7月からベトナムのネット販売は本人確認が必須に、匿名出品が消える

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ベトナムでSNSやマーケットプレイスに出品したことがある人は、7月から少しやることが増えます。2025年12月10日に成立した新しいEC法(電子商取引法)の主要規定が2026年7月1日に施行され、ShopeeやLazada、Tiki、TikTok Shopといったプラットフォームで販売する出品者は、国民デジタルID「VNeID」による本人確認が義務づけられました(2026年6月末~7月報道)。これまで当たり前だった匿名出品は禁止となり、氏名・住所・登録情報を実名で開示することが求められます。ベトナムに住みながら副業でネット販売をしている日本人や、現地で小さく物販を回している日系の個人にも直接関わる話なので、何がどう変わるのかを実務目線で整理します。

目次

何が変わったのか──匿名出品が消える

新EC法の柱は、出品者の「電子的な本人確認」です。プラットフォーム側は、出店するすべての国内販売者について、VNeID(ベトナム版マイナンバーとも呼ばれる国民デジタルID)を使って本人であることを確認しなければなりません。出品者は個人なら氏名と居住地の住所を、事業体なら本店所在地や事業拠点を、国に登録した内容どおりに公開する必要があります。ライブコマースの配信者(KOL・KOC)や、アフィリエイトで商品を紹介する人についても、プラットフォームが身元を確認する対象に含まれます。

これまでは、アカウント名だけで顔も本名も出さずに販売できる状態が普通でした。新ルールでは、その匿名性が制度として認められなくなります。買う側からすると「誰が売っているか」が見える安心感につながりますが、売る側にとっては、身元をきちんと登録していないと出品そのものが止まりかねない、という切実な変化です。

税金は「プラットフォームが天引き」に一本化

本人確認とセットで理解しておきたいのが、税金の集め方の変化です。こちらは一足先に、政令117/2025号にもとづき2025年7月1日から動き始めています。決済機能を持つECプラットフォームは、個人・世帯の出品者に代わって、取引ごとに売上の一定割合を源泉徴収(天引き)して国に納める義務を負いました。取引が成立し、入金が確認された時点で税額が差し引かれる仕組みです。

差し引かれる割合は、扱うものが「モノ」か「サービス」かで分かれます。物販の場合、付加価値税(VAT)が売上の1%、居住者の個人所得税(PIT)が0.5%。役務・サービスの場合はVATが5%、居住者の個人所得税が2%です。金額としては大きくありませんが、これまで自分で申告していた人にとっては、入金額が自動的に少し目減りする形になります。逆に言えば、確定申告の手間の一部をプラットフォームが肩代わりしてくれる、という見方もできます。

数字で見る、当局が本気な理由

なぜここまで一気に整備が進んだのか。背景には、ECからの税収が急伸している現実があります。2025年の最初の5か月間で、ECとデジタル分野からの税収は74兆4,000億ドン(約28億5,000万ドル)に達し、前年同期比で55%増えました。この期間だけで、約9万3,000の事業者・個人が納税に関わっています。市場が大きくなるほど、匿名のまま税の網から漏れる取引をどう捕捉するかが課題になり、本人確認と源泉徴収を同時に走らせる今の形にたどり着いた、という流れです。

項目内容施行時期
VNeIDによる本人確認出品者の身元確認を義務化・匿名出品を禁止2026年7月1日
プラットフォームの源泉徴収取引ごとに税を天引きして代理納付2025年7月1日
物販の天引き率VAT 1%+居住者PIT 0.5%2025年7月1日~
サービスの天引き率VAT 5%+居住者PIT 2%2025年7月1日~
VAT免税ライン年商5億ドン(約2,950万円)未満は免税2026年1月1日~
※為替は1万ドン≈約59円で換算。天引き率は非居住者の場合は異なる。

小さく売る人はどうなる──免税ラインの引き上げ

「趣味の延長で少しだけ売っている」層に関わるのが、VAT免税ラインの変更です。2026年1月1日から、世帯・個人事業のVAT免税の基準は年商2億ドンから5億ドン(約2,950万円)へと引き上げられました。年商5億ドン未満なら原則VATはかかりません。ただし、免税ラインを下回っていても、売上の申告自体は必要で、2026年分は2027年1月末までに申告する扱いです。

注意したいのは、この免税ラインの引き上げと、プラットフォームによる源泉徴収は別物だという点です。決済機能付きのプラットフォームで売る限り、年商が免税ライン以下でも取引ごとの天引きは行われます。小規模でも「天引きゼロ」にはならないので、あとで納め過ぎた分の精算・確認を意識しておくと安心です。

在住者・日系の個人が今やっておくこと

ここからが実務の核心です。ベトナムに住みながら販売している人が、7月の施行までに手を打っておくべきことは大きく3つあります。

1つ目は、VNeIDアカウントの整備です。2025年7月からは、公共サービスポータルや電子納税システムの旧ログインが失効し、VNeIDアプリ経由の電子ID登録が前提になっています。手続き系はVNeIDに寄せておくのが今の標準で、出品の本人確認もこの流れの延長にあります。2つ目は、登録情報の一致確認。プラットフォームに表示される氏名・住所と、国に登録した情報がずれていると、確認ではじかれる可能性があります。3つ目は、決済用の口座の一本化。出品者は取引用に一つの公式口座を持つことが求められるため、複数口座で回している人は整理しておくと安全です。

制度が整うほど、「誰が・どこで・いくら売っているか」が見える市場になります。デジタルIDや電子決済のインフラ整備が進むベトナムでは、こうしたルールの更新が生活実務に直結しやすく、たとえば入国時の健康申告の復活のように、渡航前・滞在中にひと手間増える変化が続いています。ネット販売についても、身元登録という「ひと手間」を前向きに済ませておけば、匿名の出店者が退場したあとの、より透明な市場で有利に立てます。日本から越境で仕入れて現地で売るような動きをしている人は、地元の老舗が国境を越えて商圏を広げた事例のように、正規のルートでコツコツ信頼を積む姿勢がこれまで以上に効いてくるはずです。

よくある質問

個人でSNSに少し出品するだけでも本人確認は必要ですか

2026年7月1日以降、決済機能を持つプラットフォームで販売する国内の出品者は、規模の大小にかかわらずVNeIDによる本人確認の対象になります。匿名のままの出品は認められなくなるため、少額でも継続的に売るなら早めに登録しておくのが安全です。

税金はいくら天引きされますか

物販なら取引ごとに売上の付加価値税1%+居住者の個人所得税0.5%、サービスなら付加価値税5%+居住者の個人所得税2%が目安です。プラットフォームが取引成立時に差し引いて代理で納めます。非居住者の場合は率が異なります。

年商が小さければ税金はかからないのですか

2026年からVATの免税ラインは年商5億ドン(約2,950万円)未満に引き上げられました。ただし免税ライン以下でも売上の申告は必要で、プラットフォームによる取引ごとの源泉徴収は免税ラインとは別に行われます。

参照元

Vietnam News: Platforms to help online sellers pay taxes from July 1

Viet An Law: Vietnam E-commerce Law 2025 – Key Regulations Taking Effect in 2026

Vietnam Briefing: Vietnam’s Tax Withholding Framework for E-Commerce Platforms

Vietnam News: Small businesses under VNĐ200 million VAT exemption (2026 update)

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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