ハノイの食堂「マモム(Mammom)」が、100種を超える家庭料理でミシュランのビブグルマンに選ばれた。星付きの高級店ではなく、ベトナムの家で食べる普段のおかずを主役にした店が評価された点が新しい。バーディン地区のファン・ディン・フン通りにあり、開業は2024年6月。わずか2年でミシュランに拾われた。日本の旅行者にとっては、屋台巡りとは別の「きちんとした家庭の味を一度に試せる場所」として使い勝手がよい。1人1,200〜1,800円ほどの価格帯で、ハノイの家庭料理を一度に見渡せる。
何が評価されたのか
マモムが受けたのはビブグルマン。ミシュランが「手頃な価格で質の高い料理を出す店」に贈る区分で、星とは別の評価軸だ。店名の「マモム」は、おいしく食べる様子を表すベトナム語の言い回しから取られている。看板は家庭料理で、その数は100種を超える。伝統的な家庭のレシピを軸にしながら、35歳のヘッドシェフが毎年全国を回って各地の食材や調理法を持ち帰り、メニューに反映させている。手が届く価格のまま品数をそろえる店づくりが、ビブグルマンの「手頃な価格で質の高い料理」という基準と噛み合った形だ。
実用情報(訪問前に確認したい要点)
| Item | Details |
|---|---|
| Shop name | マモム(Mammom) |
| Location | ハノイ・バーディン地区 ファン・ディン・フン通り |
| Scale | 6フロア・約220㎡、最大約300席 |
| ランチ | 11:00〜14:00 |
| ディナー | 17:30〜22:00 |
| Budget guide | 1人20万〜30万ドン(約1,200〜1,800円/約8〜11ドル)※1万ドン≈約59円換算 |
| 生演奏 | 月曜を除く毎日18:00〜20:00(伝統音楽) |
1人1,200〜1,800円ほどで、家庭料理を何皿も試せる。1日あたりの来客は約600人。TripAdvisorの評価は4.9と高い。生演奏の時間に合わせて夕方に訪ねると、料理と伝統音楽を一度に楽しめる。
何を頼めばいいか
記事で名前が挙がる看板料理には、カニの春巻き、ニンニク入り魚醤で照りをつけた豚のスペアリブ、パクチー入り魚醤で味わう蒸しイカ、ナスを添えた牛肉のサラダ、魚の煮付け、野菜炒め、豚バラの角煮、焼きスペアリブなどがある。どれも家庭の食卓に並ぶ定番で、はじめてのベトナム家庭料理でも選びやすい。品数が多いので、少人数なら数皿をシェアして味の幅を確かめるのがよい。
受賞で店はどう変わったか
ミシュラン掲載を境に、ベトナム人客の来店が5割増えた。それまでは米国・欧州・北東アジアからの外国人観光客が中心だったという。受賞による話題性で地元客が動いた形で、外国人向けだった店に地元の客足が加わった。来客は1日約600人にのぼり、時間帯によっては混み合う。ゆっくり食べたいなら、ランチやディナーの開店直後をねらうと入りやすい。
ハノイの食シーンのなかで
ミシュランのベトナム進出以降、評価の光は高級店だけでなく庶民の一皿へも広がっている。3年連続で選ばれたうなぎ春雨の名店のように、専門の一品を突き詰めた店が並ぶ一方で、マモムは家庭料理を丸ごとそろえる逆の方向で評価を得た。一皿を極めた店と、食卓ごと味わえる店。ハノイではどちらの回り方もできる。屋台のフォーから始めるならハノイのフォー巡り、朝の軽い一皿なら路地のバインクオンと組み合わせると、一日で味の幅を体験できる。
日本の食に関わる立場からの見方
マモムのやり方は、食を扱う日本の作り手にも読みどころがある。特別な高級素材ではなく、家庭の定番を数と一定の質でそろえて価値にした点だ。全国を回って各地の調理法を集め、家庭料理の幅そのものを売りにする発想は、地方の食材や郷土の味を扱う事業にも移しやすい。手頃な価格を保ったまま品数で満足度をつくる設計は、外食に限らず土産物や食品の企画にも当てはまる。ベトナムの家庭料理が海外でどこまで受け入れられるかを見るうえで、この店の客層の変化は追いかける値打ちがある。
まとめ:訪ねる前のチェック
- 場所はハノイ・バーディン地区のファン・ディン・フン通り。営業はランチ11〜14時、ディナー17:30〜22時。
- 予算は1人20万〜30万ドン(約1,200〜1,800円)。数皿シェアで味の幅を確かめる。
- 受賞後は地元客が5割増。混雑を避けるなら開店直後を狙い、生演奏(月曜除く18〜20時)に合わせると満足度が高い。
営業時間や価格は変わることがあるため、訪問前に最新情報を確認しておくと安心だ。屋台とは違う「家庭の食卓」を短時間で試せる店として、ハノイの食べ歩きに一枠加える価値がある。


