就航1年に満たない航空会社の初のワイドボディ機が、ベトナム最南の島フーコックに降りた。Sun PhuQuoc Airways(SPA)が9月22日(火)、フーコック国際空港でエアバスA330の1号機を受領した。2026年9月から2027年4月にかけて受け取る予定の8機のうち1機目にあたる。VnExpressは、この機材でつなぐ先としてロシア、カザフスタン、日本、オーストラリア、さらに先に欧州の一部を挙げている。日本からフーコックへ直接向かう選択肢が視野に入ってきた形だが、就航日も運賃も発表されていない。決まった内容と決まっていない部分を分けて整理する。
フーコック国際空港に初のA330、9月22日に届いた1機は何が違うのか
SPAは2025年設立、同年11月1日に初の商業便を飛ばした会社で、リゾートやテーマパークを手がけるSun Groupが運営する。これまでの機材は狭胴機だけで、長距離路線を担える機材がなかった。
247席を3クラスに分けた客室と、13,450キロの航続距離
受領したA330は3クラス構成で総座席数247席。内訳はビジネス20席、プレミアムエコノミー21席、エコノミー206席で、ビジネスは180度フラットに倒れる。3クラスすべてに個人用のエンターテインメント画面と機内Wi-Fiが入る。航続距離は最大13,450キロとされ、これが「どこまで直行できるか」を決める。
機内Wi-Fiの扱いはベトナム各社で差が出ている部分で、ベトジェットが120機にStarlinkを載せて無料提供へ踏み切った件と並べると、SPAの設定が価格勝負より滞在体験側に寄っているのが見えてくる。同社はクアラルンプール線に「Resort in the Sky」を掲げ、受託手荷物と軽食・飲み物を運賃に含めている。
就航から10か月あまりで20機、細身の機体だけだった編成が変わる
A330が加わる直前、SPAの編成は狭胴機のA321が20機、うち2機が航続距離を伸ばしたA321LRだった。20機目のVN-A926は9月21日に届いた2機目のA321LRで、1機目のVN-A925は9月3日の受領。同社の説明では残るA321LRも8機が順次加わり、日本・カザフスタン・ロシアの一部都市といった中距離市場を狭胴機で取りにいく構えだ。
SPAは日本市場に、A321LRの中距離路線とA330の長距離路線の両方を当てる構えを見せている。どちらが先に動くかは受領の進み方と需要次第だ。
日本線は2027年1〜3月が目標、就航日も運賃もまだ出ていない
9月22日の報道では、日本は「つなぎたい市場のひとつ」という書かれ方に留まる。ただし同社は8月10日に、もう少し具体的な日程を公表している。
8機のA330をいつ受け取るのか、会社発表の日程を並べ直す
SPAのグエン・マイン・クアン社長(Nguyễn Mạnh Quân)は8月、A330を8機受け入れる計画を固めたと説明した。公表された段取りは下表の通りで、日本線とオーストラリア線は2027年に入ってからの計画に置かれている。
| Period | A330の受領 | 想定する市場 |
|---|---|---|
| 2026年9月 | 2機(うち1機を9月22日に受領) | 韓国線の増強、ロシア・カザフスタン |
| 2026年10月 | 1機 | Same as above |
| December 2026 | 1機 | Same as above |
| 2027年1〜4月 | 残り4機 | 日本(2027年第1四半期)、オーストラリア(第2四半期初め) |
欧州はチェコとポーランドを含む就航先を検討中という段階に置かれ、長期構想として2031年から自社保有のボーイング787-9を40機受け取り大陸間路線に充てる計画も示された。いずれも計画で、運航許可・スロット・運賃のどれも公表されていない。
2026年に入るA330は4機か5機か、発表どうしで数が合わない
ここは正直に伝えておきたい部分で、同社側の発信の中でも数字が一致していない。8月10日の説明では2026年内のA330は4機(9月2機・10月1機・12月1機)で、9月2日の記事も「年内32機のうちA330は4機」だが、9月19日の記事では「年末の33機に対してA330は5機」に変わっている。日本線の開始時期は「残り4機が2027年の最初の4か月で入る」という前提に乗っており、受領が前後すれば就航時期も動く。
機材規模の目標は2026年末33機、2027年末60機、2030年末100機、2035年200機。増機ペースが崩れれば日本線も後ろにずれる。
APEC 2027へ向けた空港とLRTの工事はどこまで進んだか
フーコック(アンザン省)は2027年APEC首脳週の開催地で、島では空港・鉄道・会議場の工事が同時に進み、完成時期はそれぞれ違う。
T2ターミナルは2027年4月に第1期運用、2030年に年2,000万〜2,400万人へ
空港の拡張事業は約1,050ヘクタールの規模で、旅客ターミナルT2は9月時点でコンクリート躯体が約95%、主屋根の鉄骨が完了、機械・電気設備と手荷物処理はいずれも約60%と報じられている。第1期の運用開始は2027年4月が目標で、2030年に年間2,000万〜2,400万人の処理能力を目指す。第2滑走路は完成して飛行検査を終え、誘導路は85%という段階にある。
順番が重要だ。SPAが日本線の目標に置く2027年第1四半期は、T2の第1期運用(2027年4月目標)より前に来る。計画どおりでも最初の便は現行ターミナルで迎える形になりうる。
空港と会議場を結ぶ17キロのLRTは2027年11月に商業運行予定
空港から島南部のAPEC会議場までは約17キロ・6駅の軽量軌道交通(LRT)が建設中で、一部区間でレール敷設が始まっている。橋台・橋脚は約85%まで進み、試運転は2027年7月、商業運行は2027年11月が予定時期とされる。会議場は内装を2027年3月31日に仕上げる目標が置かれている。
この工程だと、2027年前半に島へ行く人と後半以降に行く人では島内の移動環境がかなり違う。混雑を避けるなら、開発の中心から離れた北フーコックで過ごす組み立てのほうが工事期間中は読みやすい。
いま日本からどう向かうか、路線網とロンタイン開港を並べて見る
「日本線が来る」という話を旅行の計画に落とし込むまでには、まだ何段階かある。
同社が公表する国際線7都市に日本の都市は入っていない
9月19日時点でSPAが公表している国際線は7都市で、クアラルンプール、台北、ソウル、香港、シンガポール、成都、バンコク。この一覧に日本の都市は含まれていない。直近で開いたクアラルンプール線は9月1日就航で片道約95分。クアラルンプール〜フーコック間は2026年1〜7月で約70,400人が利用し、2025年通年の76%に達したと報じられている。
ワイドボディ7機のベトジェットと、開港が近いロンタインはどう絡むか
国内他社ではベトジェットが国際線向けにA330を7機運航しているとVnExpressは伝えている。SPAが2027年4月までに8機を入れる計画どおり進めば、ワイドボディの保有数では短期間で近い規模に並ぶ。
In the south,12月の開港に向けて試験飛行が進むロンタイン新空港が大型ハブとして立ち上がる。ロンタインがホーチミン圏の玄関口を担うのに対し、フーコックは目的地そのものに直接降りる空港として動く。日本からの旅行者には、ハブ経由で南部に入る従来の形に島へ直接着く選択肢が加わるかどうかという話だ。
フーコック行きを考えるなら、先に押さえる日付と数字
ここまでの発表を時系列でまとめる。いずれも発表時点の予定で、確定日ではない。
2026年9月から2027年11月までの主な予定
| Period | 予定されている内容 | Status |
|---|---|---|
| 2026年9月22日 | SPAがA330の1号機をフーコックで受領 | 実施済み |
| 2026年10月・12月 | A330を各1機受領(8月発表の計画) | 計画 |
| 2026年末 | 機材32機か33機(A330は4機か5機) | 目標 |
| 2027年1〜3月 | 日本路線の展開を計画 | 計画・就航日未発表 |
| 2027年3月31日 | APEC会議場の内装完了目標 | 目標 |
| April 2027 | 空港T2の第1期運用開始目標/A330の8機目まで受領完了 | 目標 |
| 2027年7月 | 空港〜会議場のLRT試運転 | 予定 |
| 2027年11月 | 同LRTの商業運行開始 | 予定 |
次にとれるのは10月と12月のA330受領を確かめること
直行便を待つ人が今できるのは、旅程を組むことではなく発表が出る場所を決めておくことだ。具体的には、SPAが10月と12月に予定するA330の追加受領が予定どおり報じられるかを見る。ここが計画どおりなら日本線の2027年第1四半期という目標も生きている可能性が高く、ずれが出たら就航も後ろに動くと考えて旅程を後倒しにするほうが安全だ。なお、フーコックには規定の条件を満たす外国人へ最大30日の査証免除を適用する制度があると報じられている。ただし条件の中身はその記事に書かれておらず、日本国籍が対象かどうかはこの報道だけでは分からない。渡航前に所管の公式情報で確かめてほしい。


