ベトナム産ドリアン、中国市場で初めてタイを抜いてシェア1位に――94万トン突破

ベトナム産ドリアンが、世界最大の消費市場である中国で、ついにタイを追い抜いた。2025年のベトナムから中国へのドリアン輸出額は34.4億ドル(約5,200億円)に達し、前年の29.4億ドルから17%増。一方のタイは約40億ドルでほぼ横ばいにとどまり、両国の差は急速に縮まっている。業界団体はベトナムが2026年中にタイを逆転し、世界最大のドリアン輸出国になると予測している。

2022年に中国への正規輸出が解禁されてからわずか3年。ベトナム果実野菜協会のダン・フック・グエン事務局長は「今の勢いが続けば、ベトナムは今年中にタイを抜いて世界最大のドリアン輸出国になる」と明言した。

目次

3年間で「ゼロから34億ドル」の衝撃

ベトナム産ドリアンの中国向け輸出の成長スピードは異常と言っていい。2022年の正規輸出解禁初年度は4.21億ドル。翌2023年に22.4億ドルへ5倍以上に跳ね上がり、2024年は33億ドル、2025年は38.6億ドル(別統計では34.4億ドル)と、毎年10億ドル規模で積み上げてきた。

この急成長の背景には3つの要因がある。第一に、中国との1,280kmにおよぶ陸上国境による物流コストの低さ。第二に、ほぼ通年で収穫可能な気候条件。第三に、中国側の検疫当局と協力して構築したトレーサビリティシステムだ。中国のバイヤーが直接ベトナムの産地を訪れ、品質改善を支援するケースも報告されている。

ベトナム vs タイ――ドリアン輸出データ比較

指標 ベトナム タイ
2022年 対中輸出額 4.21億ドル(約640億円) 約40億ドル(約6,100億円)
2023年 対中輸出額 22.4億ドル(約3,400億円) 約40億ドル(約6,100億円)
2024年 対中輸出額 33億ドル(約5,000億円) 43.4億ドル(約6,600億円)
2025年 対中輸出額 34.4〜38.6億ドル 約40.5億ドル
2024年Q1 中国市場シェア 57% 約35%
主力品種 リーガー / モントーン モントーン / チャニー
収穫シーズン ほぼ通年 4〜8月が中心
対中物流の優位性 陸上国境1,280km 海上輸送が主(3〜5日)

産地・業界の声

「今の勢いが続けば、ベトナムは今年中にタイを抜いて世界最大のドリアン輸出国になる」――ダン・フック・グエン ベトナム果実野菜協会事務局長

「ベトナムは数量でも品質でもタイを超えられると思う」――グエン・タン・チュン フルブライト大学ベトナム政治学者

「ドリアンはベトナムの果物・野菜輸出総額の45%以上を占める”フルーツの王様”だ」――業界統計より

日本人旅行者・バイヤーへの影響

日本ではドリアンは「臭い果物」というイメージが先行するが、ベトナム産ドリアンの品質向上は著しい。中国市場向けに鮮度管理とトレーサビリティが整備された結果、日本への輸出ルート開拓も現実味を帯びてきた。

ベトナム現地で食べるドリアンは衝撃的にうまい。ホーチミンのベンタイン市場やメコンデルタのフルーツツアーで、採れたてのドリアンを体験できる。価格は1kgあたり約80,000〜155,000 VND(約480〜930円)で、日本のスーパーの3分の1以下だ。

ドリアン産業の構造変化とASEAN経済への波及

ベトナムのドリアン躍進は、ASEAN域内の農業競争の構図を変えつつある。タイのドリアン農家は価格競争力の低下に危機感を募らせており、マレーシアのムサンキング種との差別化競争も激化している。

中国市場のドリアン輸入総額は年間100億ドルを超え、世界の輸出量の90%以上が中国に流れる構造だ。この巨大市場での勢力図の変化は、フーコック島のニョクマムが豪州市場を開拓した事例と同様、ベトナム農産物の国際的プレゼンス向上を象徴している。Marouチョコレートの国際的成功も含め、ベトナム発の食品ブランドが世界市場で存在感を強めている。

日本の食品バイヤーにとっても、世界TOP10に選ばれたCieL Diningのようなベトナムの高級ガストロノミーで使われるドリアンデザートは、新たな仕入れ先の候補になるだろう。

ベトナムでドリアンを食べるための実用情報

項目 内容
旬のシーズン 5〜8月がメイン。ただし南部では通年入手可能
価格帯 80,000〜155,000 VND/kg(約480〜930円)。品種・等級で変動
主力品種 リーガー(Ri6)、モントーン(Monthong)
おすすめ購入場所 ホーチミン: ベンタイン市場、Vo Van Tan通りのフルーツ屋台 / メコンデルタ: ミトーのフルーツツアー
主産地 ダクラク省、ラムドン省、ビンフオック省、ティエンジャン省
持ち帰り注意 日本への生ドリアン持ち込みは検疫規制あり。冷凍ドリアンは一部業者が輸出対応

まとめ

2022年の中国市場解禁からわずか3年で、ベトナム産ドリアンはタイに肉薄し、2026年中の逆転が確実視されている。陸上国境の物流優位、通年収穫の気候条件、そしてトレーサビリティの整備。この3つの武器で、ベトナムは「ドリアン王国」の座をタイから奪い取ろうとしている。

引用・参考

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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