ロンタイン空港からブンタウのビーチへ、地下鉄30分構想の中身

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ベトナム南部で今秋の開港が迫るロンタイン国際空港と、ビーチリゾートのブンタウを地下鉄で直結する——そんな路線案が2026年7月、ホーチミン市の都市鉄道管理機関から浮上しました。実現すれば空港から海辺まで最短30分という試算です。今年の開港へ工事が最終盤に入ったロンタイン新空港は、ホーチミン中心部の東およそ40kmに位置します。到着した旅行者がそのまま南のビーチへ抜ける動線が描かれたことは、南部を旅する日本人にとっても見逃せない話です。ただし現時点はあくまで「構想」で、事業化調査すら始まっていない段階だという点を、最初に押さえておく必要があります。

目次

提案されたのはブンタウ発「メトロ3号線」の延伸

ホーチミン市都市鉄道管理機関(MAUR)が示したのは、計画中のメトロ3号線をロンタイン空港まで延ばす案です。3号線はもともとブンタウ中心部を起点に、バリア、フーミーを結ぶ全長およそ40kmの路線として構想され、国道51号沿いにドンナイ省との境界へ至る設計でした。今回の提案は、その終点からさらに空港方面へルートを伸ばすもので、3/2通りやチーリン観光エリア、ブンタウ〜ビンチャウ道路、海岸道路、55号線をたどって空港圏に接続する経路が挙げられています。

2025年に旧バリア・ブンタウ省とビンズオン省がホーチミン市へ統合されたことで、この広域鉄道は「一つの市の中を走る路線」という位置づけに変わりました。行政の枠が組み替わったことが、空港とビーチを一本の軌道でつなぐ発想を後押ししています。

なぜ今か——開港が迫るロンタインとブンタウの距離

背景にあるのは、ロンタイン空港の開港が目前に迫っていることです。空港は2025年12月に技術飛行を伴う式典を終え、商業運航は今年後半に始まる見通しで、ホーチミンの国際線の主役がタンソンニャットからここへ移っていきます。どの路線がロンタインへ移るのかは旅行前に確かめたい論点で、到着空港が変われば宿やビーチへの動線も一から組み直しになります。

一方のブンタウは、ホーチミン中心部から南東へ約96kmの海辺の街です。週末に市民が押し寄せる定番リゾートでありながら、これまで鉄道の便がなく、移動はバスか車、あるいは高速船に頼ってきました。空港とビーチという二つの集客拠点を軌道で結べば、乗り換えなしの新しい観光ルートが生まれる。提案の狙いはそこにあります。

数字で見る所要時間、直通なら30分

計画側の予備的な試算では、延伸区間を使った場合の所要時間が具体的に示されています。停車駅を絞った速達便と、こまめに停まる各駅便とで差が出る設計です。現行の移動手段と並べると、軌道が通ったときのインパクトが見えてきます。

区間・手段 所要時間の目安
ブンタウ〜ロンタイン空港(延伸メトロ・速達/構想値) 約30分
ブンタウ〜ロンタイン空港(延伸メトロ・各駅/構想値) 約50分
ホーチミン中心部〜ブンタウ(高速バス) 約2〜2.5時間
ホーチミン中心部〜ブンタウ(自家用車・配車) 約2〜3時間
ホーチミン中心部〜ブンタウ(高速船) 約2時間

気をつけたいのは、30分・50分という数字が「実現した場合」の構想値だという点です。現状はその乗り物すら存在せず、後述のとおり開業時期も見通せていません。表の下段にある現行手段こそ、当面の現実です。

計画上の位置づけ、まだ「調べてみる」段階

この路線が今どこにあるのかを公表情報から拾うと、輪郭がはっきりします。

  • 段階——正式決定ではなく、事業化調査(フィージビリティ・スタディ)の実施を求める提案の段階。設計も予算もこれから詰める。
  • 時期——ブンタウ側の各路線はもともと2030年以降の着手とされ、今回まとめて示された5路線は2026〜2030年と2031〜2035年に振り分けられた中期計画。近い将来の開業ではない。
  • 財源と管轄——延伸区間はドンナイ市側へ入り込むため、費用負担と建設の担い手をどちらが持つか、事前の合意が要る。公共投資かPPP(官民連携)で進める想定。

言い換えれば「近く開通する路線」ではなく、「調査に値するかを議論している路線」というのが正確な現在地です。旅行計画にそのまま組み込める話ではありません。

旅行者・在住者は何を読み取るべきか

構想段階とはいえ、この提案からくみ取れる実務的な意味は二つあります。

第一に、ロンタインが「単独の空港」ではなくハブとして設計されつつあることです。提案では、延伸メトロが空港に集まる3つの鉄道——南北高速鉄道、トゥーティエム〜ロンタイン線、ベンタイン〜スオイティエンのメトロ延伸——と接続する構図が描かれています。到着した空港からホーチミン都心、ビーチ、他都市へ軌道一本で散っていく将来像です。空港アクセスを軌道で担う動きはベトナム各地で共通しており、ハノイでもメトロ5路線の一斉着工で空港アクセスの刷新が進んでいます。南部の旅の起点が数年かけてタンソンニャットからロンタインへ移る前提で、宿や移動を組む発想は今から持っておいて損がありません。

第二に、ブンタウへのアクセスは鉄道を待たずに改善が進んでいることです。地下鉄が数年先の構想である一方、ビエンホア〜ブンタウ高速道路が段階的に開通し、ホーチミン都心〜ブンタウの所要が約120分から70分前後へ縮む見込みです。海辺への移動を早めたい旅行者にとって、当面の主役は地下鉄ではなく高速道路とバス・車になります。ニュースの見出しは地下鉄でも、実際に使うのは道路という状態がしばらく続く、と割り切っておくのが賢明です。

今ブンタウへ行くなら、現実的な選択肢

地下鉄が動くまでの間、ホーチミンやロンタイン方面からブンタウへ向かう手段を整理しておきます。海辺までの距離はおよそ96〜100km、渋滞次第で所要は前後します。高速バスの運賃は片道おおむね10万〜20万VND台(約600〜1,200円、1万VND≒60円換算)が目安ですが、便や時期で動きます。

手段 特徴 所要の目安
高速バス(リムジンバス) 本数が多く予約も容易。送迎付きの車種は快適 約2〜2.5時間
自家用車・配車(Grabなど) 荷物の多い家族連れ向き。高速道路利用で短縮可 約2〜3時間
高速船(サイゴン〜ブンタウ) 陸路の渋滞を避けられる海路。景色も楽しめる 約2時間

料金は便や時期で動くため、出発前に予約サイトで最新の金額を確かめてください。空港機能が完全にロンタインへ切り替われば、空港発ブンタウ行きの直行バスやシャトルの整備が、地下鉄より先に現実的な次の焦点になります。

まとめ——「30分」に踊らず、当面は道路を使う

ロンタイン空港とブンタウを地下鉄で直結する案は、南部の旅を変える可能性を秘めています。速達30分という数字は魅力的ですが、これは事業化調査を求める提案段階の構想値で、着工も開業も決まっていません。ブンタウ側の鉄道はもともと2030年以降の話であり、今回の延伸案がそれより早く動く保証もない状況です。

旅行者・在住者が今できることは三つあります。第一に、到着空港がタンソンニャットからロンタインへ移る前提で、宿とビーチへの動線を早めに見直すこと。第二に、当面のブンタウ移動は高速バス・車・高速船から選び、開通が進むビエンホア〜ブンタウ高速道路の短縮効果を織り込むこと。第三に、地下鉄の続報は「事業化調査が始まったか」を節目に追うことです。見出しの30分に気を取られず、まずは今週末に使える道路とバスの時刻を押さえるところから始めてみてください。

参照元

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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