップやコールドブリューを提供する新世代のカフェが増え、ハノイのコーヒーシーンに「第3の波」をもたらしている。

なぜ今ハノイでスペシャルティなのか

ベトナムは世界第2位のコーヒー生産国だが、生産量の大半はロブスタ種で、インスタントコーヒーや練乳入りの「Cà Phê Sữa Đá」向けに消費されてきた。しかし近年、ダラット(Đà Lạt)やラムドン省、ソンラ省といった中部高原・北部山岳地帯でアラビカ種の栽培が拡大。品質の高い国産アラビカが安定供給されるようになり、ハノイの若いロースターたちがその豆を使ったスペシャルティコーヒーを提供し始めた。

スペシャルティコーヒーの台頭は、ハノイの伝統的なコーヒー文化を置き換えるものではない。路上の小さなプラスチック椅子で飲むCà Phê Sữa Đáと、西湖エリアのモダンなカフェで味わうV60ドリップは共存している。地元のロースターたちは「輸入豆に頼るのではなく、ベトナム産の豆を積極的に使う」というスタンスを打ち出しており、国産コーヒーの再発見という側面もある。

スペシャルティコーヒーの価格帯とスタイル

ハノイのコーヒー価格帯比較(2026年現在)
スタイル 価格帯(VND) 日本円換算(1VND≈0.006円) 特徴
路上カフェ(Cà Phê Sữa Đá) 15,000〜30,000 約90〜180円 ロブスタ、練乳入り、プラスチック椅子
エッグコーヒー(観光地価格) 35,000〜65,000 約210〜390円 卵黄・コンデンスミルクフォーム
スペシャルティ・ハンドドリップ 60,000〜120,000 約360〜720円 V60、シングルオリジン・アラビカ
コールドブリュー 55,000〜100,000 約330〜600円 長時間抽出、フルーティーな酸味
ココナッツコーヒー 40,000〜60,000 約240〜360円 ココナッツミルク使用、甘め

注目のロースターとカフェ

ハノイのスペシャルティコーヒーシーンを牽引するのが、ハイバーチュン区に拠点を置くThird Wave Roasteryだ。コンパクトなプアオーバーバーで、コントゥム省産のファインロブスタ(フルボディ、ウイスキー的なニュアンス)、中米産90点ゲイシャ、ブラジル50%・コロンビア30%・エチオピア ナチュラル20%のコールドブリュー・パワーブレンドを提供している。

旧市街にもスペシャルティカフェが点在するが、ナローな路地裏の上層階に隠れるように営業しているケースが多い。西湖エリアではロッテモール周辺に徒歩圏内で複数のスペシャルティカフェが集まり、高めの価格設定と実験的なアプローチが支持されている。

ベトナム人コーヒー愛好家の声

ハノイ在住のIT企業勤務・30代男性は「毎朝の路上カフェは変えないが、週末はThird Waveでゲイシャを飲む。ベトナム産のアラビカがここまで美味いとは知らなかった」と語る。ダラットからハノイに移住した女性ロースターは「自分たちが育てた豆がスペシャルティとして評価される時代が来た。ハノイの消費者はオープンマインドで、新しい抽出方法にも興味を持ってくれる」とコメントしている。外国人在住者の間では「ハノイは東南アジアで最もコスパの良いスペシャルティコーヒーが飲める街」という評判が広がっている。

日本人旅行者向け実用ガイド

日本人旅行者がハノイでスペシャルティコーヒーを楽しむには、まず西湖(タイホー)エリアを目指すのが効率的だ。ロッテモール・タイホー周辺には複数のスペシャルティカフェが徒歩圏内に集まっている。旧市街からはGrabで15〜20分程度。

初心者は以下の3ステップで楽しんでほしい。

  1. まずエッグコーヒー: カフェ・ジャン(39 Nguyễn Hữu Huân, Hoàn Kiếm)で原点を味わう
  2. 次にスペシャルティ: 西湖エリアのV60ドリップでベトナム産アラビカを飲み比べる
  3. 最後に路上カフェ: 旧市街の路上でCà Phê Sữa Đáを飲みながら、3つのコーヒー文化の違いを実感する

ファンシパン山頂のスターバックスも話題だが、ベトナムコーヒーの真髄はローカルにある。ホーチミンのカフェシーンとは異なるハノイ独自の文化を体感してほしい。

ベトナムコーヒー産業の構造変化

ベトナムのコーヒー産業は輸出用ロブスタ一辺倒から、国内消費向けスペシャルティへのシフトが進んでいる。ダラット、ラムドン、ソンラ産のアラビカは国際品評会でも評価が上がり、ベトナム国内のバリスタ大会(Vietnam Coffee Championship)では年々レベルが向上している。

この流れはホーチミンのアン・ミエンカフェのようなローカルカフェにも波及しており、北のハノイと南のホーチミンで独自のスペシャルティ文化が並行して発展している。ハノイは「伝統×革新」、ホーチミンは「多国籍×実験」という棲み分けが生まれつつある。

ハノイ コーヒー飲み歩き 実用情報
項目 詳細
ベストエリア タイホー(西湖)・旧市街ホアンキエム周辺
スペシャルティ価格帯 60,000〜120,000 VND(約360〜720円)
エッグコーヒー推奨店 Cafe Giang(39 Nguyễn Hữu Huân)・Cafe Dinh
おすすめ時間帯 午前7〜10時(朝のカフェ文化体験)
移動手段 Grab / 徒歩(旧市街内)
注意点 旧市街の上層階カフェは看板が小さく見つけにくい
おすすめ抽出 V60ハンドドリップ(ベトナム産アラビカ)

まとめ――エッグコーヒーの先にある、もうひとつのハノイ

ハノイのコーヒーシーンは、エッグコーヒー一辺倒の時代を卒業しつつある。路上のCà Phê Sữa Đá、旧市街のエッグコーヒー、そして西湖エリアのスペシャルティ――この3層が共存するのが2026年のハノイだ。

ゴールデンウィークにハノイを訪れる予定の方は、エッグコーヒーの定番巡りに加えて、西湖エリアでのスペシャルティ体験を半日プランに組み込んでみてほしい。V60で淹れたダラット産アラビカの、フルーティーで澄んだ酸味は、日本のサードウェーブカフェに通う方にも刺さるはずだ。フェアモント・ハノイに宿泊するなら旧市街のカフェ巡りも徒歩圏内。3つの波を1日で横断する贅沢なコーヒー体験を、ぜひハノイで。

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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