ベトナムの食堂でビールを頼むとき、銘柄を全部覚える必要はありません。南部ならSaigonや333、北部ならBia Hà Nội、中部ならLarueやHudaという地域の軸を知っておけば、店員にも希望が伝わりやすくなります。

ただし、「一番人気」「1本いくら」といった情報は、地域、店、容器、キャンペーンで変わります。この記事では主要メーカーと味の傾向を整理しつつ、数字を固定的に断定せず、旅行者が実際に注文するときの確認ポイントまで補います。
先に結論:地域・色・温度で選ぶ
- 地域で選ぶ:南部はSaigon・333、北部はBia Hà Nội、中部はLarue・Hudaが見つけやすい傾向です
- 味で選ぶ:軽さを求めるならラガー、香りや苦みを試すならクラフトへ進みます
- 価格はメニューで確認:食堂、バー、ホテルでは同じ銘柄でも価格が大きく変わります
- 氷は好みで:南部では氷を入れる飲み方がありますが、冷えた瓶・缶なら「không đá(氷なし)」でも構いません
ベトナムのビール勢力図:4つの会社が主役
ベトナムの量販ビールを理解する入口になるのが、SABECO、HABECO、Heineken Vietnam、Carlsbergの4社です。「市場を4社だけが握る」と断定するのではなく、旅行中によく出会う主要プレーヤーとして捉えると実情に合います。
| 会社 | 主なブランド | 特徴 |
|---|---|---|
| SABECO(サベコ) | Saigon、333 | 国産最大手。南部で圧倒的な存在感 |
| HABECO(ハベコ) | Bia Hà Nội、Truc Bạch | 北部の雄。19世紀末から続く歴史あるブランド |
| Heineken Vietnam | Tiger、Larue、Heineken | 外資系大手。人気の Tiger や中部の Larue を展開 |
| Carlsberg | Huda | フエ発の中部ブランド Huda を展開 |
国産の二大巨頭が南の SABECO と北の HABECO。そこに Heineken と Carlsberg という外資が、全国区とご当地の両面で食い込んでいます。市場全体では、Tiger などを抱える Heineken Vietnam が最大級のシェアを持ちます。
南部の主役:Saigon と 333
ホーチミンをはじめ南部で最もよく見るのが、SABECO の Saigon ビールと 333 です。SABECO の源流は1875年、フランス人がサイゴンに開いた醸造所にさかのぼり、独立後の1977年に国営化、2017年にはタイの ThaiBev が経営権を握りました。
Saigon ビールは「色」で選ぶ
食堂でよく見かけるSaigonの主力は、次の3種です。ラベルの色で見分けやすい一方、好みや流通量には地域差があります。「赤が必ず一番人気」と決めつけず、飲み口と価格で選びましょう。
| 銘柄 | ラベルの色 | 味わいの目安 |
|---|---|---|
| Saigon Export | 赤 | コクがありバランスがよい。地元で一番人気 |
| Saigon Special | 銀(プレミアム) | すっきり上質。少しよそゆきの一杯 |
| Saigon Lager | 緑 | 軽くて素直。値段も手ごろ |
度数は銘柄ごとに少し違いますが(Lager は4.3%、Special は4.9%)、いずれも軽快なラガー。食事に合わせてゴクゴク飲むのに向いています。
333は海を越える定番の缶ビール
緑の缶でおなじみの 333(ベトナム語で「バーバーバー」)は、海外にも広く輸出される、ベトナムを代表する缶ビールです。屋台でも店でもよく見かける、南部の定番です。
北部の主役:Bia Hà Nội と Truc Bạch
ハノイなど北部で強いのが、HABECO の Bia Hà Nội です。その歴史は古く、19世紀末(1890年)にフランス人のアルフレッド・オメルが開いた醸造所が源流。100年以上、首都の食卓を支えてきたブランドです。
- Bia Hà Nội:やや軽めで、あっさりした飲み口。北部の定番ラガー
- Truc Bạch(チュックバック):HABECO のプレミアム。度数5.1%とやや高く、コク重視の一杯。ハノイのチュックバック湖にちなんだ名前です
なお、ハノイには瓶・缶の Bia Hà Nội とは別に、その日仕込みの生ビール「ビアホイ(bia hơi)」を1杯数十円で飲む文化も根づいています。詳しくはビアホイ完全ガイドをどうぞ。
中部の主役:Larue と Huda
フエやダナンなど中部を旅すると、南北とは違う銘柄に出会います。この土地で親しまれているのが Larue と Huda です。
- Larue(ラルー):フランス植民地時代にルーツを持つ中部の老舗ブランド。現在は Heineken Vietnam が展開
- Huda(フーダ):古都フエ生まれのビール。現在は Carlsberg が手がける、中部の顔
中部を旅するなら、その土地の Larue や Huda もぜひ。旅程づくりはベトナムの食べ物ガイドが参考になります。
全国で見かける外資ブランド
国産大手のほかに、外資のブランドも全国で流通しています。とくに Heineken Vietnam は、Tiger をはじめ人気ブランドを傘下に抱えています。
- Tiger(タイガー):都市部でよく見る、キレのあるラガー
- Heineken:ベトナム国内でも製造・流通。少し高めの価格帯
「ローカル大手 → 外資 → クラフト」と、価格も個性も段階的に上がっていくイメージで捉えるとわかりやすいです。
現地での頼み方・楽しみ方
銘柄がわかったら、あとは頼み方です。ベトナムならではの飲み方のコツを押さえておきましょう。
- 氷を入れる:南部では、ぬるいビールにグラスの氷(đá)を入れて飲むのが一般的。冷えていないときは氷をもらいましょう
- 乾杯の合図:「Một, hai, ba, dô!(モッ・ハイ・バー・ヨー=1・2・3・乾杯!)」。地元の人と飲むなら覚えておくと盛り上がります
- 値段の目安:ローカル食堂でも立地や容器で変わります。注文前にメニューでVND表記を確認し、観光地ではサービス料の有無も見ます
- 飲む場所:食堂、屋台、ビアホイ、コンビニ。どこでも手に入ります
ローカルビールに合うベトナム料理
軽くてキレのあるベトナムのラガーは、脂や香辛料の効いた料理と相性抜群です。屋台や食堂で頼みたい、定番の組み合わせを挙げておきます。
| 料理 | 相性のポイント |
|---|---|
| 焼き物(nướng) | 炭火焼きの肉や魚介。香ばしさと冷えたラガーは鉄板の組み合わせ |
| 貝料理(ốc) | ホーチミンの貝専門店の定番つまみ。塩気とビールが進む |
| 鍋(lẩu) | 汗をかきながらの鍋に、キンキンのビールで一息 |
| 揚げ春巻き(nem / chả giò) | さくっとした揚げ物に、軽いラガーがよく合う |
貝で一杯やりたいなら、ホーチミンの貝専門店 Ốc Đàoのような店が狙い目。夜の過ごし方はベトナムのナイトライフガイドも参考になります。
クラフトビールとの違い
ローカル大手のラガーは、軽くて安く、料理に合わせてたくさん飲むためのビールです。一方、小規模な醸造所が個性を競わせるクラフトビールは、香りや味の濃さで一杯をじっくり楽しむタイプ。目的が違います。
まずはローカル大手で土地の味を押さえ、余裕があればクラフトへ。個性派の世界はベトナムのクラフトビール完全ガイド、南部で飲み歩くならホーチミン クラフトビール完全ガイドにまとめています。
よくある質問
- ベトナムで一番人気のビールは何ですか?
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南部では SABECO の Saigon ビール(とくに赤ラベルの Saigon Export)が定番です。缶ビールの 333 も海外に広く輸出されています。北部では Bia Hà Nội がよく飲まれます。
- Saigon ビールの赤・緑・銀は何が違いますか?
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赤は Saigon Export(コクがあり一番人気)、緑は Saigon Lager(軽くて手ごろ)、銀は Saigon Special(すっきり上質なプレミアム)です。地元では赤が最も好まれます。
- 333は何と読みますか?
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ベトナム語で「バーバーバー(Ba Ba Ba)」と読みます。緑の缶が目印で、ベトナムを代表する輸出ビールです。
- ビールに氷を入れるのは本当ですか?
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本当です。とくに南部では、ぬるいビールにグラスの氷を入れて飲むのが一般的です。冷えたビールがよければ、氷なしで冷えたものを頼みましょう。
- ビールはいくらくらいですか?
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価格は店、地域、容量で変わります。ローカル食堂の瓶・缶は安めですが、観光地やホテルでは上がります。クラフトビールもサイズと度数で差があるため、VNDのメニュー価格とサービス料を注文前に確認してください。
まとめ:銘柄名より、土地と場面で選ぶ
南部のSaigon・333、北部のBia Hà Nội、中部のLarue・Hudaという地域差を知っておくと、メニューを見たときに迷いにくくなります。ただし、人気順位や価格は固定ではありません。店にある銘柄を聞き、容量、冷え具合、価格を確かめて選ぶのがいちばん確実です。
まずは料理に合わせやすいローカルラガーを一本。その後に、香りを比べたいならクラフトビール、ハノイの日常文化を知りたいならビアホイへ進むと、違いがよく分かります。飲酒後はバイクや車を運転せず、配車アプリを利用してください。


