ベトナムのカフェが「撮影スタジオ」化——50人超のカメラ隊に外国人観光客が驚愕

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ハノイのカフェに「50人超のカメラ隊」——マレーシア人観光客が驚いた光景

ハノイ・タイホー区(Tay Ho)のカフェに足を踏み入れたマレーシア人旅行者ヌル・デリマさんは、店内の光景に思わず踵を返しかけた。50人以上の若者とカメラの「森」が狭い店内にひしめき、レフ板が通路を塞ぎ、女性たちが次々に衣装を着替えてはポーズを取っている。

「インフルエンサーのイベントかと思って帰ろうとした」とヌルさんは語る。しかしこれは特別なイベントではなく、ベトナムの都市部で日常化した「カフェ写真文化」の風景だった。

カフェが「理想のスタジオ」になった背景

プロのスタジオで1時間25万-50万VND(約1,500-3,000円)かかる撮影が、カフェではドリンク1杯分のコストで済む。自然光が入る空間、季節ごとに変わるインテリア、映える壁や植栽。それらがSNS世代の若者にとって「無料のフォトスタジオ」として機能している。

モデルのレ・トゥイさんはこう話す。「スタジオに25万-50万VNDを払うより、カフェを選ぶ。空間のバリエーションが豊富で、自然な写真が撮れる」。さらにホーチミン市の利用者は「コミュニティで話題になっている場所で写真を撮ることで、トレンドについていける感覚がある」と、SNS上での承認欲求がカフェ撮影の動機であることを率直に認めた。

撮影隊の装備と行動——もはや「撮影現場」

カフェに押し寄せる撮影隊の装備は、スマートフォンだけにとどまらない。一眼レフカメラ、三脚、レフ板、ポータブル照明を持ち込む人も珍しくない。衣装は2-3着を持参し、トイレや駐車場で着替えるのが通例となっている。メイクアップも店内で行われ、1時間以上かけてフル・メイクを施すケースもある。

行動 内容 一般客への影響
機材持ち込み 一眼レフ・三脚・レフ板・照明 通路を塞ぎ、移動が困難に
衣装チェンジ 2-3着を持参、店内やトイレで着替え トイレ長時間占有
メイク 1時間以上のフルメイクも テーブル占有・化粧品臭
滞在時間 撮影で2-3時間に及ぶことも 席の回転率低下
グループ撮影 10-20人規模の撮影チームも 一般客が入店できない状態に

カフェ側の対応——禁止か、収益化か

プロカメラ禁止・撮影料金を導入する店舗

ハノイとホーチミン市の一部カフェでは、プロ仕様のカメラ(一眼レフ・ミラーレス)の持ち込みを禁止する動きが広がっている。撮影を許可する店舗でも、1時間あたり30万-60万VND(約1,800-3,600円)の撮影料を徴収するケースが出てきた。さらにメイクアップの長時間使用には別途15万VND(約900円)の超過料金を設ける店もある。

「宣伝効果」として歓迎する店舗

一方で、撮影を積極的に歓迎するオーナーもいる。ホーチミン市のカフェオーナー、ズイ・ナムさんは「写真を撮りに来てくれるとカフェの知名度が上がる。季節ごとのデコレーションも、撮影客を意識して変えている」と話す。写真がSNSで拡散されることを無料のマーケティングと捉え、撮影しやすい照明や小道具をあえて用意する店舗も増えている。

対応方針 具体策 導入エリア
プロカメラ禁止 一眼レフ・ミラーレスの持ち込み不可 ハノイ・HCMC の一部
撮影料金 30万-60万VND/時間(約1,800-3,600円) ハノイ・HCMC
メイク超過料金 15万VND/時間(約900円) ハノイの一部
撮影時間制限 1-2時間まで 人気店で導入拡大中
撮影歓迎・演出強化 季節デコレーション・小道具設置 SNS集客を狙う新規店

外国人旅行者の反応——「文化の違い」への戸惑い

  • マレーシア人旅行者ヌル・デリマさん: 「インフルエンサーのイベントかと思って帰ろうとした。カフェでコーヒーを静かに飲みたかっただけなのに」
  • ロシア人英語教師: 「最初はああいう場所に何か特別な歴史的意味があるのかと思った。単にSNS映えスポットだと知って驚いた」
  • 欧米の旅行ブロガー(SNS投稿より): 「ベトナムのカフェ文化は世界的に有名だが、それが”カフェ写真文化”に進化しているとは思わなかった。良い意味でカルチャーショック」

旅行者への影響——知っておきたい3つのポイント

撮影が集中する時間帯を避ける

撮影隊が集まりやすいのは午前9時から正午、午後2時から5時の時間帯。早朝(7-8時)や夕方以降は比較的落ち着いてコーヒーを楽しめることが多い。週末は特に混雑するため、平日の訪問がおすすめだ。

路地裏の小規模カフェを選ぶ

SNSで話題になるのは大通り沿いやランドマーク的な大型カフェが中心。ハノイ旧市街の路地裏やホーチミン市の住宅街には、撮影隊が来ないローカル感たっぷりのカフェが無数にある。ホーチミン市プーニュアン区の路地裏のように、地元民に愛される隠れた名店を探すのも旅の醍醐味だ。

自分も撮影を楽しんでみる

せっかくなら「郷に入っては郷に従え」の精神で、自分もカフェ写真を楽しんでみるのも一興だ。スマートフォンでの撮影はほぼすべての店舗で歓迎されており、店内のフォトスポットで旅の記念写真を撮るのはベトナムならではの体験になる。

業界への波及——「カフェ×撮影」は新しいビジネスモデルか

ベトナムのカフェ写真文化は、飲食業と撮影スタジオ業の境界を曖昧にしつつある。撮影料金を導入した店舗は、ドリンク売上に加えて撮影料という新たな収益源を確保した。逆に撮影歓迎の店舗は、SNSでの拡散を集客コスト「ゼロ」のマーケティングとして活用している。

ベトナムのフリーランスやコンテンツクリエイターの増加も追い風だ。「映える場所で撮りたい」という需要と、「映える空間を提供して集客したい」というカフェ側の供給が完全にかみ合っている。この構造はハノイで韓国式飲食チェーンが若者を集めている構図と似ており、Z世代の消費行動がベトナムの飲食業界を変えている一例と言える。

ホーチミン市が統一記念日に過去最多8か所で花火を打ち上げたように、ベトナムでは「体験をSNSで共有する」文化が社会全体に浸透している。カフェ写真文化はその最前線に位置する現象だ。

項目 詳細
現象 カフェでのプロ・セミプロ級写真撮影が日常化
主な都市 ハノイ(タイホー区)、ホーチミン市
撮影料金相場 30万-60万VND/時間(約1,800-3,600円)
メイク超過料金 15万VND/時間(約900円)
プロカメラ禁止 ハノイ・HCMC の一部店舗で導入
スタジオ代との比較 スタジオ25万-50万VND/時間 → カフェはドリンク代のみ

よくある質問

ベトナムのカフェで写真撮影は禁止されていますか?

スマートフォンでの撮影はほぼすべてのカフェで許可されています。一眼レフやミラーレスなどプロ仕様のカメラについては、一部店舗で禁止または有料化されています。事前にSNSや口コミで各店のポリシーを確認するのがおすすめです。

撮影隊が少ない穴場カフェの見つけ方は?

大通り沿いの人気店を避け、路地裏や住宅街のカフェを探すと、撮影隊に遭遇する確率は下がります。Googleマップで評価件数が少ない(100件未満)店を選ぶのもひとつの方法です。

旅行者がカフェ写真文化を体験するにはどうすればよいですか?

タイホー区(ハノイ)やディストリクト1・3(ホーチミン市)のおしゃれカフェを訪問し、スマートフォンで気軽に撮影するのが最も手軽な方法です。現地の若者に混じって写真を撮ることで、ベトナムならではの文化体験ができます。

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引用元:
VnExpress International – Foreigners surprised by Vietnam’s booming cafe photo culture
GoNomadNest – Vietnam Photography Guide 2026

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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