ホーチミン中心部、日本料理店が集まるレタントン通り一帯の路地に、朝しか営業しない日本式の朝食店が2026年9月上旬に開いた。店名はMorning Tiger。出すのは一汁三菜の伝統的な朝食で、セットは約30万ドン。席は14席、食事時間は1回50分、朝7時から11時までを4つの枠に区切って客を入れる。VnExpressが9月25日に伝えた。一帯の日本料理店の多くがまだ閉まっている7時から動く店なので、午前に商談を控えた出張者にも組み込みやすい。何が出て、どう入るのかを整理しておく。
朝7時に火が入る路地の店、出てくるのは一汁三菜だけ
昼も夜もやらない、朝の4時間だけの営業
ホーチミンの日本料理店の多くは昼と夜に営業の軸を置く。Morning Tigerはそこを外し、ご飯・汁物・おかずで構成する伝統的な朝食だけを出す。料理人のHiroyuki Susuki氏(元記事のローマ字表記のまま。日本語での表記は元記事で確認できない)は、日本式の朝食一式に特化した形態はホーチミンではまだ広がっていないと話す。
セットは一汁三菜で組まれている。汁物1品と副菜3品をご飯に合わせる、日本の食卓で広く使われてきた並べ方だ。主菜は炭火で焼いた鮭で、約30万ドンのセットの中心に据わる。
昆布で締めて48時間、220〜240グラムの鮭を客が来てから焼く
鮭は1セットあたり220〜240グラム。焼き始めるのは客が席に着いてからで、焼き置きはしない。下ごしらえでは昆布で締めたうえで48時間乾かす。Susuki氏によれば、この処理で身が締まりうま味が出る。味付けは塩とフーコック産のヌクマムか、九州のタレの2通りから選ぶ。焼き台は店の中央に置かれ、日本の民家の囲炉裏から発想を取っている。
ご飯は北海道産のゆめぴりかで、白米のおかわりは無料。副菜は味噌汁のほか、フーイエン省産の魚カー・チム・チャン(cá chim trắng)の刺身などが付く。
| Element | Details |
|---|---|
| 主菜 | 炭火焼きの鮭 220〜240g(昆布締めのうえ48時間乾燥、注文後に焼く) |
| 味付けの選択 | 塩+フーコック産ヌクマム/九州のタレ のいずれか |
| Rice | 北海道産ゆめぴりか。白米のおかわり無料 |
| 汁物 | 味噌汁 |
| 副菜 | カー・チム・チャンの刺身/大根おろしとポン酢/だしに浸したほうれん草 |
| 薬味 | ホタテ入りのサテ、はちみつレモン、青胡椒の塩 |
| 締め | 残したご飯と鮭に熱いだしをかけ、お茶漬けの要領で食べる |
料理人は食べる順番まで提案している。素の味を確かめてから薬味で振り、最後に熱いだしで締める。単品の寄せ集めではなく、50分で一巡する流れとして組み立てられている。
14席・50分・4回転、時間を区切る店にどう入るか
遅れて入っても終わりの時刻は動かない
この店で先に把握すべきなのは料理より運用だ。Susuki氏の説明では、7時から11時を4枠に分け、1枠あたり最大14人を50分で回す。遅れて着いた客も食事はできるが、食事時間が次の枠にはみ出すことはない。遅刻した分だけ食事時間が短くなる。
来店したホーチミン在住のグエン・ティ・ゴック・トゥエンさんは、この仕組みを知らずに来る人がいそうだと指摘し、席を取るときにやり方をよく聞いて時間どおりに着きたい、という趣旨の話をしている。どこでどう席を取るかまでは元記事に書かれていない。
入れ替えの10分で何をしているか
枠と枠の間には10分が置かれている。テーブルを片付け、新しいご飯を用意し、次の組の鮭を焼いて皿を並べる時間だ。元記事はこの枠分けを、ご飯が熱いうちに焼き上がったばかりの鮭を出すためだと説明している。厨房はオープンキッチンで、客は調理の工程を見ながら料理人と話せる。
約30万ドンの朝食は高いのか、同じ市内の食事と並べる
9月25日のレートで日本円にするといくらか
ベトコムバンクが2026年9月25日に示した日本円の電信レートは1円=159.64ドン。これで換算すると約30万ドンはおよそ1,880円になる。店頭で支払う小売価格で、卸値や仕入れ値とは段階が違う。元記事の表記は「約30万ドン」「30万ドン近く」で、端数までの確定額は示されていない。
同じ市内で時間を区切る食事と価格を並べる
比較先として分かりやすいのが、同じホーチミンで始まった独立宮殿の昼のコースだ。A Daytime Art x 6-Course Lunch at Ho Chi Minh City's Independence Palace, About $70で扱ったとおり、こちらは6品コースに伝統芸能を重ねて160万〜180万ドン。どちらも1回の持ち時間があらかじめ決まっている食事だが、価格帯は5〜6倍の開きがある。
| Item | Morning Tigerの朝食 | 独立宮殿の昼のコース |
|---|---|---|
| 価格(店頭価格) | 約30万ドン | 160万〜180万ドン |
| 円換算(1円=159.64ドン) | 約1,880円 | 約1万23円〜1万1,275円 |
| 1回の所要 | 50分 | 90 min |
| Time slot | 朝7時〜11時 | Day |
| Details | 一汁三菜のセット(主菜は炭火焼き鮭) | 6品コース+伝統芸能 |
この並べ方で見ると、約1,880円はベトナムの路地の朝食としては明確に上の価格帯にある。鮭が1食220〜240グラム入り、北海道の米を炊く構成だと、材料の置き方が街の朝食とは別になる。一方で独立宮殿の昼のように催しを組み込んだ食事と比べれば、朝の1時間弱で収まる分だけ予定にも財布にも入れやすい。
食べた人の反応は「量」と「だし」に寄っている
朝食にしては量が多い、と受け止める客もいる
トゥエンさんは友人の紹介で店を知り、日本式の朝食は初めてだったと話している。評価は、量が十分で約30万ドンの価格に見合っているというものだった。鮭とご飯、汁物、副菜で一食として完結しており、軽く済ませる朝食とは別物だという受け止め方だ。
一方で、普段の軽い朝食に慣れた人にはこのセットは量が多い、と話す客もいると元記事は伝えている。50分の持ち時間と量の組み合わせは、朝の食欲の個人差が出やすい部分だ。
ご飯にだしをかける食べ方に慣れていない客もいる
もう一つ反応が割れているのが締めのだし茶漬けだ。ご飯にだしを回しかける食べ方に慣れていないベトナム人客が多い、という指摘が元記事にある。日本側には説明のいらない食べ方が、現地では一段の説明を要する。料理人と話せるオープンキッチンは、この段差を埋める。
出張の朝に入れるなら、何を先に決めるか
街が動き出す前の7時台をどう使うか
元記事が書くとおり、レタントン一帯の日本料理店は7時の時点でまだ大半が閉まっている。そこに朝だけ開ける店が入った。午前に商談を入れる日は朝食に使える時間が1時間前後しかないことが多く、50分で完結する枠は組みやすい。7時の枠なら8時前に店を出られる計算になり、日本からの客を連れている日も店の側が時間を区切る分だけ予定が崩れにくい。夜に人が集まる店はA Japanese Izakaya Tucked in a Saigon Alley, Where a Pork-Belly-Wrapped Dish Keeps Regulars Coming Backで取り上げたが、そちらは同じ日本人街でも隣のタイヴァンルン通りの路地裏にある。朝と夜で一帯の顔が変わる。
中心部の工事で朝の移動時間が読みにくい
朝7時台に中心部を動くなら、進行中の地下鉄2号線の工事も計算に入れたい。ホーチミン中心部が3年間の一方通行へ、出張者と在住者の迂回はこう組むで整理したとおり、タオダン駅の掘削にともなう一方通行化で、当局の案内する迂回ルートにはレタントン通りも入っている。到着が遅れると食事時間がそのまま削られる店なので、配車アプリの到着予想に余裕を足したい。
| Item | 元記事で確認できる内容 |
|---|---|
| Shop name | Morning Tiger |
| Opened | 2026年9月上旬 |
| Location | ホーチミン市サイゴン坊、レタントン通りの小さな路地 |
| opening hours | 朝食のみ。7時から11時までの間に客を入れる |
| 店の席数 | 14席(オープンキッチン) |
| 時間枠 | 4枠。1枠あたりの定員は最大14人、食事時間50分、枠の間に10分の入れ替え |
| Price | セット約30万ドン(白米のおかわり無料) |
| 遅刻時 | 食事はできるが、終了時刻は次の枠にずれ込まない |
日本食の店が夜から朝へ広がる余地はどこにあるか
レタントン一帯は2000年代から積み上がってきた
Morning Tigerが入る路地は、レタントン通りとタイヴァンルン通り周辺に日本料理店やサービス業が集まってできた区画にある。この街区が形を持ち始めたのは2000年代だと元記事は書く。20年以上かけて夜の飲食が層になった場所に、朝だけを取る店が出てきた形だ。
この動きで見るべきなのは、競合の少ない時間帯を取った点だけではない。14席・50分・4枠という組み方は、1日の座席の回転数を最初から上限で決めている。食材を使い切る量が読みやすく、鮭を48時間かけて仕込む工程とも噛み合う。客数の振れ幅が大きい夜の営業では、こうした仕込みは組みにくい。
北海道の米とフーイエンの魚を一つの膳に載せる
材料の組み方にも特徴がある。米は北海道のゆめぴりか、味付けにはフーコックのヌクマムが選べ、刺身はフーイエン省の魚だ。日本から運ぶものと現地で調達するものを1つの膳の上で分けている。ベトナムで日本の食を扱う事業者には、どこを輸入で守りどこを現地に開くかの一例になる。
次にホーチミンへ入る予定があるなら、滞在初日の朝に50分の枠を確保できるかを日程表で確かめてほしい。時間で区切る運用の店なので、行くかどうかより「何時の枠に、何分前に着けるか」を先に決めたほうが早い。移動に余裕を足し、その朝に他の予定を重ねないと決めておけば、50分を削られずに済む。
Sources
- VnExpress「Bữa cơm sáng 300.000 đồng kiểu Nhật ở TP HCM」(2026年9月25日、Bích Phương)— vnexpress.net
- ベトコムバンク 為替レート(2026年9月25日時点、JPY電信159.64ドン)— portal.vietcombank.com.vn


