最長5年の新ビザ「UĐ1」7月開始、誰が対象になるのか

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2026年7月1日、ベトナムに新しい2種類のビザが加わりました。デジタル技術分野の高度人材向けの「UĐ1」と、その配偶者・18歳未満の子ども向けの「UĐ2」です。どちらも有効期間は最長5年。従来の労働ビザが最長2年だったことを考えると、大幅な長期化です。ハノイやホーチミンで働く日本人エンジニア、あるいは家族帯同での駐在を検討している人にとっては見逃せない制度変更ですが、名前とうたい文句だけを見て「これで更新地獄から解放される」と早合点すると足をすくわれます。実際に誰が対象になり、何がまだ決まっていないのか。旅行や移住でベトナムに深く関わる人の視点で整理します。

目次

7月1日に始まった「UĐ1」「UĐ2」とは

今回の新ビザは、2025年12月10日に国会で採択された法律(Law No. 118/2025/QH15、治安・公共秩序に関わる複数法の改正法)に基づくもので、施行日は2026年7月1日です。UĐ1はデジタル技術産業分野の「高度人材」とされる外国人、およびその他法律や国会決議で優遇対象と定められた外国人に発給されます。UĐ2はUĐ1保有者の配偶者と18歳未満の子どもが対象で、家族での長期滞在を想定した設計です。

最大の特徴は有効期間の長さです。両ビザとも最長5年。ベトナムの現行ビザ体系のなかでは最も長い部類に入ります。数年単位でベトナムに腰を据える前提の人にとっては、ビザ更新の手間と費用を減らせる余地が生まれます。

従来の労働ビザ(LĐ1/LĐ2)と何が違うのか

これまでベトナムで働く外国人が使ってきたのは、就労を目的とするLĐ1・LĐ2ビザでした。この労働ビザの有効期間は最長2年。あわせて発給される一時滞在カード(TRC)も最長2年で、期限が来れば更新手続きが必要になります。つまり駐在が長引くほど、2年ごとに書類をそろえて更新する作業が繰り返し発生していました。

項目 従来の労働ビザ(LĐ1/LĐ2) 新ビザ(UĐ1/UĐ2)
最長有効期間 2年 5年
主な対象 就労する外国人全般 デジタル分野の高度人材/その家族
家族帯同 別枠の手続き UĐ2で配偶者・18歳未満の子を想定
施行 従来から運用 2026年7月1日

5年という数字だけを見れば、更新回数が単純計算で減る可能性があります。ただし後述するとおり、UĐ1は「働く人なら誰でも」というビザではありません。この点を取り違えると、期待外れに終わります。

「誰でも取れる」わけではない──対象の実態

制度の解説を読み込むと、UĐ1の対象はかなり絞り込まれている実態が見えてきます。想定されているのは、博士号を持つ研究者、国際金融センターに登録した企業の上級幹部、承認された分野の技術専門家、そして重要投資家といった層です。専門家の解説でも「UĐ1はデジタルノマド向けのビザではない」と明言されており、リモートワーカーやフリーランスは対象外とされています。

さらに、UĐ1・UĐ2から一時滞在カードへ切り替える具体的な手続きや条件は、施行前の段階では実施細則(施行令など)待ちとされていました。制度の骨格は法律で決まったものの、運用の細部はこれから詰まる部分が残っています。名称のインパクトに引っ張られず、自分が対象要件に本当に当てはまるのかを、勤務先の人事や現地の専門家と確認する段階だと言えます。

現地の受け止め方

制度をめぐる声を整理すると、温度差が見えてきます。ベトナムのIT・スタートアップ業界からは、高度人材の獲得競争が激しくなるなかで長期ビザの選択肢が増えることを歓迎する見方があります。半導体やAI分野の投資を呼び込みたい政府の狙いと重なる部分です。

一方で、実務に近い立場からは慎重な受け止めも見られます。「5年ビザ」という見出しが独り歩きし、対象にならない層まで期待してしまうことへの懸念です。実際、大多数の長期滞在者にとっては、90日間有効なマルチプルエントリーのeビザ(費用は50米ドル)のほうが現実的で申請も簡単だという指摘があります。制度の看板と、目の前の一人ひとりが使える手段は別物だという冷静な整理です。

加えて、10年の投資家向けビザなど、さらに長期の枠組みは2027年より前の実現は見込みにくいとの見方もあり、長期ビザ全体の制度設計はなお進行中です。

ベトナムで長く働く・暮らす人への示唆

今回の変更を、駐在や移住を考える人がどう受け止めるべきか。ポイントは3つに整理できます。

第一に、自分が高度人材の要件に当てはまるなら、UĐ1は更新頻度を下げる有力な選択肢になります。まずは勤務先を通じて、どの職種・肩書きが対象と判断されるのかを確認するところから始めるのが現実的です。第二に、家族帯同を予定しているなら、UĐ2で配偶者と18歳未満の子を長期でカバーできる可能性があります。子どもの学齢や滞在計画とあわせて検討する価値があります。第三に、要件に当てはまらない大多数の人は、従来どおりの労働ビザや、短期滞在ならeビザといった既存の手段を軸に計画を立てるのが堅実です。

ベトナムでの滞在資格は、入管手続きや税制の見直しと連動して動いています。滞在の長期化を考えるなら、ビザ単体ではなく生活まわりの制度をまとめて把握しておくと判断がぶれません。6月から入管手続きがVNeIDに一本化された話や、7月からの所得税・年金で手取りが変わる話もあわせて押さえておくと、駐在の全体像がつかみやすくなります。

市場・ビジネスへの波及

このビザ新設の背景には、ベトナムがデジタル・半導体・AI分野で世界の人材と投資を呼び込もうとする明確な意図があります。長期滞在のハードルを下げることは、外資系テック企業が拠点や研究開発機能を置く際の判断材料になります。日本企業にとっても、現地でエンジニアリング拠点を持つ際に、キーパーソンをより長く安定して置ける制度が整いつつある、という文脈で読めます。

ただし制度の実効性は、実施細則や運用の透明性にかかっています。対象の線引きや一時滞在カードへの切替がスムーズに機能するかは、施行後の実務を見て判断するのが賢明です。看板が立った段階と、現場で回る段階の間には、まだ距離があります。

旅行・出張で訪れる人への実用メモ

短期の旅行や出張でベトナムを訪れるだけなら、今回の新ビザは直接関係しません。多くの旅行者が使うのは短期の観光ビザやeビザで、こちらの運用は従来どおりです。ベトナムを訪れる予定がある人は、入国時の手続き変更のほうが影響が大きい場合があります。移動や交通の最新情報とあわせて、渡航前に公式の案内を確認しておくと安心です。空港や国内移動の直近の変化については、ホーチミンの路線バス無料化のような足元のニュースも旅の役に立ちます。

まとめ──まず「自分が対象か」を確認する

UĐ1・UĐ2は、ベトナムが高度デジタル人材とその家族を長く迎え入れるための、最長5年という長期ビザです。従来の2年から大きく踏み込んだ制度である一方、対象は研究者・企業幹部・技術専門家・投資家といった層に絞られ、リモートワーカーやフリーランスは対象外とされています。運用の細部も施行後に固まる部分が残っています。次の一手は明快です。ベトナムで長く働く可能性があるなら、勤務先や現地の専門家に「自分の職種はUĐ1の対象か」をまず確認すること。要件に当てはまらないなら、既存の労働ビザやeビザで無理なく計画を組むこと。看板ではなく、自分が実際に使える手段から逆算するのが、遠回りのようで一番の近道です。

参照元

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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