ホーチミン市の玄関口が、いよいよ二つになります。市中心部から東へ約40kmのドンナイ省で建設が進んできたロンタイン国際空港(IATA: LTH)について、ベトナム航空が国際線の約12%を現在のタンソンニャット国際空港(SGN)から移す計画を明らかにしました(2026年6月30日報道)。ベトジェットも国際線を最低2路線就航させると表明しており、2026年9月の試験運航を経て年内の商業運航開始をめざしています。「どの便がどの空港に着くのか」は、ベトナム行きの日本人旅行者・出張者にとって出発前の予約段階から関わってくる実務的な変化です。
何が発表されたのか
報道によると、ベトナム航空はロンタインを新たなハブ空港と位置づけ、国際線の約12%をまず移す方針です。ベトジェットは同空港から国際線を最低2路線運航すると確約し、ベトラベル航空も2026年内に就航して2027年夏ダイヤで便数を増やす計画を示しています。就航路線の具体名はまだ公表されていませんが、大韓航空・ANA・キャセイパシフィック・日本航空を含む海外34社との協議が進んでいると伝えられています。日系エアラインが名前に挙がっている点は、日本発着便への波及を考えるうえで見逃せません。
第1期の処理能力は年間旅客2,500万人、貨物120万トン。敷地は約5,000ヘクタール、総事業費は約336兆6,300億ドン(約128億ドル)とされ、ベトナム最大級のインフラ事業です。将来的には1億人超の旅客に対応する設計で、まずは欧州・北米・インド・中東方面の長距離便から受け入れる方向とされています。
なぜ「12%」から始まるのか
いきなり全便を移さず約12%から始めるのは、現実的な判断です。空港が開いても、地上交通・入国審査・グランドハンドリング・乗り継ぎ動線がすべて回るまでには時間がかかります。まず一部の国際長距離便でオペレーションを慣らし、問題を洗い出してから段階的に増やす。この「小さく始めて広げる」進め方は、旅行者側にとってもむしろ安心材料です。開業直後の便に当たる可能性は当面それほど高くなく、移管対象は事前にダイヤへ反映されるためです。
裏を返せば、混雑続きだったタンソンニャットの負荷を少しずつ逃がす狙いがあります。市中心部に近く便利な一方で発着枠が限界に近づいていた既存空港の混雑が和らげば、国内線や近距離国際線の遅延改善にもつながると期待されます。
日本発着便で押さえるべきポイント
日本からホーチミン方面へ向かう旅行者が最初に確認すべきは、予約する便の到着・出発空港コードです。従来どおりの「SGN(タンソンニャット)」なのか、新設の「LTH(ロンタイン)」なのかで、市内までの移動計画がまるごと変わります。当面は多くの日本発着便がSGN発着のままとみられますが、移管が進む時期の予約では、航空券の空港コードを必ず現地の市内目的地と突き合わせておくのが安全です。
もう一つの注意点が乗り継ぎです。ベトナム国内線や近距離便がSGN、国際長距離便がLTHと分かれる組み合わせが生じた場合、二つの空港をまたぐ移動が発生します。同じ「ホーチミン」でも空港が別なら、乗り継ぎ時間は市内観光ではなく空港間移動に消えます。移動手段の変化については、ハノイで一斉着工した空港アクセス鉄道の動きも参考になります。都市によって整備のスピードが違う点は、旅程を組むうえで頭に入れておきたいところです。
市内までのアクセスはどう変わるか
ロンタインはホーチミン市中心部から約40km東。国道51号とホーチミン〜ロンタイン〜ザウザイ高速道路が主な動線で、渋滞状況にもよりますが車でおおむね1時間前後を見ておくのが現実的です。ピーク時間帯はさらに延びる場合があるため、SGN発着の感覚のまま「空港から市内までは近い」と考えていると、到着後の予定がずれかねません。
周辺では環状3号線やベンルック〜ロンタイン高速など複数の道路整備も並行して進んでおり、開通が進めばアクセスは改善に向かう見込みです。ただし旅行者としては、開業直後は所要時間に余裕を持たせ、深夜・早朝着の便では市内までの配車手段を事前に確保しておくのが安心です。移動の選び方全般はこの夏の国内線増便に関する記事もあわせて確認しておくと、予約のタイミングを取りやすくなります。
ベトナムの空の玄関がどう再編されるか
今回の動きは、ホーチミン圏の空港が「中心部に近い既存空港+郊外の大型ハブ」という二極体制へ移る第一歩と見るのが自然です。東京の羽田・成田や大阪の伊丹・関西のように、一つの都市圏を複数空港で分担する形はアジアの大都市では珍しくありません。ベトナムがその段階に入ったことは、旅客数の伸びと経済成長の裏返しでもあります。
旅行者・出張者にとって当面の実務は明快です。予約時に空港コードを確認する、市内までの移動時間を長めに見積もる、乗り継ぎで空港が分かれないかを確かめる。この3点を押さえておけば、再編期のホーチミン旅も落ち着いて計画できます。
| Item | Details |
|---|---|
| 空港名(コード) | ロンタイン国際空港(LTH / VVLT) |
| Location | ドンナイ省。ホーチミン市中心部から東へ約40km |
| 試験運航 | 2026年9月予定 |
| 商業運航開始 | 2026年内(年後半)をめざす |
| Vietnam Airlines | 国際線の約12%をタンソンニャットから移管 |
| VietJet | 国際線を最低2路線就航 |
| 第1期処理能力 | 年間旅客2,500万人/貨物120万トン |
| Main access | 国道51号、ホーチミン〜ロンタイン〜ザウザイ高速道路(車で約1時間前後) |
Frequently asked questions
日本からのホーチミン便はロンタイン空港に変わりますか?
当面は多くの日本発着便が従来のタンソンニャット国際空港(SGN)発着のままとみられます。ただしベトナム航空が国際線の約12%を段階的にロンタイン(LTH)へ移す計画のため、移管が進む時期は予約時に空港コードを必ず確認してください。将来的にどの日本路線が移るかは、就航航空会社の発表待ちです。
ロンタイン空港からホーチミン市内までどれくらいかかりますか?
市中心部から約40km東に位置し、国道51号や高速道路を使って車でおおむね1時間前後が目安です。渋滞やピーク時間帯にはさらにかかる場合があります。市中心部に近いタンソンニャットの感覚とは異なるため、到着後の予定には余裕を持たせるのが安心です。
ロンタイン空港はいつから使えるようになりますか?
2026年9月に試験運航を始め、その数か月後にあたる年内の商業運航開始をめざしています。第1期は年間旅客2,500万人の処理能力で、まず一部の国際長距離便から受け入れる方向です。開業スケジュールは今後変更される可能性があるため、渡航前に最新情報の確認をおすすめします。
