ホーチミンとスリランカの首都コロンボを直行で結ぶ路線が、2026年8月に立ち上がる。ベトナム航空が8月16日、格安のベトジェットが8月18日と、わずか2日違いで同じ区間に就航する。ベトナムとスリランカを乗り継ぎなしでつなぐ便はこれが初めてで、これまで両国間はシンガポールやバンコク、あるいはインドの都市で乗り換える必要があった。ホーチミン在住の日本人にとっては、スリランカやその先のモルディブ・南インドが一気に近くなる話であり、出張や休暇の選択肢が実際に変わる。
ベトナム航空が8月16日、ベトジェットが18日に就航し週3便で並ぶ
ベトナム航空はホーチミン(タンソンニャット国際空港)=コロンボ間を週3便、水・金・日のスケジュールで運航する。使用機材はエアバスA321。同社はもともと10月を予定していた就航日を8月16日へ大きく前倒しした経緯があり、需要の立ち上がりを早めに取りに行った形だ。SkyTeam加盟のフルサービスキャリアが、まず口火を切る。
その2日後の8月18日にベトジェットが同区間へ参入する。機材はA320。就航記念として、エコノミー相当の片道運賃を約90米ドル(1米ドル≒155円で約1万4千円前後の概算)から売り出し、上位のDeluxe・SkyBossでは基本運賃を2割引くキャンペーンを打った。運航頻度については、航空スケジュール情報サイトが週3便と伝える一方、ベトジェット自身の発表では週4便との数字も出ており、媒体によって差がある。ここでは断定を避け、就航直後は週3〜4便で立ち上がると押さえておきたい。フルサービスと低コストが同じ週に、ほぼ同じ本数で並走するのは新規国際線としては珍しい。
| Item | Vietnam Airlines | VietJet |
|---|---|---|
| Launch date | 2026年8月16日 | 2026年8月18日 |
| Frequency | 週3便(水・金・日) | 週3〜4便(発表に差) |
| Aircraft | A321 | A320 |
| Classification | フルサービス | 格安(LCC) |
3.8万人・前年比17.5%増の往来が直行便を後押しした
2社が同時期に飛ばす背景には、実数の裏付けがある。ベトナムとスリランカを行き来した旅客は2025年に3万8千人を超え、前年から17.5%伸びた。乗り継ぎ前提でもこれだけ動いている区間に直行を入れれば、移動時間の短縮と運賃競争で需要はさらに掘り起こせるという読みだ。ベトジェットの就航はコロンボで開かれた両国の貿易・投資・観光の協力フォーラムの場で発表され、ベトナムのトー・ラム書記長やスリランカのアマラスリヤ首相が臨席した。国レベルの往来促進と足並みをそろえた路線だという点は、便数の安定を占ううえで見逃せない。
ベトナム航空の国際線拡張は対日路線でも続いており、ダナンへ週11便、ハノイ=大阪を12月に倍増させる同社の対日便の動きと重ねると、東南アジアを基点に周辺国へ面を広げていく姿勢が見える。コロンボ線はその南アジア側の一手にあたる。
コロンボ乗継でモルディブ・南インドへ抜ける新ルートが開く
この直行便の価値は、コロンボ単体よりもその先にある。コロンボのバンダラナイケ国際空港はスリランカ航空のハブで、同社は47か国105都市を結ぶ。とりわけインド路線が厚く、チェンナイ・ムンバイ・デリー・ベンガルール・コーチ・ハイデラバードなど二桁都市へ張り巡らせ、対印だけで週93便規模に達する。インド発着はスリランカ航空の旅客の約3割を占める中核だ。加えてモルディブのマレへの便も持つ。
つまりホーチミンからコロンボへ飛べば、そこを結節点にモルディブや南インドへ1回の乗り継ぎで抜けられる。従来はバンコクやシンガポール、あるいはインドの大都市を経由していたルートに、ベトナム発の新しい入口が加わる。新規直行が離島や内陸を初めて手繰り寄せる構図は、たとえば成都とフーコックを直行で初めて結んだ便が中国内陸客の流れを変えたのと似ている。点と点をつなぐ一本が、面の往来を書き換える。
日本の在住者・出張者はSGN経由でスリランカが1回乗継圏に入る
ホーチミン在住の日本人や、ベトナムへ出張する層にとっては実務的なメリットが大きい。これまでスリランカへ向かうにはバンコクやシンガポール、クアラルンプールでの乗り継ぎが一般的で、所要も運賃も読みにくかった。ホーチミン起点の直行が入れば、生活・仕事の拠点からそのまま南アジア・インド洋方面へ一歩で出られる。日本からの旅行者も、成田や関空からホーチミンに入り、タンソンニャットで乗り継ぐ動線が現実味を帯びる。
空港側のアクセス整備も追い風だ。タンソンニャットは市中心部からの移動が悩みどころだったが、メトロ6号線が空港の全3ターミナルを地下駅で直結する計画が進んでおり、乗り継ぎ拠点としての使い勝手は今後上がる。国際線どうしの乗り継ぎ時間や、SGNでの入国要否(トランジットで足を止めるか、市内に一泊するか)は、旅程を組む段階で確認しておきたいポイントだ。
ベトジェットのエコノミー片道90米ドルからは記念運賃と割り切る
就航記念運賃の見方には注意がいる。ベトジェットが打ち出した片道約90米ドルは基本運賃ベースの初期プロモーションで、預け手荷物・座席指定・空港税や燃油等を積むと実支払いは膨らむ。LCCの提示価格をそのまま総額と受け取らないのは、ベトナム国内線でも同じ作法だ。一方でベトナム航空はフルサービスとして受託手荷物や機内サービスを含む前提の価格になるため、荷物が多い出張やギフトを持ち運ぶ帰省では、単純な片道額より総額で比べたほうが実態に合う。
周囲の反応も温度差がある。ホーチミン在住の日本人コミュニティでは「モルディブが週末圏に入るのは大きい」と歓迎する声が聞かれる一方、旅行業の関係者からは「就航直後は便数も価格も動くので、まずは半年ほど様子を見て定着してから商品化したい」と慎重に構える見方もある。新路線は初期の需要が読みにくく、増便も減便もあり得る。乗る側としては、記念運賃の安さに飛びつく前に、乗り継ぎの余裕時間と総額、そして就航スケジュールの安定を見極めるのが賢い。
Sources referenced
- AeroRoutes — Vietnam Airlines Adds Colombo Service From mid-Aug 2026
- Routes / Airports Corporation of Vietnam — Ho Chi Minh City–Colombo direct route to launch in August
- Aviation Voice — Vietnam Airlines Brings Forward Launch of Colombo–Ho Chi Minh City Nonstop Flights to 16 August
- Newswire.lk — Vietjet to launch direct Colombo–Ho Chi Minh City flights
- Travel And Tour World — SriLankan Airlines Expands India Network Through Colombo Gateway
